大輪のひとひら
122話目です。
――――あれから、お兄ちゃんがレイ先輩との話を終えてやって来た。
私やルーノ先輩、チッタちゃんは呼び出されて、臨時会議が始まった。
「いいか、魔物の巣はレイが見つけたものの、どうやら複数個あるみたいだ。めんどくさいが、別れて戦うぞ!」
「りょーかい」
見せてもらった地図に書いてあった、魔物の巣と思われる場所に行っても、それらしい後とかはやはり見つからなかった。もしかしたら土の下とかで生活しているのかも、と考えていると、他の人達が早速巣を見つけ出した様な声が聞こえてきた。
「みーーーーんなああああ! スッゴいでっかい巣! 見つけたよ!!」
……あれ?
「皆さん! お早く! 物凄く沢山います!」
……この声は、ティロちゃんと、香子さん?
「わぁっ?!」
「きゃっ!」
二人の悲鳴が聞こえた方を見ると、大地が裂けて、巨大な蜂の巣のような塊が飛び出していた。さらに、その巣を出入りする無数の大きな羽虫……
底が見えず、まだまだ地中に体を埋めている巣からは、家を荒らされ怒った虫がティロちゃんや香子さんに飛びかかっている。
「助けなきゃ」と咄嗟に思うが、手段がない。普通の虫よりも何倍も大きく、共謀な魔物に対して私に出来ることは……
「やあぁーーー!!」
あたふた考えている内により沢山の虫が二人に向かって襲いかかるが、虫の気持ち悪さや驚きなどものともしないティロちゃんが、辺りの虫を薙ぎ払った。
「ティロさん、すごい……!」
香子さんからも素直な称賛の声が上がった。さっきまであれだけふわふわしていたと言っても、やはり目的は見失っていなかったようだった。
「だ、大丈夫ですか、ティロちゃん……?」
「うん、全然へーきだよ! ハル君は大丈夫?」
「ぼ、僕は虫はちょっと……」
「そっかー、でも、もういなくなったから大丈夫だよ!」
「そ、そうです……ね……?」
虫が苦手らしいハル君は、突然の虫の集団に驚きすぎて固まってしまっていたようだ。しかしイケメンなティロちゃんはハル君の心の心配も書かさない。これで一安心、だと思ったのだが、ハル君はまた固まってしまった。
「どうしたの、ハル君?」
「あ、あれ……」
「んー?」
駆けつけた皆が、ハル君が指を指す方を見る。
そこには、さっきの巣とは比にならない程の大きさの巣……いや、もはや「城」が出現していた。
「な、なんだあれ!」
「多分、あれが地下深くに隠れてたから、探知魔法じゃ上手く見つけ出せなかったのよ」
「あんなバカでかいのがあって、依頼が簡単なわけないだろ! ちゃんと調べろよ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないわ、あれが蜂の巣だとしたら、女王がいるはずよ。」
「そいつを倒せば良いのか?」
「そうね。女王と言うからには城の一番奥にいるかもね。」
「一番奥だな。よし、いくぞ!!」
「「「おーー!!」」」
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