星の光を知る者よ
102話目です。
取っ手に掛けた手が、後ろから止められた。
しかし、全く驚いた素振りも見せずにベガちゃんは喋り出した。
「……私はこの中に入れてくれないの? どうして?」
「お前は危険だからだ。」
「あなただけ独り占めしてずるいわ。」
「兄さんは僕の兄さんだ。」
「いつまでもそんな縁にこだわって、子供みたい。」
「子供でいいよ。お前みたいなやつから兄さんを守れるなら、なんでも。」
「守れないわ。アーカーシャは殺されるのよ。あなたがどれだけ頑張って見張ったって。あの人の内臓まで守れる訳じゃないでしょ?」
「そんなこと、絶対にさせない。」
「あなた程度じゃ無理よ。一体いつまで一人で見栄を張ってるつもりなの? 今に限界が来るわ。」
「お前だって兄さんを殺せないだろ。」
「ふふ、そうね。じゃあ、今日はもう変えるわ。またね、お姉ちゃん。」
そういって、何かの魔法で姿を消してしまった。
ベガちゃんと話していた人……アストラルさんの方を振り向くと、あきれたような顔をしていた。
「……あのさぁ、君って馬鹿なの?」
「……すみませんでした。」
「まぁしょうがないけどさぁ。おかしいでしょ、小さな子供が世界がどうこうの話するなんて。」
「その通りです。」
「とにかく、これからはああいう変なやつの言うことほいほい聞かない事。分かった?」
「はい……」
そんな話をしていると、アストラルさんの後ろから声がした。
「まぁまぁそんなに怒ってやるな。何もなかったんだし、良いだろう?」
「に、兄さん? なんで外に……」
「散歩してたんだ。暇だからな。」
「一人で出歩いちゃ危ないよ! 今みたいなやつが来たらどうするの?」
「大丈夫だ。自分のことくらい自分で守るさ。それで、君はせっかく来たんだから何か話すことがあるんじゃないか?」
「はい、星座種の人工知能について……」
「いや、こんなところで立ち話なんてするもんじゃないな。中に入ろう。」
促され家の扉を開くと、中は真っ暗だった。
この家には窓もあって、外からの光が差し込んでいるはずなのに……
「あぁ、明かりがないな。」
部屋中の燭台やランプに火が灯ったかと思えば、そこは外観からは想像もつかないような内装の、前にも見たことのある部屋だった。
「どうした? 何かあったか?」
これが普通のことのように微笑んで訪ねられたが、予想だにしていなかった明かりの付け方だし、そもそも魔法が普通だともまだ思えていないので、返す言葉もなかった。
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