土の下の新天地
お久しぶりです。
139話目です。
「……な、なんで魔物が急に消えたんだ? よく見えなかったんだが……」
「今はそれよりも……香子さん、無事ですか!」
「……は、はい~。私は大丈夫です~」
魔物がいた所から立ち上る土埃で視界が霞んで周囲の状況がよく見えないが、さっきとそう変わらない場所から香子さんの声がした。
なぜ突然魔物が消えたのかは良くわからないが、取りあえず香子さんが無事だったのなら良かった。地面も普通の土に戻っていたので、立ち上がって香子さんの方へ向かった。
「香子さん、立てますか? 気をつけて下さい……魔物は地面に潜ったのかもしれないし……」
「いえ、魔物は私の魔法で消えてしまったんです。」
「え? 香子さんの魔法? それって、何でしたっけ?」
香子さんは右手に握っていた巻物を広げた。
「以前にも、くろねさん達にはお見せしましたが、私は魔力を込めて触れたものを巻物の中に閉じ込めることができます。ですが、制御が難しく、とっさの場合に魔法が暴発してしまうことがあるのです。今回の場合は、良い場合でしたが……」
「じゃ、じゃあさっきの魔物はその中に閉じ込められて、出てこられないってワケ? 戦わなくても良いなんて、凄いわね!」
チッタちゃんが真っ先に反応した。戦うことを面倒くさそうにしている彼女からしたら革命なのかもしれない。もっとも、面倒くさそうに戦うのは私達の結社に入ってからの話だが。一度負かされた私達と共闘するのが未だに嫌なのだそう。
「ていうか、さっきの魔物が消えたんなら、もう依頼は終わり? こんなところに長く居たくないし、正直もう疲れてヘトヘトなんだけど!」
「うーん、どうだろう。大将格は倒した……のか? あれが女王で合ってるのか分からないが。」
「ま、待ってください団長さん。今の魔物はどうみても今までの飛ぶ魔物とはタイプが違いますし、天敵のように見えますよ。今の……地中の魔物とは別に女王がいるか、もしくはそれらしい部屋的なのがないとおかしいです。」
ハル君の言っていることは正しかった。
元の世界の価値観で考えるのならば、飛んでいる魔物は蜂やアリ、地中にいた魔物はアリジゴクといった虫に当てはめられるだろう。そんな二つの特徴を持つ魔物が同じ社会の中で上下関係を作るのだろうか?
もしかしたら、地中の魔物は餌を必要としないのかもしれないが……それにしたって、どうみても種族の違う動物を自分達の社会の最高位に当てはめるのは不自然だ。
「じゃあ何よ、まだ大きいのがどっかにいるってこと? 今のより大きくて気持ち悪いとか、絶対ムリなんですけど!」
「で、では、一旦外に出てみるというのはどうでしょうか? 探知魔法が使えない地下ではなく、外から探して、一気にそこに向かっていって倒す……とか。」
「確かに……香子さんあったま良い!」
「どーやって出んのよ。魔法かけられてて壁は固いし、天井も高いし、来た道も分かんないしでどうしようもないじゃない。」
「ぐ……レイの言うとおりだ……どうしたもんかなぁ、こんなに訳のわからない作りしてて、ただでさえ迷路状態だから探索も厳しいし。」
レイ先輩とお兄ちゃんは首をかしげたまま止まってしまった。
中々良い案が思い浮かばないまま、皆下を向いてしまったのだった。
「あ。」
「ど、どうしたルーノ?」
「下は?」
「下? 下って……下?」
「なに言ってんのか分かんないんだけど。ちゃんと説明してよ。」
「他の部屋は床が固かったけど、この部屋はさっきの魔物のせいでさらさらになってる。この下は白のの一部じゃないかもしれない。」
「おぉ! 確かに床が砂だな! でも、砂の下に潜るなんて新手の自殺としか思えないぞ……」
「あー! 見て見て団長さん! この砂掘ったら、レンガみたいになってるよ!」
はっとしてティロちゃんの立っている方へ向かうと、確かに砂を掘り下げていった下に石畳のようなレンガのようなものが敷いてあった。
明らかに人工物の発見でこの城と依頼について謎が深まったが、とにかくここの下には空間がある可能性が高いということで、この先に行ってみることになった……
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