昼休憩
(どうせ由利は綾人狙いだろうな。でもまあ、色々あったけど、今日は楽しかったな。)
そんなことを少し、心の中で思った。
「悠ちゃんー!昼ごはん食べよー!」
次の日の昼の休憩時間、いつも綾人と昼ご飯を食べている。
「そうだな、でもなんか今日教室人居すぎじゃね?」
教室を見回すと、人がたくさんいて混雑している。きっと、別のクラスの人もいるのだろう。
「うわ、本当だ!じゃあ…今日は食べる場所変えてみる?」
「え?食べる場所なんて教室ぐらいしかないだろ。」
「どうだろうね?じゃあ、ちょっとついてきて!」
そう言うと、綾人は教室を出る。
「悠ちゃん、早くー!」
「わ、分かったよ。」
俺も綾人に続き教室を出る。
「おい、まだかよ。」
今階段を上っているが、全然着かない。
「もう少しだから~!」
「そんなこと言ったって、一階から四階まで上ってきてるぞ?本当にどこに行くんだよ。」
「屋上だよ。」
少し前にいた綾人が振り返る。
「お、屋上⁉」
「うん!悠ちゃん、屋上があるって知らなかったの?」
「知らなかった…」
「まあ、行ってみたら分かるよ!今ここが四階だからもう一個上だね!よし、上ろう!」
この学校に来て一週間経つが、入学説明でも屋上なんて言われなかったから、ないものだと思っていた。
(ちょっと楽しみだな。)
そうして、わくわくした気持ちで、屋上に向かった。
「悠ちゃん、着いたよー!」
目の前にはドアがあるが、ドア越しからでも薄っすら屋上が見える。
「結構広そうだな。」
「じゃあ悠ちゃん、ドア開けるよ。」
綾人がドアを開ける。結構広くてベンチなんかもある。誰もいなく、俺達だけだった。
「おい、人いないぞ?本当に来て大丈夫なのか?」
「大丈夫だって!ほら、ベンチもあるし、あそこに座って食べよ!」
綾人はベンチに向かって走る。
(まあ、あの人がいっぱい居る教室よりかはましか。)
そうして俺も歩いてベンチに向かった。
「そういや、俺が塾に行った後、八重木さんと仲良くやれた?」




