銀行襲撃イベント【その2】
ちょっと期間が空きすぎて、書き方わかんなくなってました。
適当ですいません。
「おらぁ、こっちこい」
「……た、助けてぇ」
「うるせぇ、黙れって言ってんだろ。その脳みそぶち抜くぞ」
「はい、黙ります」
「それでいいんだよ、全く。煩わせやがって」
首にぐるりと腕を巻かれ、頭に銃を突きつけられている俺。
だが、全く怖いとは思わない。
いや、だってたぶん倒そうと思えば一瞬でこいつらは倒せるし、今なら銃弾だって躱せる気がする。そもそも俺の皮膚を銃弾で打ち抜けるのかすら曖昧だ。
実際には避けたことないし、確証はない。まず銃を持っている魔獣なんていないので検証の使用もないのだ。
「ちょっと待ってください! 私がその子と人質を変わります!」
すると、先ほどまで隣に座っていた日向アナウンサーが立ち上がり、逆にややこしくなるようなことを言い出したのだ。
いや、本当にお願いします。
そこで黙って座っててください、本当に勘弁してください。
そういう勇気ある行動はいらないです。
「あ゛!? って、おいおいおい! 有名人様じゃねぇか、こりゃちょうどいい! お前の方がこんなバカよりも、よっぽど人質らしいわな。こっちこいお前!」
俺の首を軽く締め上げていた強盗が日向アナウンサーの体を嘗め回すように見て、そんなことを言い出したのだ。
そして、用無しとなった俺はお尻を蹴り上げられ、床に倒れ込んだのだった。
敢えて言おう、これは俺なりの演技だ。
普通の人間に蹴られたところで、心構えが出来ている俺はこんな簡単に飛ばされたりしない。
とりあえず、今は住人Gを演じることにしているんだ。
だから、本当にさ……。
見知った顔が人質になるとか、勘弁してほしいのさ。
俺と日向アナウンサーが入れ替わるように、彼女が人質となってしまった。
その時だった。
『現在、この銀行は警察によって包囲されている。大人しく、外に出て来なさい。今ならば、刑罰が軽くなる可能性があります』
外から渋い男性の拡声器で拡散されたような、少し割れた声が聞こえきたのだ。
その声に、強盗集団は驚くそぶりを見せた。
「は? 早すぎねぇか!?」
「嘘だろ!? まだ数分しか経っていねぇぞ!」
「くそっ、これは想定外だ」
「おい、さっさとバッグに鐘を詰めやがれ! 急がねぇと、お前の脳天もぶち抜くぞ!」
「…………事前に察知されていた可能性があるな」
思いのほか警察が銀行を囲んだようだ。
俺はホッと安堵すると同時に、強烈な違和感を股間に抱えることとなった。
(……トイレに行きたい)
そういえば朝起きてからトイレに行ってなかったことを思い出し、ぶるりと震えるほどの尿意にさらされたのだ。
しかし、目の前には銃を所持した強盗が六人とアナウンサーの人質がいる。
さて、どうするべきか。
一つは素直にトイレがしたいという方法だろうか。
まあ、十中八九「漏らせ」と冷たく突き放されそうな気もする。
二つ目は、ばれないように高速で移動してトイレに駆け込む。
この場合、体が一瞬だけ光ってしまうのでばれてしまう確率が高い。
そして、三つ目。
どこからともなく現れた水鳥たちが強盗を攻撃し、無力化してしまう。その隙にトイレに駆け込む……という、俺は関係ないアピールをしつつも全てを解決する方法だ。
(よし、三番目で行こう)
俺は強盗に無理矢理地面に座らされ、無抵抗を装いつつ下を俯く。
そして周囲の誰もが俺を見ていないことを確認して、小声で詠唱を始めた。
「『ウォーターバレット』ッ」
その瞬間、俺とは離れた場所の空中に突如水でできた鳥が出現した。
「うぉ!?」
一人の強盗がそれを見つけ、思わず声を上げていた。
しかし、ばれる前にやってしまおう。
俺はすぐに魔法を起動し、強盗全員の後頭部へとぶつけた。威力は極めて低くしてあるので死にはしないだろうが、脳は大いに揺らされるレベルの攻撃だ。
そして――。
俺は誰にもバレずにミッションをクリアすることになった。
突然、強盗たちが倒れたことにここにいた全員が驚きつつも、慌てて全員が銀行から出るように走り出した。
そんな中、俺は一人トイレのある方向へと向かった。
「あっ、君!」
と、そこで俺は誰かに後ろ手を引かれる。
ちょっと膀胱が限界を迎えそうだったので、無理やり腕を振り切りトイレへと向かった。
「ふぅ、万事休すだった」
無事に膀胱は守られ、俺は手を洗ってからトイレを出た。
しかし、トイレを出てすぐの場所で彼女が待っていた。
「……ねぇ、さっきの君の仕業?」
「あぁ、日向さん。何のことですか?」
「とぼけないでよ。私、君が詠唱している声を聞いたから」
「えっと……忘れてください。というか、忘れた方がいいですよ」
「君ってもしかして……1位?」
「さぁ、詮索はやめてください。では」
こうして俺の平穏は守られた、そう思っていた。
翌日の朝、コンビニへと向かうのにマンションを出ると、そこには日向綾香が待っていた。
「取材させてください!」
「断る!」