星を訪ねて三千里
100話目です。
二人とのお別れも済ませ、集会所も込み合う時間になったので、そろそろ帰ることにしよう。その前に一応ルインさんに挨拶はしておこうかと受け付けに向かう。
「ルインさん、おはようございます。昨日は夜遅くにすみませんでした。」
「そんなに珍しい事じゃないし、大丈夫よ、気にしないで。というか、仮にも街の案内所が早く閉まりすぎな所もあるわよね。まぁ、今度は変なことに巻き込まれないようにね。」
「はい、ありがとうございました!」
……と、いった矢先の話である。集会所を出て割とすぐに、小学生位の少女に話しかけられた。
「……お姉ちゃん、それ、なんの本?」
私の持っている三つの本を指差して聞かれた。特に隠す必要もないので、魔法と、星と地理歴史の本だと素直に答えた。
「じゃあ、お姉ちゃんが旅人なんだね。」
「旅人?」
「世界と世界を旅する人。星を墜とす人たちのことよ。」
「星をおとす? そんな事しないけど……」
「ポラリスを知ってる?」
「え……」
この子はポラリスのことを知っているのか? だとすれば、この子もその仲間……?
「ねぇ、知ってるの?」
「し……知ってる。」
「なら、私を助けてくれる?」
……ポラリスを知っているから、彼女を助けるというのはよくわからないが……まぁ困っているのなら手を貸さない理由もないし。
「いいけど……なんで?」
「ポラリスは仲間を増やしたいのよ。月日が巡れば巡るほど、ポラリスの力は弱くなるの。」
「それで、あなたが狙われてるってこと?」
「うん。その星の本にも書いてあると思うけれど、北極星は一つじゃない、一人じゃないのよ。」
「た、助けるって、具体的に私はどうすれば良いの?」
「私をアーカーシャのところに連れていって。」
ポラリスについて何かを知っているこの少女をアーカーシャのところに連れていく。それは大丈夫なのだろうか? もとの世界について知っている人と言えばアストラルさんや、アルクトスではダメなのだろうか。それに……
「アーカーシャのところに行くのって、起きたままでも行けるの?」
そう、私は夢の中でしか彼にあったことがない。アストラルさんにはついこの間助けて貰ったばかりだが、あの空間にこのまま行けるのかと言われたら、違う気がする。
「行き方は知ってるの。お姉ちゃんは着いてきてくれるだけで良いのよ。ほら、行きましょう。」
「ちょ、ちょっと待って! い、今行くの?」
「ダメなの?」
「い、今はちょっと……明日なら!」
「……じゃあ明日、またここで会いましょう。きっとよ。忘れないでね。」
……また巻き込まれてしまった。じゃなくて、別れる前にこれだけは聞いておかないと……
「あの、きみ、名前は?」
「……墜ちる、鳥。」
「鳥?」
「ううん、何でもない。私の名前は、ベガっていうの。お姉ちゃんは?」
「そっか、よろしくね。私はくろね。」
「……うん。くろねお姉ちゃん、また明日。」
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