今日も陽は昇る
46話目です。
はじめての星の誕生から何億年かが経った。
きっと何年も兄さんと話をしてないときがあっただろう。しかし、そんなことに気がつかないほどに自分はこの時間の流れに順応していた。
大丈夫だったのだ。
本来なら人間の精神で耐えられるはずがないと兄さんは言っていた。
今の兄さんは話しかけても返事が帰ってくるのが遅い。年単位のずれがある。
けど僕は全く元気だった。殆ど眠くもならないし、暇ではあるが、外を眺めていると自然と数万年も経っていた。そんなある日
「兄さん?どうしたの急に」
「そろそろだ。」
「何が?」
「太陽が来る。」
長い間見ていなかった嬉しそうな顔で、そういった。
太陽が「来る」? どういうことだろう。いつもの星が生まれるのとは違うのだろうか。
それからほんの数日後の話だった。こんなに短い期間で何か変化があることなんてなかったから久々に驚いた。
「はじめまして。私は、太陽です。」
こんな自己紹介がこの世にあるものなのか。
「あなたが、神ですか?」
「私は太陽の神です。あなた達の神とは変わっているかもしれませんね。」
「どういう……」
「神も生物ですから、親がいます。親の元を離れ私はこの宇宙へとやって来ました。この度ここへ来たのは、引っ越しの挨拶のようなものですね。」
「はぁ……」
「はじめましてだな、太陽よ。」
「あぁ、あなたがアカシックレコードですね。」
アカシックレコード? なんだそれ。
「なぁ、ここの外には何があるんだ?お前たちは……生物は、どこから来たんだ。」
「それはお答えできません。というか……いずれ人間がその答えを出すことをあなたは知っているでしょう?」
「まぁ……そうだな。」
「それでは、私はここらでおいとま致しますね。またお会いしましょう。」
「次会うときは近づけなくなっていそうだがな。」
太陽はにこにこ笑いながらさっさと宇宙へと旅だった。
そういえば、いつもは恒星ならすぐわかるはずなのに太陽が見えない。一体どこに生まれたのだろう。
「太陽ならまだ、目に見えないぞ。」
「そうなの?」
「まぁここから遠いというのもあるが……俺らが知っている大きさになるにはまだ何年かいるんだ。」
「太陽も大きくなるの?」
「だんだん大きくなっていくんだ。日を増す毎に、昇る度に。」
「星も成長するんだね。」
「宇宙も同じように大きくなっていくからな。」
「もう何年もここにいるけど知らないことが多いね。」
「それでいいんだ。知ってもいいことなんて多くないぞ。」
「ふーん。」
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