交換
「ふーん、なんか普通の名前ね。」
「逆に何を求めてたんだよ!」
「こんな最低でキモイ人なんだから、もっと変な名前だと思ってたわ。」
(こ、こいつ…本当に生意気な奴だな。)
「まあ、いいや、で?連絡先は?」
「は、はあ⁉な、なに言ってるの?」
合崎が驚く。
「え?連絡先、交換しないの?」
「ば、ばっかじゃないの⁉あんたと連絡先交換なんて死んでも嫌よ!」
(なんか、すげー傷つくな…)
「分かった、じゃあ、連絡先は交換しな…」
「まあ、あんたがそんなに私と連絡先を交換したいなら、してあげても良いけど?」
「い、いや別に…」
「はい、私の電話番号、早く追加してくれる?」
合崎は自分のポケットからスマホを取り出し、自分の電話番号を見せる。
「は、はい、分かりました…」
あんだけ傷つく事を言われたが、ここで交換を拒否したら、次は泣くだけじゃ収まらないと思った俺は、合崎の言うことを聞くことにした。
「はい、電話番号入れ終わったぞ。」
(あ、そういや、合崎の名前って何なんだろ?)
俺は自分のスマホで登録した合崎の連絡先を見る。
「えーと、あ、あった。美月?へえー、お前、美月って言うんだ。」
「そうよ、なんか文句でもあるの?」
「いや、いい名前だなって思ってさ。」
「は、は⁉別にそんなお世辞いらないんだけど!」
「あ、はい。」
(本当は嬉しくて、照れてるくせに。)
「と、とりあえず!今日の夜、私にメールを送ってきて。それじゃあ、私は教室に戻るから。」
そう言うと、合崎は階段を下りて行ってしまった。
「なんでメールなんか…まあ、いいか、俺も教室に戻ろう。」
そうして、俺も階段を下り、教室に向かった。
「悠ちゃん!遅くない?俺10分前には着いてたんだけど? 」
教室に戻ると綾人が一目散に俺の方へ来てそう言ってきた。
「わ、悪い、道に迷ってさ~」
まあ、隠さなくてもいいのは分かってるが、何となくだ。
「そっか!これからも屋上でご飯食べる?」
「そうだな、人もいないし、そうするか。」




