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隔世遺伝  作者: 播磨王65
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4話:吉崎君の父は証券マン

そして、1年の時に、まだ、受験勉強まで、時間があると思い、電話して日曜日、頻繁に吉崎君の家を訪問した。そして吉崎君のお父さんからチューリップ、バブルの話。橫浜では橫浜港開港の時に、ジェーディンマセソン商会ができて、派手に日本の生糸を買って、生糸相場が乱高下した。これが、日本での相場の始まりだろうと教えてくれた。その他、第一次世界大戦後、船の需要が落ちて、誰も買い手がない時代に、きっと、もう一度戦争が起きると考えた人が、大型船の賃料が一番安いときに、借りた。


 そして1-2年我慢して第二次世界大戦となって賃料が100倍、200倍に跳ね上がって、大儲けした話などもしてくれた。次に時代を読む事が、投資では一番重要なんだと力説していた。でも、言うのは簡単だが、実際には、難しいし、読みが外れたら、大きな借金のやまさとも言った。それでも、池墨君は、相場をはってみたいかと聞くので、男として生まれた以上、大変だけれど、山あり谷ありの人生の方が、生きてるって実感がもてると思いますというと、そりゃ豪気だなと笑った。


投資をするときには、僕の所で口座を開いてねと言うと、わかりましたと答えた。それを聞いた吉崎君の母が、純真は子供に、そんな事を教えちゃまずいじゃないのですかと言った。それに対し、リスクがあるからリターンがあるのですよねと言うと、その通りだと吉崎君の父が、池墨の肩をたたいた。そして、この日も、美味しいケーキと紅茶をいただいて、家に帰ってきた。しかし、父の池墨真一は、謹厳実直な、ミスター・銀行マンみたいな男で、投資とは全く縁がなく、金利の高い預金、税工場がある投資商品を探していた。


 そして金がたまるか、どうかは、入ってくる金「給料」と出ていくお金「食費、交際費など使う金」の差なんだと、常々言っていた、もし給料が同じとし、使う金を削れば、金は自然と貯まる、これが数学の理論だと口が酸っぱくなるほど、池墨伸介に言い聞かせていた。その話に、だんだんと反発して、そんな人生味気ないと、心で、そう思うようになって行った。今年も川崎の東芝系の工場で夏休みにアルバイトへ行った。池墨と吉崎君は、別のグループで仕事をしていた。池墨が、ある時、お前、随分、頑張って、休まずに働くなと言われた。ご褒美に寿司でもおごって、あげようと言われ25日の給料日、電車で野毛の寿司屋に連れて行ってもらった


 。、寿司を頼んでもらった。呼んでくれた現場の大将は、刺身をつまんでビールを飲んでいると、かなり年いった、化粧の濃い40歳近いと思われる女が隣に座って、お酌して、おしゃべりしていた。そして、20分位して、勘定は俺に付けておいてくれと寿司屋の板さんに言い、店屋の2階へあがっていった。今考えると、あれがちょんの間とか、客引きとかいう手合いだったと思われる。この時、池墨は、何か見てはいけないような、人生の裏側を見たような気がして、やるせない気持ちになった。


 しかし、自分は、あーならず、太く生きてやるんだと、自分を奮い立たせた。その後、冬休みも2人で、同じ所でアルバイトをして、池墨も、吉崎君も、その金をためていた。そして1977年となった。この頃から、大学受験を真剣に考えるようになり、池墨は、吉崎君は、自転車で、東神奈川から近い六角橋の古本屋に、大学受験の問題集や参考書を買いに言った。池墨は、橫浜市立大学商学部の過去の受験問題集を、吉崎君は橫浜国立大学工学部の過去の受験問題集と参考書を買った。

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