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隔世遺伝  作者: 播磨王65
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1話:生い立ちとアルバイト

 池墨伸介は1960年6月21日に、東京の亀有で生まれたが、父の仕事の関係で、橫浜に引っ越した。そして、橫浜市水道局で働く、磯崎信子と、新宿の歌声喫茶で出会い、数年の交際後、結婚して、池墨信子となった。池墨伸介の曾祖父、池墨真之介は、1859年に橫浜の関内駅の近くで生まれたと言われていた。実家は、最初、生糸商人で財をなして、大きな邸宅に住んでいたようだ。しかし、生糸相場で失敗して、家もなくなり、かなりの借金を抱えて子供達は養子に出されたと聞かされた。


 その以前の先祖の話は、全く出なかった。それについて池墨真之介は、興味もなかったので、聞くこともなく育った。父の池墨真一は、橫浜商業を卒業して橫浜銀行に就職していた。真面目で仕事一筋のタイプで、長男の池墨伸介とは、反対の性格だった。池墨伸介は、新しもの好きで、数学が得意だった。1973年8月1日から、中学1年、夏休みになって、池墨と吉崎君が川崎の海芝浦の東芝関連の工場でアルバイトを捜してきた。2人とも体が大きく、がっちりしていたので、給料の良い、現場の仕事を選んだ。


 日給2千円、昼食付きで9時から17時、1時間、昼休みで換え入りは、風呂には入れるシステムになっていた。8月、1ケ月間で5万円の給料が約束されていた。しかし、実際にやってみると、驚きの連続だった。まず、この当時の川崎は、太陽が黄色く見えて、空気は煤塵だらけ、海はドブ臭いという、最悪の環境だった。そこで、ヘルメットとマスク着用を義務づけられた。マスクと軍手は午前用と午後用2セットが支給されていた。しかし、午前中でマスク、軍手は真っ黒になって、臭かった。


 これで、世の中の現実が良くわかった。そして仕事は、この東芝関連の下請け企業の手伝いで、工場の掃除、機械、工場の原料の搬入、搬出が、主なものだった。その後、秋になり、池墨は、吉崎君は、自転車で橫浜港や周辺の観光名所を走り回った。そして、秋が来て、冬休みになると、池墨と吉崎君が川崎の海芝浦の東芝関連の工場でアルバイトをして、しっかりためた。そして、年の瀬が近づき、1974年を迎えた。4月にな中学2年生になり、漠然と将来について考え始めた。


 池墨は、得意な数学を生かして経済の勉強をして投資の世界に入ってみたいと考えていた。吉崎君は、理工系、特にコンピューター・ソフトウェアに興味を持っていた。しかし、今年の夏休みも池墨と吉崎君が川崎の海芝浦の東芝関連の工場でアルバイトをして5万円のアルバイト代を稼いで、池墨は、お年玉などもため込んで20万円を貯めていた。吉崎は親戚も多いので30万円ほど貯めていた。その後、池墨は、勉強もしっかりしていて今年1974年10月4日、中学2年で、成績も良くクラスでも5番以内に入った。


 父は、自分が大学を卒業できなかったので息子は大学を出してやろうと考えていた。その後、なぜか、株価が気になるようになり、朝起きて、朝食の時、テレビで米国株ダウ、ナスダックが上昇したとか、下落したというのをニュースに興味を持った。父は、43歳で、以前から着実な預金で運用して、既に3千万円の預金を貯めていた。母40歳も橫浜市水道局職員として19年間、働き続けていた。伸介に兄弟はなく一人っ子であったが、明るい性格で友達も多く、寂しくはなかった。

 

 住まいは、母、池墨信子が結婚してから19年間、京浜急行の黄金町、日ノ出町徒歩15分の3DKの橫浜市水道局の官舎を格安で借りていた。やがて、冬が来て、今年の冬休みも川崎の東芝系の工場へアルバイトに行った。そして1975年を迎えた。

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