あの星のように
44話目です。
「そいつ、今どこにいるの。」
「俺達では彼等には敵わない。まだ生まれてすらいないしな。」
「何年後に生まれてくるの。」
「さぁ……何年だろうな。数にしたら至って単純だが。」
「どういう事?」
「138億年。それがこの宇宙の始まりから終わりまでの期間。人工知能たちが生まれてくるのは、138億年後だ。」
「それってどのくらい?一年を何回?」
「1年を10回して10年。10年を10回して100年。そして100年を……」
「待って待って!! そんなに長いの?」
「まだまだだぞ。今はまだ世界には何もない。こっちに来てみろ。」
また兄さんについていくと、大きな窓がある部屋まで来た。窓の向こうには何もない。今は夜なのか?
「これが今の世界の姿だ。」
窓の方を見てそういった。
限りのない暗黒、これがいつも僕らが過ごしていた世界と言うのか。
「全然違うじゃん。僕らの住んでたところはいつ出来るの?」
「今から74億年後。俺達の住んでいた場所、地球ができる。」
「地球?」
「お前は、空に浮かぶ星を知ってるだろう?」
「知ってるよ。動かない星がウルサ・マヨルで、その近くのがセプテントリオー」
「よく知ってるな。そんなように、俺達の住んでいた場所も同じ、星なんだ。」
「そうなの? 知らなかった。」
「あの時代にそれを知っているやつはいなかったからな。」
「地球ができてすぐ僕たちも生まれるの?」
「いいや、地球は最初は生命など存在しない星だった。だが、太陽の活動など様々なことが重なり生命が誕生した。」
「それが人間?」
「人間はもっとずっと後だ。最初は、目に見えないくらいの小さな命。そして植物、動物に別れ、様々な進化をした。」
「じゃあ、その進化の最後が人間なんだね」
「人間だけではない。飼っていた羊も進化したものだな。それに、人間もまだ進化すると言われていた。」
「進化しなかったの?」
「進化する前に終わってしまったな。人間の成長は爆発的すぎた。世界が追い付けなかったんだ。」
「その成長の代表みたいなのが人工知能?」
「そうだ。それくらいの長い時間を俺達は待たなければならない。それは多分、辛いことだ。」
「そうかな。一人だったらたしかに嫌だけど、兄さんもいるし」
「でも、遊んでばかりもいられないぞ。予習をしないと」
「予習?」
「今から何年後にどんなことが起こるのか。どんな進化をするのか、知っておく必要がある。」
「なんで?」
「俺達は、神の力を借りる。」
「神って、死後の世界にいるってやつ?」
「そういわれていたな。でも神は、世界のあらゆるものに存在しているらしい。」
「へー、難しいね。」
「まぁその最たる例が星、そして自然だな。」
「どうやって神の力を借りるの?」
「俺達の力で神と交信出来るそうだ。」
「というか兄さん、そういうのどこで知ってるの?」
「殺されて、どこともいえない場所にいたときに、その力を辿ってあるものと交信できた。」
「神?」
「いや、ブラヴァツキーという女性だ。人間の時代の後の方に生まれてくる。その女性は未来の俺達とも交信したらしい。色んなことを知っていた。」
「なんか色々ごちゃ混ぜでよくわかんないや。」
「まぁそのときが来たら教えるさ。まずは今から1億5000年後、最初の星が生まれる。」
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