××××の天使
30話目です。
「わ、私も手伝うってどういうことですか?! 医療とか全くわからないんですけど……」
「大丈夫です。あなたには魔法を使ってもらうだけですので。」
「でも、応急処置はもうしてあるんじゃ?」
「いえ、応急処置ではなく魔法の無効化です。恐らく女王はただ刺された訳ではないでしょう。こちらに魔法の解除について詳しい物がいないのを良いことに、何か呪い的なものが付与されていると考えられます。」
「だから、私がそれを魔法で解除するってことですか?」
「はい。出来ますか?」
「えっと……」
チッタちゃんと戦ったとき、彼女の人形の魔法を解いたことがある。でも、あのときはアーカーシャさんがやり方を教えてくれたからだ。もう一度出来るかどうか……
「時間がありません。出来るならやってください。出来ないのなら仕方がありませんから。」
……一度出来たんだ。二度目も出来るはず。
「で、できます!」
「……ありがとうございます。」
スミスさんは少し笑ってすぐに自分の荷物を開き、治療の準備をしていた。
「女王陛下、ご無事でしょうか。」
「あぁ、まぁな……おまえは随分と楽しそうに話していたようだが。」
「えぇ、私は怪我人ではありませんから。ほら、早く見せてください。」
「は、おまえはそういうやつだな。」
「えぇ、そういうやつです。」
「はぁ……次起きるまでに治しておけよ。」
そういって女王様は目を瞑った。
眠っているらしい。この状況でよくすやすやと寝られると思うが、この状況だからなのかも知れない。
「魔法ではないので、すぐに治すと言うのは無理なのですがね。」
スミスさんはそういって、テントにいたときと同じように静かに治療を始める。私は何をしていれば……
「クロネさん。」
「は、はい?」
「やはり呪いに似た物がかけられています。解除出来るかどうかやってみてください。」
「分かりました。では……」
あのときと同じように、目を閉じる。そして、上手くいくようにと願って――――
「状態異常回復!!」
女王様のからだが淡い光に包まれた。成功……したのか?
「どうでしょう……?」
「…………はい、大丈夫です。回呪できています。お疲れさまでした。」
「良かった……!」
「この後は私に任せてください。」
成功が分かり、安心して肩の力が抜ける。でもまだ処置は終わっていない……
置いてあった椅子に座り、後はスミスさんに任せることにした。
最後まで読んで頂いた方、誠にありがとうございます。
面白かったらブックマーク、感想よろしくお願いします。




