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――Buongiorno.
諸事情があり、昨日は投稿できませんでした。申し訳ございません。
そんな中でも楽しんでいただければ幸いです。
「小十郎が一緒に入らずに、誰がわれの身体を洗うというのだ」
政宗の常識のなさは小虎の予想の範疇を超えていた。
「「……」」
小虎が政宗のほうに振り返り、二人が見つめあう。
時間が凍りつく。
……。
一緒に入る?
「政宗、もう一度言ってもらってもいいか」
先に仕掛けたのは小虎だった。
「だから、われの身体を小十郎が洗わずして誰が洗うというのだ」
それに政宗が受ける。
「……」
「……」
そして、再び時間が凍りつく。
「お前はどこぞの貴族かァ――――――!」
「われは仙台藩初代藩主であり、奥州の大大名だ!」
「そうだった……ッ」
どこぞの物語の貴族かと思ったら、このロリ――日本版の貴族じゃねえか。
小虎はその事実に膝をつきかけるが、あることに気付いた。
「いや、待て。政宗。お前の生きていた時代でも、日本人は一人で入ってたんじゃないのか?」
「ぎくっ」
小虎が冷ややか視線を向けると、政宗は冷や汗をかきながら答える。
「よ、よく知っておったな。褒めて遣わす」
「うれしくねえよ」
政宗が話をそらそうとするが、小虎にそれは聞かなかった。
「というわけで一人で入れよ」
小虎はようやく安定が手に入ると思いながらリビングに向かっていく。
しかし、そう簡単に問屋が卸さないのがこの世界だと言うことを小虎は失念していた。
「ま、待つのだ、小十郎」
政宗が小虎の服の端をちょんっと掴み、上目遣いで見上げてくる。
……ヤメロ。そんなかわいい顔でそんなことやられると、男ならある程度は赦したくなってしまう。
しかし、小虎の願いは届かなかった。
「わ、われはこんな長い髪を洗うのが初めてで……。それにこの時代の勝手もわからん。だから……その、助けてくれんか」
うるうるとした目で見られると、自分が悪い感じがして、小虎に罪悪感が湧き上がってくる。
「だ、だけど……その…………お前、女の身体じゃ――」
「じゃが、小十郎にとってわれは男なのじゃろう」
「うぐっ」
こ、こいつ痛いところを。
小虎は日々言っていた『お前男だろう』を逆に利用され、一瞬たじろぐ。
「それに小十郎は、いまのわれのような幼子のような身体に欲情するのか」
「な、なわけないだろ」
さらに政宗から追撃を浴び、小虎の残りライフはほぼゼロだった。
し、しまった。ロリっ子にロリコン認定されかけて反射的に……ッ。
しかし、それは後の祭りだった。
「じゃあ、大丈夫だな」
政宗の咲き誇るひまわりのような笑顔。そして、その肢体に軍服を羽織っただけと言う倒錯的な姿に後押しされ、小虎はその言葉に頷くしかなかった。
「じゃあいくぞ。小十郎、出陣だ!」
時代劇から出てきたかのようなことを言う政宗。
ああ。出てきたかのようなじゃなくて、本人様だったか。
小虎はもう、自分の思考を吟味するような余裕も残ってなかった。
――ぱちんっ。
政宗が指を鳴らすと、その羽織っていた軍服が消えていく。
ああ、最後の砦が。
小虎の目の前にいる少女は、もう完全に生まれたままの姿だった。
「ほら、小十郎も脱げ」
「……脱がなきゃダメか?」
「当たり前だ。ほら、こういうのをああ言うんだろ『裸の付き合い』って。男同士なら当然だろ、こ・じゅ・う・ろ・う」
くそ。政宗は男と言い続けたむかしの自分を殴りたい。
「はぁ……」
政宗はあきらめ、服を脱いでいく。
「おお……」
政宗は我が家の浴室を見て、驚嘆の声を上げていた。
この家の浴室は、よくいうオール電化のもので、広くもなく狭くもなくと言ったところだ。
「なんだ⁉ この管は」
「それはシャワーって言うんだ」
「シャワー?」
「そう。そこにあるのを上にあげてみろ」
小虎はシャワーのレバーを指して政宗に言う。
「これか?」
「それそれ」
政宗は未知のもので警戒心があるのか、そのレバーに恐る恐る触れる。
「い、いくぞ。小十郎」
そして思いっきりそのレバーを上にあげた。
「うわ……ッ」
ばしゃーっとシャワーヘッドからお湯が勢いよく出てくる。
政宗はびっくりしたのか、シャワーを手から放してしまう。
「な、なんだこいつは。いきなり水が出てきて! もしかして生きているのか」
「んなわけないだろ」
政宗の反応にほっこりしながら、小虎はシャワーを止めた。
「ここをひねると水が出るんだ」
「ほー。で、どうなっているのだ」
「……さあ?」
政宗の質問に、小虎はとぼけたように返す。
でも、しょうがない。シャワーの仕組みを言える高校生なんてほとんどいないのだから。
「さあ?って、それは大丈夫なのか」
「ああ。大丈夫なのだけは知ってるから」
「そ、そうなのか……」
政宗は恐る恐るシャワーを掴み、レバーを上げる。
「おお……」
レバーを上げ下げする政宗は、感嘆の声を上げながら遊んでいた。
こういうところを見ると、年相応って感じだな。
小虎は無邪気にはしゃぐ政宗の姿を見ながら、そんなことを思っていた。
ほんと、普通の女の子だな……ッ。や、やばい。そんなこと考えたから、俺の雄心が少し反応してしまった。
「――ッ!」
政宗はじーっと小虎が見ていることに気が付いたのか、あわてたようにはしゃぐのをやめた。
「ほ、ほら、早く髪を流さんか」
政宗の顔は羞恥心に染まっていた。どうやら、はしゃいでいたのを見られたのが恥ずかしかったらしい。
「はいはい」
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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――Ciao.




