テスト1
「じゃあ、テストを始めよう。」
友香はそう言うと、学校指定のバッグのチャックを開けて、中からテスト用紙のようなものを取り出した。
和人はそのプリントの文字を見て疑問に思ったことを聞いた。
「もしかして、それってプリントとかじゃなくて、自分で作った物?」
「うん。」
友香が出したテスト用紙は綺麗な丸文字のプリントでホッチキスで留めてあった。
すごく申し訳ない感じがした。
「ごめん。俺のためにそこまでしてもらって。」
「いや、大丈夫。参考書とかの問題を引用しただけだから、作るのにそんなに時間かからなかったから大丈夫。」
友香は手を振りながら言ってきた。
「それより、テストを始めよう。」
友香は話題を変えるかのように言ってきた。
「うん。そうだね。」
僕もそれに応える。
テスト問題は基本問題から応用問題まであって難しかったが、どのテストも90%以上解くことは出来た。
結果は古文の問題が75点、漢文の問題が85点で漢文は80点に届かなかった。
「これならテストも大丈夫だよ。」
友香は褒めてくれたが、それでも和人は納得がいかなかった。
そんな和人は現状の和人ではかなり厳しいことを言った。
「次の中間テストの8教科の合計点で俺が君の合計点を超えられたらこの前に言った先生にならない理由聞かせてもらうから。」
「それくらいなら……」
「いや、言わないで。俺が君にテストで勝って教えてもらうから今は言わないで。」
友香は教えてくれるかのような口振りだったが、僕はそれを制止させた。
もちろん、和人が友香にテストで勝てる確率は低い。
でも、今回の結果で教えてもらうのはいけない気がした。
だからこそ、和人はテストで勝つことで教えてもらうことにした。
その後、和人は今日のお礼を友香に言って帰ろうとした。
そこで友香の母親の涼香が入ってきた。
「あれ、もう帰っちゃうの?夕飯の準備出来たから食べてって。」
「いや、悪いと思うのでもう帰ります。」
「和人君、お母さんが夕飯を作った時は絶対に食べないと帰れないと思って、食べてって。ごめんね。私が止めとけば良かったのに。」
友香は涼香に聞こえないように小声で、悪そうに言ってきた。
友香が嘘を言うはずもなく、せっかく作ってもらったのに無駄にするのも悪いと思い、和人は夕飯を頂くことにした。
涼香が作った夕飯は美味しかった。
「今日は夕飯、ご馳走になりました。」
和人はそう言って帰ることにした。
和人の家は友香の家から歩いて帰ると50分はかかりそうだったが、涼香が車で送って行くと言って聞かなく、半ば無理やりな気もしたが、送ってもらうことになった。
友香も乗っていくつもりであったが、涼香がそれをさせなかった。
帰りの車内では家族構成や両親の仕事、友香との関係などを涼香に聞かれ、答えられる範囲で答えてた。
そんな話をしてるうちに家に着いた。
「今日はありがとうございました。」
和人はそう言ってお辞儀をした。
「また時間があったら家に来てね。あと、友香がいないから言うけど、友香はあなたとの関係を壊したくないみたいだから今回のことでいつもの友香の印象と変わってしまっても友香のことを嫌いにならないでね。」
「はい。むしろ今回のことで更に彼女のことに気になりました。学校とは全然違う一面も可愛いと思いました。でも、このことは彼女には内緒にしといて下さい。」
「はい。分かりました。」
涼香は笑顔でそう言うと帰って行った。