枕流
18話目です。
「暗くて見えないが、みんないるよな?」
「私はいるけど。」
「私もいます!」
「います~」
「はーーい」
「よし、全員いるな!」
手元も暗くて見えない位だから、前を歩く人の裾をつかんで連なってあるいている現状だ。全員いて良かった。が……
「あの、明かりとか……無いんですか……?」
そう。さっきから私が思っていることを、夏野さんが代わりにいってくれた。そういう魔法はないのか。家は建てられるのに。
「それが、この洞窟に入った辺りから魔法が使えないんだよ。何度も試してるんだが……」
「やっぱり?私もおかしいと思ったのよ。」
「じゃあ、目的地までずっと……いや、目的地でもこの暗さ?ヤバイんじゃないですか……?」
「かなりまずいかもしれないな。手元も足元も見えないんじゃ行動できないし……」
「い、一回戻って明かりを持ってきませんか?そうすれば……?!」
「なんだ?なんかあったか?」
「い、いや……」
ふと顔を横に向けた。ここまで歩いてきてずっと真っ暗で見えなかったので、景色なんて見えるわけ無いと思ったが……少し遠くに、白くぼやぼやとした人影が見えた。
「シーーーー……」
口許に人差し指を当てて「静かに」とジェスチャーをしてきた。あの人を見たことは誰にも言うな、と言うことだろうか。あの人は一体……
「うわ、まぶしっっ!!」
声に驚いて振り替えると、お兄ちゃんの手元からの強烈な光で照らされた。確かにまぶしい。が、これは……
「魔法、使える……?」
「きゅ、急に出来た。」
「よくわかんないけど、まぁ見やすくなったし良いんじゃない?目的地の洞窟の最奥はもうすぐみたいよ。道が細くなってきてる。」
確かに、気づかなかったが入り口より狭い。といってもこれだけの人数が余裕を持って歩ける幅はあるが。
「コウモリをさっきから見かけますね。暗闇で光ってたのは彼らの目だったんでしょう。」
「団長、この先何があるの?」
「えっと……依頼書には、依頼主がそこで待ってるって書かれてるな。」
「だったら、早くいった方がいいんじゃ?」
「依頼主がいるんならここに呼び出す理由ってなんなの?」
「まぁわからないが、とにかく急ごう。はぐれたりしたから結構時間たってる。」
「は、は~い……」
「耳がいたい話ですね……」
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