星の見える庭
114話目です。
「よし……や、やっと、15匹……捕まえた、ぞ……」
「お疲れさまでした、皆さん。どうぞ中に。お茶の用意がしてあります。」
時刻はとっくに夜中の2時。ルーノ先輩もティロちゃんもみんなへとへとで、雪崩れるように屋敷の中に入った。
「皆さん今日は本当にありがとうございました。私達だけでは何日掛かったか……」
「いや、俺達ももっと大きいのがいるんだと思ってたと言うか……まさかあんなに小さいとは思ってませんでしたよ。」
「え? あれより大きいのがいるんですか?」
「え、いやあれはむしろ小さい方……もしかして香子さん、魔物見たこと無いですか?」
「……えぇ、お恥ずかしながら。転送魔法以外で殆ど敷地の外に出たことがないんです。」
「そうだったんですね……というか、この家のご主人が噛まれたって言うのは大丈夫なんですか? 魔物とか、毒持ってたりするし。」
「あ、それは大丈夫です。今日も元気に狩に出掛けていきました。」
「そ、そうですか。ならいいんですけど。」
「そうそう、皆さんもう遅いですし、本日は泊まっていってください。お部屋が用意してありますので。」
「あ、ありがとうございます。」
この広い家の中にいくつ部屋があるのかは分からないが、その中の一室をそれぞれ割り当てられたので、部屋に向かうと、高級ホテルでもあり得ないような豪奢な装飾と一体いくらするんだと言う程の大きさと質の家具達でコーディネートされていた。
その光景に少し目眩がしたが、落ち着いて、もう遅いので寝る準備をしていた。
この中で寝られるかな、等と心配していたが、ベッドはまぁもちろん最高級の物なので疲れた体にはクリティカルヒットだった。
しかし、明日の朝準備に時間がかかりすぎたりして香子さんに迷惑をかけるわけにもいかないので、明日の準備をしておいてから眠ることにしよう。
そうして準備をしていると、大きな窓を叩く音が聞こえた。
「やぁ、こんばんは! 元気かい?」
「あ、アルクトス?! なんでここに……」
「楽しそうなことをしているからね、来てしまったよ! それで、君のお兄さんについては何か分かったかい?」
「…………え?」
「え? どうしたんだい。もしかして、ズートリヘスの絵の事忘れてたとか?」
ズートリヘスの絵。確かルーノ先輩と留守番をしていた時に、手紙と一緒に置いてかれたものだ。
「忘れてました……」
「な、なんてことだ。ズートリヘスはずいぶん頑張ってあの絵を描いていたのに。」
「え? アルクトスが描いたんじゃ……」
「いや。僕は、僕たちの生みの親は博士だと思っている。博士は君のお兄さんとは似ていなかったと思うよ。何より年を取っていたしね。でも、ズートリヘスはそうじゃないと言うんだ。だからどんな人だったのか絵にしてもらったら、どう見ても君のお兄さんだったから、君にあの絵を渡したんだよ。」
「そうなんですね。でも、特になんか……怪しいところ? とかは無いと思いますけど……」
「そうなのかい? まぁそれならそれでいいんだけど……ズートリヘスがなんの話をしているのか、気になるなぁ。」
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