書の火明
21話目です。
ここで一区切りです
鳥のさえずりに目を覚ました。昨日とは打って変わって清々しい朝だ。
夏野さんと別れたあと、私達は結社の例の家へと帰った。魔物から逃げ回りかなり疲れていたので布団に入ると直ぐに眠れた。
身支度を済ませてしたに降りると、なにやら私宛の手紙が届いているようだった。差出人は夏野さんだ。どうやって住所を調べあげたのかとか、疲れもせずこの手紙を書いていたのかなど疑問は浮かぶが、一旦その思考は捨てて手紙の封を開ける。
『拝啓
昨日の今日ですが、おかわり無いでしょうか。あの後も私はずっと話の続きを書いていました。やはり依頼での経験のお陰か、非常に筆が乗ります。これならいつもよりずっと早く書き上げることが出来そうです。
しかし、結局くろねさんが私に会いに来た理由は教えて頂けませんでしたね。今度お会いした時に聞かせて貰いたいです。
もし、貴方が私のように魔法を使わずに生きている人に会うことが目的なのなら、次は東の小国へ行くと良いと思います。
そこには、魔法での医療ではなく、道具を使って患者を診る医者がいるそうです。会ってみてはイかがでしょうか。
私には貴方の目的のすべてを知ることはできませんが、貴方の望む結果になるように、ささやかながら祈っています。
先日はありがとうございました。
敬具』
昨日の夏野さんの人柄からは思い浮かばないような格式張った口調の手紙。私の目的を察し、手がかりをくれた。
東の小国とは、どのくらい東だろう。ここがそのまま日本なら、東にあるのは小さな島暗いしか思い浮かばない。とにかくその国について調べ、航る方法などを見つけて行かなければ。また、アーカーシャに会えれば良いのだろうけど、そう簡単にもいかないみたいだ。実際昨晩は夢を見なかった。
調べものは……図書館だろうか。また夏野さんに会う事になるかもしれない。こんな手紙を貰ったが、また直ぐの再開になるとは。
皆の前に揃った朝食に向かっていただきますと挨拶する。
私は、この世界で一人でもないらしい。
そう思うことで、少しだけ心が軽くなった気がした。
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