雲上の世界
41話目です。
気がつくと、見たことのない場所にいた。
元いた場所も殺風景だったが、それ以上だ。
見渡す限り、淀んだ空の色。遠くの方に雲が重なっているのが見えるだけ。
ここが、死後の世界?
……体を起こそうと身動ぎしても、指一本動かせない。
そして、なんとなく変な感覚がする。
この違和感は……
「僕が……いる……」
そう。自分の姿が見えるのだ。本来ならば見えないはずの横になっている自分の顔や、背中など全部が。
「な、何で……」
狼狽えていると、見えないはずの頭が向いている方から人が歩いてくるのがわかった。
あれは……
「お、女の子……?」
落ち着いた赤色の髪の少女がゆっくりと歩いてきていた。
その女の子は僕の顔を覗き込んで言った。
「目を覚ましたのか。良かった……」
安堵の表情で言われても、僕はこの子とは会った事はないと思う。
「き、君は……?」
「……あ、そうか。君の兄だよ。アーカーシャだ。」
「は……?」
「この姿は借りているものなんだ。見慣れている姿はボロボロになってしまったからな。落ち着かないかもしれないが、慣れてくれ。それと……」
「ちょ、待って待って!!」
相手を置き去りにして1から10まで全部先に説明してしまうこの喋りは確かに兄さんとそっくりだ。でも……見た目を借りた?急に言われても全く分からない
「すまんすまん。全部説明するな。」
少女の姿で柔らかくはにかむ。顔こそ違うが笑い方はそっくりだ。
やはり、兄なのだろうか……
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