渇望
137話目です。
「ぜ、全然終わりが見えませんが……あとどの位いるのでしょう……」
「さぁ……まだまだ来そうですけど。」
「や、やっぱり私達も戦った方が良いんじゃ?」
「いや……これだけの量で、私達が囲まれたら危険ですし、言われた通りにこの中で待っていた方が良いんじゃないかな……」
私と香子さんは、透明な壁で覆われた四角い箱の中にいた。ルーノ先輩曰く、「君たちは安全な場所にいないと危ない」だそうで、私達のいる方とお兄ちゃん達のいる方とを分ける壁と同じ、魔法の壁で守られた。
が、確かに私達だけ安全な場所から見ているのがもどかしいという気持ちも分かる。でも、私達が戦った所で危険だというのも分かっているのだ。私は皆のように戦えないし、香子さんに怪我をさせるわけにはいかない。敵に囲まれたらこの状況で、私達がいるということはハンデに近いのだ。
こんなことを自分で考えていても、自分の無力さを呪いたくなるだけで良いことなどない。そんなことをしている暇があるのなら皆を応援するべきだ。そう思って皆の戦う所を眺めていた。
皆、高く飛んだり跳ねたりして自在に動き回り、空を飛べる羽を持つ相手をものともしていない。格闘技や剣術の美しさとは異なった、魔法というものの魅力に取りつかれてしまいそうな美しさがあった。
やがて魔物達も押され始め、遂には魔物達の姿も見えなくなった。
「……大丈夫?」
ルーノ先輩とチッタちゃんは、真っ先に私達の方に来て、そんな言葉をかけた。本当なら自分達が貰う筈の言葉を。もちろん私達は大丈夫だ。今までこの人たちに守られていたのだから。
私にもっと力があったら。魔法を上手く扱えたら。今までそんな事考えたことも無かったが、この状況で、だれかに甘え続けているわけにも行かないのだ。
「これで全部か?」
「まだいたら面倒すぎよ。今ので終わりであって欲しいわ。」
「でもこれで終わりなら、女王っぽいやつも見当たらなかったし、いないってことになるのか?」
「こういった生物には大抵いると思うんですが……おかしいですね。」
アリやハチなど、女王のいる社会を作る昆虫は私も知っているし、この魔物達は見た目敵にもハチに近い。でも、女王だけが存在しないなんて、そんな事があるだろうか?
殲滅をしないと依頼を達成出来ないのに、と皆で首をかしげていた。
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