計略の古城
135話目です。
「とにかく、まずはここから出る方法だな。さっき来た方向から出ても、また魔物に追いかけられるだけだろうし。」
「うーん、さっきは壁に通路があったけど……そう何個もにたような部屋があるとは思えないし。それに、ここの壁魔法がかかってて、壊すにも面倒なのよ。」
「そ、そうなのか。壊そうなんて思わなかったから知らなかった……となると、どこかに別の部屋に通じる穴があるのか?」
「かもしれないわ。でも、さっきは見つけた通路を通ったら魔物がたくさんいたから気を付けないと。」
広い部屋のあちこちに散らばって、部屋を探索することになった。どこから調べようかと辺りを見渡してみるが、これといって気になるところは見付からなかったので、取りあえず近い壁に寄って眺めてみた。
「なにも見つかりませんね……そもそも、出入り口というのはいつも僕らが届く位置にあるものなのでしょうか?」
「どういう事だ、ハル?」
「いえ……僕達今まで通ってきた穴というのは、落ちる穴と横穴の二種類だったじゃないですか。」
「そうだな。一つは食料の運び口だったらしいが。」
「はい。それって不自然だと思うんです。だって、あの虫……魔物達には羽根があるのに、基本的な出入り口は地面から続く廊下なのは変でしょう?」
「確かに……」
「だから、もしかしたらこの城って人工物なんじゃないかと思って。」
「そうか、人間が作った城に魔物が住み着いたのかもな。隠し通路があったっていうのも、そういうことなら頷ける。」
「じゃあ、また隠し通路がある可能性は大ってこと? また、壁を叩くの?」
「いや、物理的に壊すような通路なんて通路とは言えないだろ。多分どこだかに仕掛けがあると思うんだが……」
「仕掛けって、どんな仕掛けよ。」
「うーん、例えば、ある一部分の床を踏んだら床が抜けるとか?」
「典型的な落とし穴じゃない。引っ掛かるわけないわ。」
「今も罠として使われてるかは分からないがな。」
「……あれ? 何だろう? ここだけ床の色が違うよ!」
「「は?!」」
お兄ちゃんもチッタちゃんも同時に振り替えっていたが、これには振り向かざる終えないだろう。まさかその通りの「典型的な落とし穴」のスイッチがあるなんて。
「ど、どこにあるんだ?!」
「こっちこっち~! ……あ、」
ティロちゃんは、ぴょんぴょん跳び跳ねて場所を示していた。のだが、ついうっかり色の違う床に乗ってしまったらしい。
床全体が二つに大きく裂け、まるで扉のようにぱかんと穴が開いた。
あまりに猶予のない落とし穴に皆まっ逆さまに落ちてしまった。
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