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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第四章
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短期戦開幕!

 現在彼らがいる所は、ダイヤス帝国の裏側のちょうど街と反対側の森に面した場所から、少し離れた海域だった。


 一つの船に集まる悠魔、アリス、サリア、クリル、イオ、ステール、アウラ、ウィズは、作戦会議を始めていた。


 今回の戦闘では、王宮を制圧して、サリアを送り届ければこちらの勝ちだった。


「それで、この少数でどうするんだい?」


 こちらの人数は、ダイヤス帝国捕虜とアリテール王国の兵を合わせて六千程度で、この少数でどうやって、王宮を落すつもりなのか、アリスは興味があった。


 普通に考えると不可能で、彼女の考えた策がどの様な物か、お手並み拝見と言う所だった。


「作戦としては簡単です」


 クリルは前もって、ダイヤス帝国内部に数百名の部下を、怪しまれない様に長い日数をかけて、入国させていた。


 彼らには、こちらの合図と共に街で騒ぎを起こしてもらう、これについては、サリアの許可を得た、国民に害さえなければ、目を瞑ると言われた。


 そうして街とその反対側の、今自分達がいる所で騒ぎが発生すれば、戦力を分担する必要がある、街の方は騒ぎを起こし部隊は、敵の気を引ければすぐに、撤退してこちらに合流する手はずになってる。


「まぁ、大まかにはこんな所です、短時間短期戦です、もし夕暮れまでに王宮が奪還出来なければ、作戦を失敗と見なし、撤退します」


 数が少ないと、打てる手が少なくかなり不利だが、これにも原因があった、何故ならアリテール王国には、ダイヤス帝国見たいな軍艦はない、その為に移送出来る兵士の数も限られる、この三隻でさえ、アリテール王国がダイヤス帝国と戦争すると決めてから、急ぎ作られた船で、これ以上は用意できなかった。


「今回の作戦で、問題になるのは四魔騎士です」


 今は三人だが、暴食の悪魔のキュリウスを除き、残りの二人の情報は少なかった、一人は魔女で、もう一人は暗殺者くらいの情報しか、分からなかった。


「確認なのですが、暴食の悪魔の相手は、お任せしてよろしいですよね?」


 クリルが真剣な表情をして悠魔を見る、正直彼女もこの戦力での戦いで、戦力の分散はしたくないため、この国での一番の強者であろう暴食の悪魔を、少人数で相手してくれるのなら、願ったり叶ったりだった。


「はい」


「でしたら、悠魔様、剣姫の魔女、コトナ様お願いします」


 次にサリアを送り届けるのは、アウラとイオの二人の部隊が担当で、何処か頼りなさそうに、オドオドした少年が手置あげて、自分達の役割を確認する。


「そ、それじゃあ、ぼ、僕とイオさんが サリア様の護衛で、いいんですよね」


「はい、お二人にはサリア様の護衛をお願いします」


「大丈夫ですわ、私もいますし、そう緊張せずに頑張りなさい」


「は、はい、わ、分かりました」


 緊張する、少年の両肩に手を置き、勇気づけるイオだった。


 そして、最後にクリル、ステール、ウィズは敵兵の相手で、四魔騎士の残りの二人も彼らの担当だ。


「このくらいでしょうか、決めておく事は、他に何か意見があれば言ってください」


 その以後、誰も特別な意見は出ずに、その場は解散となる、元々彼らは戦闘民族見たいな感じで、細々した作戦が苦手だ、サリアの件もあり、今回はある程度役割分担をするが、普段の戦闘では守るはずの王が財前線に出て行ったり、兵を指揮するはずの四獣士が、真面に指揮をせずに、敵兵に突っ込んで行ったりとする人たちなので、部下達もそこそこ独自の判断で動ける。


 これには、毎度クリルだけが頭を悩ましている、しかし誰も、どれだけ言っても改善はしてくれない。



 そして、夜明けと同時にダイヤス帝国に上陸する、多少の抵抗もあったが、いるのは普通の兵士と騎士で、四魔騎士もクローン兵もおらず、簡単に制圧で来た。


「よし、それでは行きます! 全員進め!」


 クリルの号令と共に、動き出す兵達、悠魔達も此処からは別行動で、三人で動き出す。


「それで、どうするんだい? ピンポイントで、あれと会えるとは思えないんだが」


 アリスの言う事は最もで、今この島では、街の方の騒動も含め、森内部では、アリテール王国の兵士、捕虜となり、リアに協力してくれるダイヤスの兵で戦闘が発生していた。


「多分大丈夫だと思います、ダイヤス帝国が僕を諦めてなければ、すぐに釣れると思います」


 森の中を走りながら、そんな話をしていると、森の奥から、大量のクローン兵が姿を現す。


「いつ見ても気持ち悪いですね」


 悠魔は拳銃を取り出して、次々とクローン兵を射殺して行く、アリスは魔法を放ち倒す、コトナも剣を振るい次々両断して行く、いくら厄介な相手でも、この三人相手では意味をなさない。


