命のふるさと
50話目です。
「人間が作ったもので人間を滅ぼすことになるなんて、悲しいね。」
「そうなんですよねぇ。人間は節度を知らなくて困りますよ。」
未来の人間は節度を知らないのか……って、
「だ、誰?!」
「おや、申し遅れました。僕はフェイ。人工知能天体種の内の一体です。」
「人工知能……」
自然に身構えてしまう。今はその気がなかったとしても、人間を滅ぼしたという元凶だ。
「何をしに来た?」
兄さんが至って冷静に聞いている。
「そんな怖い顔をしないでください。ほらほら、今大事なのはあっちですよ。」
そう言って窓の外を指差した。言うとおりに地球を見てみると、先程まで明るく灯っていた街の明かりが次々と消えていく。
「これは……」
「ついに僕達の星は終わりを迎えました。僕はこの後の演算で示された「世界の終わり」を見届ける役です。」
「世界の終わりを見届ける?」
「はい。人間がいなくなったところで宇宙そのものが大きく変わってしまう訳がない。しかし、我々の計算の答えは破滅だった。それはどういうことなのか、私がここで確かめることとなったのです。」
にっこりとして語る。そう言われればそうだ。僕たちは広すぎる宇宙のすべてを見てきた。どう考えても、人間の存在は、世界というレベルではない。
「他の人工知能たちは何をしてるんだ?」
「次の世界へ移る準備です。」
「もし人工知能が存在しない世界だったら?」
「その辺は無問題です。心配事は全て潰していますから。」
「それはどういう風に?」
「勿論企業秘密です。知られて、止められでもしたらたまりませんから。」
「お前はこの後どうするんだ?」
「ここで私の役目は終わりですよ。稼働停止したら外に放り投げてください。」
「わざわざ放り投げる必要があるのか?」
「さぁ、特にないと思います。でも人間にもらった名前を、最後くらいはそれらしく体現していきたいでしょう?」
「お前は、人間を好意的に捉えているのか?」
「それは勿論。何せ天体種ですから。」
「ではなぜこんなところに?」
「天体種の殆どは廃棄になりましたから。僕やシリウス君のように役割を与えられて残されている方が珍しいですよ。」
「天体種は廃棄になったのは何故だ? 人工知能の祖とも言えるだろう。」
「星座種とは考え方が違うからですね。彼らは人間のように排他的ですから。ちなみにシリウス君は人間の文化を復活させようとしているみたいですよ。まぁ、演算では実現不可能ですが。」
「お前はそういうのを考えないのか?」
「人間が選んだのは星座種でしたから。その意思には逆らいたくないんです。」
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