花の芽吹きは安らかに
119話目です。
あれから30分ほどが立ち、集会所の広場的なところで待っていた私達は、再び受付へ向かった。受付の役員的な人が、ルインさんが私たちを呼んでいる、と教えてくれたからだ。
大方、調べてもらっていた依頼の決着がついたんだろう。丁度良いのが見つかれば良いのだが……
「結論から言うと、あったわ。」
まぁ、そんな簡単に行くわけがないか……
「やっぱりな、しょうがない……って、え?」
「あったわよ、超初心者向け激ヌル難易度の依頼が。」
……依頼が見つかったことにも驚きだが、難易度がそこまで言うほど簡単な事にもある意味で驚きだ。そんなに言って、結局は魔物を倒すのだから、少なからず危険は伴うんじゃないのか?
「ほ、本当にあったのか? どんなやつなんだよ?」
「本当よ。しかも目的地も近場だし。ただ……」
「ただ?」
「めんどくさいわ。とっても。」
「だからどんな内容なんだよ……」
「まぁ本質的には魔物の群れの討伐なんだけど、その魔物達が巣を作っているらしくてね。その巣がどこにあるか分からないらしいのよ。」
「? 目的地は近いんじゃないのか?」
「その魔物の群れが目撃された場所が目的地だからね。そこから巣を探しだして、退治しないといけないのよ。しかも、なんかすごい小さいらしいわ。」
「巣が?」
「魔物が。 手のりサイズが大量に集まってて、繁殖力も高いから一匹でも逃したら不味いことになるんだって。」
「……それ、本当に難易度低いのか?」
「ま、手のりサイズだから魔物自体の難易度は低いんでしょ。頑張ってね~」
昨日、あれだけ追いかけっこをしたと言うのに、今日も、というか更に難易度は上がっているような気もするが、同じことの繰り返しだ。先行きが不安を通り越してもう既にお先真っ暗ではないのか。
昨日の、犬と同じくらいの大きさの魔物で、そこまで怪我をするような危険な部分は見当たらなかった事から、香子さんが傷を負うような事はないとしても、相当時間がかかるし、労力がいるし。人数が多くなっても、相手の城である巣すら見つけられていないところからのスタートでは、始まる前からため息も吐きたくなる。
依頼の内容を聞いてあきれたような表情をしたレイ先輩と、未だに眠そうなルーノ先輩、元からやる気はなかった上に、今の話で更に表情が険しくなったチッタちゃん等、その場のほぼ全員が疲労困憊の予感を感じているなか、香子さんとティロちゃん、ハル君はこれから始まる旅に心を踊らせていた。
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