進み続ける事を誓う。
27話目です。
「……私はここよりさらに戦況が悪いところまで行きますから、貴方はもう帰った方がいいでしょう。」
次の基地への荷物をまとめたらしいスミスさんが私に言った。
さっきの爆撃からしばらく経つが、遠くの方でずっと銃や爆弾の音が聞こえている。きっと予想よりもよくない状況にあるのだろう。
「でも……ここまで来て帰るのは……」
「王宮からの通達です。フローレ殿、至急、王宮へ帰還してください。」
まだ何にもしてないのに、と悩んでいると、兵士の人がテントの扉を開けて入ってきた。
「何があったのですか?」
「女王陛下が敵国の刺客に狙われました。現在魔法での治療を試みていますが……」
「すぐに向かいます。輸送挺の準備をしてください。」
「分かりました。」
きびきびと動揺を見せぬ動きでテントを出ていき、外で輸送挺の用意をしているようだ。
「クロネさん、小声で話してください。」
「は、はい?」
「今の兵士は偽物でしょう。恐らく相手国の魔術師が変装しています。」
「じゃあ女王様の暗殺も嘘……?」
「いえ、それは恐らく今から本当になります。私達はあの兵士の輸送挺を使う他ありませんが、危険が伴います。」
「どうすれば良いんですか?」
「輸送挺を魔法で制御しなければなりません。くろねさん、魔法は使えますか?」
「い、一応……?」
「では私がサポートするので使い慣れた魔法を打ってください。輸送挺に乗って飛び立った後、始めます。」
「わ、わかりました……」
話終え、二人でテントを出る。輸送挺の準備が済んでいて、そのまま乗り込んだ。
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