前進せよ
32話目です。
「アーカーシャの事を知ってるんですか?!」
「いいえ。私は知りません。というか、人間だったんですね。そもそも生物でないのかと思っていました。」
「ペトロヴナさんは知ってるんですか?」
「知っているから、私に教えたんでしょう。」
「何か……アーカーシャについて知ってることは……?」
「アカシックレコードという我々より上位の存在である。と聞いています。よくわかりませんが……」
「じゃあ、ペトロヴナさんにまた会えばアーカーシャの事がわかりますか……?」
「えぇ、きっと分かるでしょう。あなたの知りたい答えがはっきりと。」
「良かった……!」
また、新たな道が見えてきた。少しでも可能性があるのなら、そちらに懸けるしかないだろう。
帰ってからまたすぐやることができたが、帰れる可能性が高くなったと考えれば良いことだろう。
「クロネ様、輸送魔法の準備が出来ました。中庭へ来てください。」
「では行きましょうか。」
いい情報がもらえたが、スミスさん……ではなくフローレさんとももうすぐお別れだ。
フローレさんは戦場でも冷静でいた。魔法をよくわかっていない私でさえ杏南に取り乱していたのに。
中庭へ出ると、女王様が魔方陣を書いて待っていた。
「来たか。さぁこの魔方陣の中に入れ。」
「はい。フローレさん、色々ありがとうございました。」
「えぇ、お元気で。またどこかで会えることを願っています。それと……」
鞄の中から包帯と傷薬を取りだし、私にくれた。
「貴方は回復の魔法を使うようですが、こちらの方が慣れているんじゃないでしょうか。」
実際そうだ。さっき魔法を使ったときも、慣れることはないだろう不思議な感覚を覚えた。
「ありがとうございます。大切に使いますね。」
「では怪我をしないようにしないといけませんね。」
「そ、そうでしたね。じゃあ、さようなら、フローレさん。」
「はい、さようならです。貴方がどこにいても永遠に健やかでいられるよう、私はこれからも働き続けますから。」
輸送魔方陣の上に乗ると、淡い光に包まれ、視界が真っ白になった。
目を開けると、そこはあの結社の家だった。
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