表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

やってみなくちゃわからないでしょ?

全4話です。毎日更新します。

 私はコーヒーが大好きである。


 イタリアから直輸入したエスプレッソマシーンで作ったエスプッレッソを楽しむのが最近のマイブームである。コーヒー豆は、近所のコーヒー豆屋で量り売りをしているものを買っている。程よい酸味と苦味のバランスを楽しむブラジル豆も好みであるが、最近のお気に入りは、果物のような甘い香りを楽しむことができるグアテマラ豆である。


 私はお気に入りのコーヒーミルで豆を挽く。丸みを帯びた本体と蓋のてっぺんに生えている大きなレバーが、プロペラ型のアイテムをつけたロボットみたいで、愛くるしい。木製の柔らかな丸みを帯びたクラシカルなデザインは、私の手になじむようにフィットする。ゴリゴリと手に響く振動と心地よい音は、私の一日の始まりを奏でるセレナードのようである。芳醇に香るコーヒーの匂いが、私を憩いの空間へと誘う。


 挽きたてのコーヒーをエスプレッソマシーンにセットし、コンロに置く。5分ほどで、最高のエスプレッソが出来上がる。この一杯で、最高の朝が迎えられる。


 窓から入り込む少し冷たい風が部屋中にエスプレッソの香りを運ぶ。

 私の手に比べて少し小さいエスプレッソカップを、人差し指、中指、そして親指の三本の指で、優しく持ち上げる。口の中に流れ込むエスプレッソは、旨味、香り、コク、酸味、苦味、全てのものを凝縮した液体状の琥珀である。




 私はイカ飯も大好きである。


 イカにご飯を詰めて、醤油ベースのタレで煮込んだ料理である。歯ごたえのあるイカに染み込んだ醤油が、塩辛くも甘辛い絶妙なハーモニーを奏でる。イカの中に詰められたご飯は、適度な弾力を保ちつつも、イカの弾力を邪魔しない程度の歯ごたえで、舌の上で踊る。ぶつ切りにされたイカの足が、アクセントとして絶妙な機能を果たす。口の中に時折現れるイカの足の弾力は、頭から胴体まで単調な弾力になるイカ飯の弱点を見事に緩和している。おかげで飽きることなくイカ飯ひとつ丸ごとをペロリとたいらげてしまえる。

 イカ飯がひとつあれば、朝食、昼食、夕食を問わず、一食がこれで賄える。私の腹と心を十分に満たしてくれるのだ。




 さて、私はコーヒーもイカ飯も大好きである。

 しかしながら、私の大好きなコーヒーと私の大好きなイカ飯は相性が悪い。

 私は、それが残念でならない。


 私は私の大好きなコーヒーと私の大好きなイカ飯を同時に美味しく味わいたいのである。

 コーヒーに合うイカ飯が食べたい。この想いが私の挑戦の始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 コーヒーとイカ飯への愛が伝わりました。 しかし、同時に食そうかとは思いもつきませんでした(笑)。 いや、そこにそれしかなかった場合は、何も思わず食すかも・・・い…
[良い点] また面白そうなものを! 私も、コーヒーもイカ飯も好きですが、2つを会わせようとは思いませんでした……! 新しい試み、続きを楽しみにお待ちしています♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