考え
「ああ、初日だったから疲れたのかもな。」
笑いながら話してくる妹。昼に俺が言いかけたことには触れてこない。
(きっと気を使ってくれてるんだろうな)
その後も由利と他愛もない話をして晩御飯を食べ終えた。
「ご馳走様。」
「あ、お風呂が沸いてると思うから先お兄ちゃん入ってきていいよ。」
本当にできた妹だ。
「分かった、じゃあ入ってくるよ。」
風呂に入りながら今日見た夢を振り返ってみた。夢なんて起きたらすぐ忘れるはずなのに、今日の夢は怖いほどに全部覚えている。
「あんなのが現実にあったらいいよな~」
「1年前の夢みたいに予知夢にでもなってくれないかな~」
そう思いながら風呂を出た。風呂を出てからは、すぐ寝る支度をした。
「じゃあもう俺は寝るわ、おやすみ。」
リビングにいてくつろいでる由利にそう言った。
「え!?20時30分だよ?」
「まだ疲れてるから早く寝ようかなって。」
「分かった!おやすみ~」
本当は落ち込んでるからなんて言えもしなかった。少しため息をつきながら俺はベットに入った。
「ん…眩しい…」
きっと朝になったんだろう、結局昨日はあんなに寝たものだからなかなか寝つけなかった。今日は妹が早く学校に行かなくちゃいけないらしく、ご飯を用意できないということだったので、俺は焼いたトーストにバターを塗って朝食を終えた。
「行ってきます。」
学校に行く支度を済ませ、誰もいない家に一言つぶやき、学校に向かった。
学校についてすぐHRが始まり、それが終わるとすぐ授業が始まった。今日から授業が正式に始まるが、全く乗り気じゃない。勉強が苦手というわけでもないが、得意でもない。
(やっぱ一年前に見たやつと同じ奴らなんだよな~」
教室を見回してボーッとそんなことを考えていた。
(そういや、八重木さんって何組何だろう?」
同学年ってことは分かるが、何組までかは分からない。
(というかまず八重木朱音って言う名前で合ってるのか?)
夢で教えてもらった名前だから本当は違うのかもしれない。




