恋と夢
1年前、俺は不思議な夢を見た。夢の内容は俺が高校生になった夢だった。教室にいて周りには友達もいて恋人なんかもいた。1年前の夢だったこともあって内容はそこまでしか覚えていない。ただその夢の中の俺はとても楽しそうな顔をしていた。
「お兄ちゃん朝だよ」
妹の声で目が覚める。俺は妹と二人で暮らしている。父は生まれた時からいなくて母は2年前に死んだ。以来ばあちゃんがたまにうちに来てくれるがまぁ実質二人暮らしということになる。そんな俺は今日から高校生だ。
「お兄ちゃんも遂に高校生だね~」
朝食の準備をしていた妹が嬉しそうな顔をして言ってきた。
「あぁやっとだよ。念願の高校生デビュー!」
そんな話をしながら朝食を取り終えた。
「じゃあ行ってくるよ」
妹は中学2年生。大体の家事はやってくれている。正直感謝しかない。
「行ってらっしゃい!」
俺は家を飛び出し少し歩いたところでふと1年前の不思議な夢を思い出した。
「あんな充実した高校生活になったらいいな」
小さな声でボソッと言った。
「ここだな、俺の学校。」
家から歩いて20分。近いのだか遠いのだか、、、この学校はまだ造られて3年くらいだから学校の校外校内ともに超ピカピカだ。学校に入ってすぐ体育館で入学式が行われた。入学式が終わった後、発表された教室に行った。
「俺のクラスにはどんな奴がいるんだろう」
辺りを見渡してみた。
「ん?なんか見たことある奴らがいる気が…」
「まぁ気のせいか。」
そのまま教室でのホームルームは終わり昼前には帰ることになった。帰る準備をして学校を出ようとした時、ふと1人の女に目がいった
「可愛い」
無意識にその言葉が口からこぼれた。
「でもなんか見たことあるんだよな~」
クラスの奴らといいあの女といい既視感がありまくりでもやもやしていた。家の帰り道でもそのことについて考えていた。
「絶対知ってるんだよな、、、、、、、あっ!!!思い出した!!」
「クラスの奴もあの可愛い女も全部1年前に見た夢の中の奴らだ。」