この星の下に
101話目です。
昨日、ここでベガちゃんと別れてから約一日経ち、約束通り昨日と同じ場所に来ている。
特に何時という約束はしていないが、昨日と同じくらいの時間に待っていれば良いだろうということで、今現在彼女を待っているところだ。
それにしてもこの街は、日中は毎日賑わっているのに夜はとても静かで、昼と夜で全く違う街のようだ。元の世界では夜も昼も関係ないくらい街は眩しかったし、その眩しさのお陰で星が見られなくなったくらいだった。一昨日あんなに眩しかった星が霞んでしまうほどに私たちの街は、うるさいほどに輝いていたんだと実感した。
「お姉ちゃん、来てくれたのね。」
声のした方に振り向けば、昨日の少女……ベガちゃんがよかったいた。
「うん、約束したしね。」
「じゃあ、いこう。」
そういうなりベガちゃんはいきなり私の手をつかんで走り出した。
「え、と、徒歩で行けるの? なんか……魔法とかじゃなくて?」
「魔法は必要よ。でも、こんなに人が一杯いたら使えないわ。」
「そ、そっか。でも走ると危ないから、歩いていこう?」
ということなので、少し人の気配が少ない街の外れの方まで歩いてきた。
「ここまで来れば魔法も使えるよね。お姉ちゃん、手を離さないでね。」
「う、うん。」
「じゃあいくよ。」
ベガちゃんは、すうっと大きく行きを吸って祈るように手を組んだ。
「……『竜の涙』」
組んでいる手と手の間が光って、一滴の滴が落ちた。
今まで地面だった場所は、滴が落ちれば水面のように波打ち、たちまち表情を変えた。
気づけば、そこは雲の上のような世界だった。
前にアーカーシャに会ったときは、暗い屋敷のような場所だったが、ここはあそこと通じているのだろうか。
「ここはまだ何もない、最初の場所よ。地面もまだ決まっていないの。アーカーシャは「サボり魔」ね。」
「アーカーシャが、ここを作るの?」
「その約束なのに、サボってるのよ。ずっとそんなだと、怒られちゃうわ。」
しゃべった回数なんて二回程しかないが、「サボり魔」という感じではなかった気がするが。それに、あんなにすごい力を持っていて、あの空間にアストラルさんと二人でいるのに、誰と約束して、誰に怒られるというのだろう。
「ほら、見えてきたわ。あれがアーカーシャの家よ。」
「え? あ、あれが? 本当に?」
うんうんとベガちゃんはうなずいているが、あの広い館があの中に収まっているとはとても思えないくらい質素で小さな家だ。窓にはガラスもはめられているようには見えないし、屋根も壁もコンクリートは愚かまともな石材も使われてなさそうだ。本当にあれなのか?
そんな事を考えているうちに家の前まで着いてしまった。ベガちゃんはドアの取っ手に手を掛け、中に入るつもりだ。開けるために弱く力を入れた瞬間、別の誰かにそれは止められた。
「ねぇ、何してんの?」
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