予知夢
「できたっぽいな。」
「じゃあ、帰ろっか!」
家に帰る途中、綾人から色々話を聞いた。中学時代は、芸能事務所からも声がかかるほどイケメン男子として学校では有名だったらしい。
「で、バレンタインでその女が…あっ!俺道こっちだから、じゃあね、悠ちゃん!」
「ああ、じゃあまた明日。」
そう言って綾人と別れた。別れてからはすぐ、さっきのことについて整理してみることにした。
「一年前の夢も、昨日の夢も、俺が見た夢が現実で本当になってるってことか…ってこれじゃあ本当に超能力者じゃん…」
「ま、でもこれで八重木さんの連絡先も交換できたし、予知できるって最高じゃねえか!」
そう思いながら家に帰った。
「ただいま。」
「あ、お兄ちゃん!お帰り~!ごめんね、今日お弁当作ってあげられなくて。」
「全然大丈夫、面白くて良い奴に助けてもらったからさ。」
「面白くて良い人?」
俺は晩御飯を食べながら綾人のことを話した。
「へー!その綾人さんって人、凄く良い人なんだね!」
「だろ?しかもあいつ超イケメンなの。中学時代には芸能事務所から声がかかったとか…」
「え⁉イケメンなの⁉綾人さんって!」
「う、うん。」
「今度家に連れてきてよ~!会ってみたい!」
「あ、ああ。き、聞いてみるよ。」
(イケメンって言った瞬間、由利のテンションが上がった気がする…女って怖い…」
「本当⁉楽しみ~!部屋綺麗にしとかなきゃ!」
(まあ、家に来るだけならいいか。)
そう思いながら風呂場に向かった。
「予知か…」
風呂に入りながらボーッと考えたが、特に答えが出てくることはなかった。
風呂に出て、スマホを見ると、大量の通知が来ていた。
「うお!なんだよこれ!」
通知を開くと、綾人からの大量のスタンプだった。いわゆるスタ連だ。俺は綾人にすぐ電話を掛けた。
「もしもし、悠ちゃんどうしたの?」
「どうしたも何も、何だよ!あのスタ連は!1000件以上溜まってんだけど!」
「あー!元気にしてるかなって!」
「だからって1000件もやるかよ!しかもよく見たら〈俺イケメン?〉って言う問いかけ式ナルシストスタンプじゃねえか!」
「あ、これからランニング行くから!じゃあね~!」
「…切れた。」