始まりは同じくして
105話目です。
「……そういえば、君ってまともな魔法使えないんだったよね? そんなので大丈夫なの?」
アストラルさんに言われてハッとしたが、この前にザックさんと一緒にポラリスに会ったとき、手も足も出ない……というか、何をされているのかすらわからなかった。
たしかに、自分を守る手段が全くないというのは聞けんかもしれない。そうでなくたって魔法を使える人がこの世界では普通なのだから。
「そうは言っても、俺たちだって魔法については詳しくないぞ? 魔法について一番よく知っているのはこの世界にすむ人間たちだ。言ってしまえば俺達も人工知能も、この世界に迷い混んだようなものなんだから。」
「でも、最初に会ったときに兄さん、魔法教えてたよね? あれってどうやったの?」
「あれは、ただ真似しただけだ。この世界において最初に魔法を使った動物。要するにはじめての人間が、魔法を使ったときと同じようにしただけだぞ。」
「やっぱり、最初に会ったときに魔法を使った人間っているんですね。」
歴史の途中から作られたというこの世界。人間は生まれもって魔法というものを備えていたのかとも思ったが、炎と同じく、閃きによってそれは産み出されたようだった。
「そうだな。最初の魔法は毒だ。」
「ど、毒? 火とか風とかじゃなくて?」
「それはもっとずっと後のことだ。最初の魔法として人間は毒を産み出した。」
「どういう事ですか? 毒のある植物とかってこと?」
「いや、そもそもこの世界には毒性のある植物は存在しなかった。何故だかはわからないが、病気等も元の世界と比べてずっと少ない。ほとんどの動物が寿命で死んでいったんだ。でも、人間は狩りをするために毒を作ったんだ。」
「魔法の、毒……」
「植物とかを混ぜて、呪いを込めて毒にした。人間が火を使った理由とおんなじだ。結局世界が変わっても、本質は変わらないということかもしれないな。」
毒を産み出す魔法をはじめとして、この世界にはとても多くの魔法が存在しているらしい。
図書館で借りてきた本と、あとはレイ先輩とかを頼って、自分でも魔法を勉強してみないと。
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