虫の蕾
128話目です。
「見た感じ……中はそこまで狭くはなさそうだが、暗いな。どこまで続いてるのか分からないから、はぐれるなよ皆。」
「りょーかいです! でも団長さん、敵がいっぱい出てきたらどうするの?」
「広範囲の魔法とかは危ないかもな。でも魔法を使わないわけにもいかないし……気を付けろとしか言えないな。」
「あ! じゃあ縦に並んでいけばバラバラになることもないんじゃないかな?」
「ずっと縦でいられれば良いけどな。まぁ、じゃあ並んでいくか。」
ということで皆で一列に並んでぞろぞろと洞穴のなかに入っていった。確かにはぐれないようにするには良い案かもしれないが、何年ぶりかと思うほどには幼いな絵面である。
「思っていたより暗いですね。魔物が突然出てきたら驚いてしまうかも……」
「全然前が見えない……香子さん、ここの床滑りそうだし気を付けてください。」
「本当ですね。レイさん、ありがとうございます。」
魔法で一回閉じ込めた魔物達は、戻ってくるとどこかに行ってしまっていた。この奥にいるのだろうが、進む以外無いので暗い道と足元に気を付けながら先に進んだ。
「あれ? 行き止まりか、もう壁があるぞ。」
「そんなはずないわ。まだここの洞窟で一匹だって見つけてないじゃない。」
「でもこの先はもう道が……っ危ない、避けろ!!」
咄嗟に体は動いたものの、足を滑らせて尻餅を付いてしまい、そのまま落とし穴の様なところに落ちてしまった。
同じく穴に落ちてきたらしい香子さん、ティロちゃん、チッタちゃんが上から降ってきた。
「いたた……なんなのよもう!」
「後ろから魔物さんが来てたみたいだね……私達以外は上にいるのかも。」
「上って……あの穴から落ちてきたの?ずいぶん高いけど。」
「床が柔らかいからあんまり痛くなかったみたいだよ! 不幸ちゅーの幸いだね!」
「幸いとも思えないけど……おしり痛いし。で、ここはどこなのよ。」
辺りを見回してみるが、柔らかい床とドーム状の高い天井以外に特に何もないし、魔物の姿も見当たらない。
「……空き部屋? いや、そんなものわざわざ作らないか……」
「あ、あれ見てください!」
香子さんが指差したのは、天井だった。
他の壁と同じように穴が開いている。
「何もなくない?」
「いや、あの中から……ほら! 白いイモムシが!」
「気持ち悪っ! 何ここ、幼虫の部屋なの?!」
「見たいですね。この壁中にいるのかもしれません。」
「何よそれ! 早く出ましょう!」
「皆さんにも会わないと行けませんし、出口を探しましょうか。」
きっと上の皆は大丈夫だろうとは思うが、あんまり離れている訳にもいかないので探索しながら皆を探すことになった。
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