相木ってやつ
「坂見悠太です。一年で三組です。」
「え!?三組?俺と一緒のクラスじゃねえか!」
あ、はい、そうみたいですね…」
「タメ口でいいよ。アンタ良い奴そうだし、悠太って言ったけ?」
「あ、ああ。そっちの名前は?」
別にビビッてたから敬語だった訳じゃない。念のためだ。
「相木綾人、よろしく!」
「綾人か…よろしくな。」
「よし、教室戻って早く食べちゃおう!」
(チャラチャラしてそうだけど、良い奴そうだな。)
そんなことを思いながら、俺たち二人は教室に戻った。
「机くっつけて食べようよ。」
綾人が強引に俺の机とくっつけてきた。
「いいけど、お前友達多そうなタイプだし、もっと他に一緒に食いたい奴がいるんじゃねえの?」
「いや俺、初日とか全然喋りかけてくれなくてさ、このかっこよすぎる顔のせいか?」
「うわ!ナルシストは痛いぞ~!」
そんなことを言ってるが、俺でも分かる、綾人は超絶イケメン男子だ。あと一か月にもなれば女子からモテモテな最高に幸せな男になるに違いない。
「冗談、冗談!それより昼休憩もう終わるよ。」
「え?本当だ!」
俺は半分以上残っているパンを口に詰め込み、五限目の授業を受けた。
「はい、じゃあこの問題分かる人いるか?」
「はい!」
(お、綾人、手上げてんじゃん。)
「よし、じゃあ相木言ってみろ。」
「うーん、34です!」
「違う!まず答えが整数になんかならないぞ!」
今ので分かった。綾人は馬鹿だ。
「あちゃー!まじかー!」
その後も綾人は5,6限目の全部の問題に手を上げたが、一度も答えが当たっていることはなかった。
「号令!」
「ありがとうございましたー」
「いやー!まさか一個も当たらないとはな~!」
授業が終わってすぐ、綾人は笑いながら俺のほうに来てそう言った。
「途中からみんなドン引きだったぞ、てかお前メンタル強すぎ、恥ずかしくねえのかよ。」
「え?手を上げることなんか全然恥ずかしくないよ。」
「自信満々に答えて間違ってる所がだよ!!」
「お、HR始まるぞ。」
(ったく能天気な奴だな。)




