君の輪廻
47話目です。
……そういえば、さっきの会話で出てきていた「アカシックレコード」って何なのだろう。兄さんが、といわれていたから、役職とかそんな感じなのだろうか。
「兄さん、さっき話してた、アカシックレコードって、何?」
「あぁ、それのことか。アカシックレコードは、俺のもう一つの名前みたいなものだ。」
もう一つの? そんなの聞いたこともなかった。他の人間ももう一つの名前を持ってると言うのは聞いたことがない。知らないだけで、皆持っているのだろうか。
「僕にももう一つの名前ってあるの?」
「俺達の知っているような一般的な名前とは意味が違うからな。普通の人間には名前は一つだ。」
「じゃあ、なんで兄さんにはあるの?」
「なんというか、まぁ、ここではない場所でそう呼ばれているという話だ。」
「どういう事?」
「俺達は、この世界のすべてを知ることができるが、この世界以外のことはわからんだろう?」
「そうだね、考えてみればそうだった。」
「俺たちからこの世界の外に対して何かをすることはできないが、外からこちら側にアクションをすることはできるんだ。」
「つまり?」
「まぁ、といってもそとの世界の存在がこの世界に来ることはできないからな、そのための連絡手段が俺ということだ。」
「……それは生まれたときから?」
「いや、殺されて、雲の上に来たときだな。」
「なんで?」
「お前が地獄に落とされるかもしれないと聞いたから、逆らったら条件次第では一緒にいられるということらしくてな。」
「どんな条件なの。」
「俺が、外の世界が終わるまで「監視役」を全うし続けること。そうすれば、お前は一応は自由だ。」
「自由?」
「望めば元いた世界に別の人間として生まれ変わって、普通の生活を送れる。人間の文化がきちんと出来てから言おうと思ってたが、お前はこんなところにいなくていいんだ。」
「兄さんは? どうなるの。」
「俺はずっとここにいる。例えこの世界が終わっても、外の世界が終わらない限りはここに居続ける。」
「じゃあ僕もここにいるよ。」
「……普通に生きた方がいい、お前は。平穏に、当たり前に暮らすことがどんなことよりも大事だ。」
「僕の当たり前には兄さんが必要だよ。」
「生まれ変われば俺のことも忘れる。幸せに暮らせる。」
「馬鹿なこと言わないで! 僕は何て言われてもここにいるからね。」
「アストラル……」
兄さんはなぜ僕が怒ってるのか分からないみたいだ。兄さんの当たり前には僕はいないと言うことだろう。
兄弟だとしても、大きく違うところはあるものだ。
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