不良の心持ち
130話目です。
「チッタさん、空洞がありそうな扉を見つけました!」
「オッケー。ちょっと待って。あと少しで解呪できるから。」
そう言ってチッタちゃんは、地面に置いた女の子の人形の頭を撫でた。
すると人形は、ケタケタと少し不気味な笑い声を上げ始めた。しばらくすると動かなくなったが……
「……よし、出来たわよ。」
「あの、チッタちゃん、今のは?」
「魔法を移したのよ。直接的な解呪は面倒だから、この子に壁の魔法を転移させたの。ほら、カッチコチよ。」
チッタちゃんが撫でたときは柔らかそうに首を降っていたのに、触ってみるとその人形は石のように固かった。
なるほど。壁の魔法だけをその人形に移せば、余計に疲れなくて済む。新たな魔法が産み出される意味と言うのは科学と変わらないのだろう。人間はいつだって、より便利でより強い力を持つものを求め続けている。
「これでもう壁を壊せるはずよ。」
「おっけー! じゃあもう一回! てやあぁぁぁあ!」
さっき見つけた空洞がありそうな壁に向かって走り、同じように一発拳を叩きつけた。
すると今度はティロちゃんの拳が触れると同時に壁はぶっ飛び粉々になった。
「……強烈ね。まぁ良いわ。あなた達の思った通り、道があるわね。」
砂埃が晴れると、少し暗いが奥へと続く道がはっきりと存在していた。
「団長さんたち、この先にいるのかな? お~~い!」
「…………流石に返事はないと思うけど。まぁ取りあえずここ行ってみないと。本当にこの先に他の人達がいるかもしれないしね。」
「そうですね! 早めに皆さんと合流しましょう。」
「そういえば、最初に予定していたより大分時間かかってるし、もしかすると帰るのは夜になるかもしれないというか、夜になるだろうけど、香子さんは大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ、多分。」
「多分って……危ういわね。」
「でも、もう遅いからと言えど今さら帰りたくないですし、そもそも帰れませんよ。」
「まぁそうだけど……あなたのお父様は心配とかしてないの?」
「少し位大丈夫ですよきっと。お友だちと遊んできただけですから。」
そう言って一番先に壁の穴に入っていってしまった。
今の反応的に、もしかすると香子さんは、お父さんのことがあまり好きではないのかも……?
最後まで読んで頂いた方、誠にありがとうございます。
面白かったらブックマーク、感想よろしくお願いします。




