脱出口
129話目です。
部屋の中をぐるっと一周して、出口がないかを探していたが、それらしい空間などは見つからず、この後の事について考えることにした。
「この部屋……幼虫がいる事以外は特に何もないのかしら。」
「見た感じはそうみたいですね。でも、魔物は全部倒さないといけないってレイ先輩が言ってたような。」
「ここの幼虫達もってこと? ……将来的に成体になるからってそこまでする必要ある?」
「それは分かりませんけど……襲ってくる気配はないし……」
「こいつらほっといたら勝手に大人になるの? なら倒さないといけないかもしれないけど……とりあえずはこのままで良いんじゃない?」
「そうですね……じゃあ、皆と合流したらこの部屋の事話しましょう。」
「といっても皆さん、ここは丸く壁で囲まれてますし、壁にも特に変わったところは無いように見えますが……」
「閉じ込められたってことね。壁を壊せば出られるのかしら?」
「やってみるね! えーーい!!」
「えっ?! ちょっと待っ……」
ティロちゃんは聞く耳持たずに壁の方まで走っていって、一撃を食らわせた。
女の子が壁を殴る音にしてはあり得ないような大きな音がなったが、壁には傷ひとつつかなかった。
「待ってって……もう……」
「壁を壊すのは無理そうですね。どうしましょう。」
「あのコのパンチで壊れないんなら、何か魔法がかかってるのかもね。城の中も、外から見た感じと違ったし。」
「じゃあ魔法を解かないといけないってこと……?」
「簡単な魔法なら私にもできるわ。あなた達は壁の向こうに空間がありそうなところを探しておいて。」
「わ、わかりました。」
チッタちゃんが壁の魔法を調べてる内に、香子さんが持ってきた剣で壁を叩いて空洞を探す。
今気がついたが、天井付近の落ちてきた穴はどこかに消えてしまっていた。先ほどまでフラスコのように大きく穴が空いていたのに。幼虫が出てくる穴も上の方にあるだけで、下は形が崩れた穴ばかりだ。
「くろねさん、ここの壁の音が違います!」
香子さんが見つけた壁を同じように叩いてみると、確かに音が違う。部屋全体に魔法をかけなくても、ここの部分だけ魔法を解いて、ティロちゃんに壊してもらえば、少しの労力で済むので、ここの壁だということを忘れないように剣を置いてチッタちゃんを待った。
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