「不気味にする事で、相手に恐怖を与えるが目的なんだろ」


「面倒ですね……一掃しましょう!」


 何処かイラついたコトナが、魔法陣を展開して、空を切る様に手を振るうと、同じ魔法陣が展開されて行く、その魔法陣から、魔槍(マジックスピア)が放たれる。


 放たれた魔槍(マジックスピア)が、辺り一面を吹き飛ばす、クローン兵はその余波に巻き込まれ、吹き飛んで行き、残ったのは壊れた木々だけだった。


「ふぅ」


 彼女は、満足そうな顔をするが、危うく巻き込まれ掛けた、悠魔は彼女に詰め寄り文句を言う。


「何するんですか⁉ 危うく巻き込前れる所でしたよ!」


 悠魔は彼女が魔法を放つ瞬間に、しゃがみ込み回避して難を逃れたが、せめて一言言ってほしかった。


 ちなみに、アリスは何事もなかったように、魔法の発動に合わせて、木々をつたい空に逃げ、余波を回避した。


「君達、言い合いは別にいいが、早く行くよ」


 地に降り立ったアリスは、緊張感なく言い合う二人を、後目に歩き出し、そんな彼女を慌てて、二人は追いかける。


「そういえば、コトナさんがさっき使った、魔法て何なんですか?」


 彼女は、前にも同じように、大量の魔槍(マジックスピア)を放っていたが、あれは何なのか興味があった。


 その疑問には、コトナでなくアリスが答えてくれ、彼女の説明は簡単な物だった。


 同じ魔法陣を複製して、同時にそれらに魔力を流し発動させてる魔法技術で、これを並列起動と言い、かなり難度高い技術で、かなり強力な物だが、何せ使い勝手が悪い。


「君は、まず普通に魔法を発動させれる様になるんだね、並列起動はそれから教えてあげるよ」


 魔眼を移植する前の悠魔なら兎も角、今の普通に魔法を扱うのも苦労する、悠魔ではとても扱えるものではなかった。


 そんな感じで、森を歩いて行くと、今度はクローン兵ではなく、鉄で出来た人形だった。


「人形か? ダイヤス帝国はこんな物も作ってるのか」


「クローン兵の次は、鉄人形ですか、これは少々面倒ですね」


 アリスは普段通りだが、コトナは嫌そうに、表情を顰める、それもそうだ、彼女は斬鉄なんて出来なく、こんな相手と戦いたくはなかった。


「その様子だと、君は斬鉄の心得はないみたいだね」


「ありませんよ」


「じゃあ、下がってるといい、数はそんなに大した事ないから、悠魔と僕で何とかする」


 それを聞いた悠魔は驚く、もちろん彼も斬鉄の心得などなく、魔法も発動には時間がかかる、こんな相手にどう戦えばいいか分からなかった。


「何事も経験だ、自分で考えろ」


 そう言い残し、彼女は魔剣ではなく、普通の剣を取り出し動き出す、彼女が鉄人形に剣を振るうと、何の抵抗もなく両断する。


 取り合えず、悠魔も剣を取り出し振るうが、やはりアリスの様にはいかなく剣は弾かれてしまう、さて、どうするかと考えるが、今の悠魔に出来る事は、魔法剣や魔力弾を使うための、魔力操作の技術くらいで、魔法はまともに使えない。


 魔力弾や魔力砲を使えば、倒せない相手ではないが、アリスがわざわざ剣を使って倒してる所を見ると、剣で倒せと言う事らしい、そこである事を思い付き、彼は試してみる事にした。


「よし、やってみるか」


 再び剣を鉄人形に振り下ろす、しかし、今度は剣の切れ味を増す様に魔力を纏わす、どうやら成功したようで、鉄人形を切断する、しかしそれでもアリスの様に綺麗な切断面は作れなかった。


「ほう、考えたね」


 悠魔が一体を倒す間に、アリスは他の鉄人形を倒しており、彼女の周りには、鉄屑と化した鉄人形が散らばっていた。


 散らばる鉄屑の切断面を、観察するように、悠魔は視線を送る。


「どうかしたのかい?」 


 不思議そうに彼女は、悠魔に問いかける、彼は無言のまま、アリスの持つ剣を見ると、そこには刃こぼれ一つない刃があり、どのように振るえば、こんな芸当が出来るのか不思議だった。


「何をどうしたら、こんな事が出来るんですか?」


 悠魔もコトナも改めて、目の前に立つ魔女が、並外れた力を持つ事を再確認した。




 三人は、森の中を歩いて行く、先頭はアリスで、真ん中に悠魔、そのすぐ後ろをコトナの順で森を進んでいく、鉄人形以降襲撃らしい襲撃はなく、離れた所からは戦闘音が聞こえるだけだった。


 先頭を歩くアリスは、何かに気がついた様に足を止める、悠魔もコトナもそれに釣られ足を止める。


「どうかしたんですか?」


「どうやら釣れたようだね」


 ガサリ、と音のする方を見ると、そこには、暴食の悪魔のキュリウスが立っていた。

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