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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第一章
9/227

ポテトチップス、フライドポテト岩の実最高!

「それでは、これより、岩の実を使った料理をしたいと思います」


「本当に食べるんですか?」


「美味しいよ」


「うぅぅぅ」


 何処までも不満そうに、唸る彼女を無視して、悠魔は調理の準備をする。


「それでは、レッツクッキング!」


 悠魔が、元気よく握りこぶしを振り上げ、調理をし始めた。


 その隣で、岩の実を食べるのに反対なカナは、気乗りしない顔で悠魔の調理を見ていた。


「よし、下ごしらえは、これでいいかな」


 悠魔の目の前には、薄切りやステック状にカットされたい、岩の実が並べられていた。


「悠魔さん油熱せたよ」


「ありがとうございます、それじゃあ、下ごしらえした岩の実を、油の中に入れて、色が付くまで揚げます、まずは薄切りにした方から投入」


 油の中に岩の実を入れると、ジュュュといい音が鳴り始め、しばらくすると、岩の実の色が付いたので、油から出し、次にステック状の物も投入して、調理を進めて行った。


「最後の仕上げに、塩を振り掛けて完成!」


「うぁ! 美味しそうな匂い」


「さて、味はどうかな?」


 テーブルには、悠魔のよく知るポテトチップスとフライドポテトが、並べられていて、とても食欲をそそる匂いを上げていた。


 悠魔は、ポテトチップスを一枚掴み、口に運ぶとパリと言う音を立てて、食べ始める。


「そう、この味だ! まさかもう一度食べられると、思ってなったな」


「うぅぅ、美味しそうだけど、これは岩の実……」


「まぁ、騙されたと思って」


 これだけ、美味しそうな香りをする物を目の前に、彼女はしり込みする。


「うぅぅぅぅ……う!」


 悠魔は、ポテトチップス一枚を、彼女に口元に持って行く、しばらく考えてから彼女は、覚悟を決めたのか食べた。


「これ、美味しい! 美味しいです!」


「でしょ」


「もっと食べていいですか!」


 目を輝かせて、カナは絶賛して、また一枚、また一枚と食べて行く。


「今度はこっちの方を」


 カナは、今度はフライドポテトを1本掴んで食べると。


「うぅぅぅ、こっちは外はカリッと中は、ホクホクとして美味しい、ただの塩をかけただけだのに、こんなに美味しいなんて」


「うん、こっちも成功」


 悠魔とカナが、調理場でポテトチップスとフライドポテトを食べてると、調理場の入り口から、一人の中年女性が入って来た。


 この人は、この店の店主で、カナの母親のルシール。


「悠魔君お客さんだよ……何だいその食べ物」


 彼女は、珍しい食べ物を目の前に、興味深そうに凝視する。


「あ、お母さん、これ悠魔さんが作ってくれた、薄いのがポテトチップス、ステック状のがフライドポテ

トですよ、とても美味しいよ」


「へぇぇ、悠魔君、私も食べてもいいかい?」


「どうぞ」


「あら、美味しいわね!」


「そう言えば、さっき悠魔さんにお客さんだとか、言ってませんでした」


「そうだった」


「僕に客?」


 ルシールが、フライドポテトを食べ感想を述べると、カナがさっき母親が調理場に入って来る時に、言っていた悠魔のお客について聞き出した。


 悠魔は、その言葉を聞いて、慌てて調理場を飛び出して行った。




「「今日ごめん『なさい』!」」


「……」


「本当にごめんなさい! 昨日は飲み過ぎて!」


「昨日は新し仲間が出来てはしゃぎ過ぎてごめん!」


 悠魔が調理場から出て、宿屋の受付の方まで出て行くと、そこには白い羽のメンバーのリウス、クラウ、ナナ、レイラが待っており、悠魔の姿を見た瞬間に、クラウとナナが頭を下げ謝りだした。


 その光景を見た悠魔は、行き成りの出来事に無言になってしまう、その様子を見たクラウとナナは慌てて謝罪をし始めた。


「あ、いや別に怒ってる訳ではないんです、僕自身昨日は、それなりに楽しかったですし」


「本当に、悠魔君怒ってない?」


「よかったぁ」


 二人は、悠魔が怒ってない事を知ると、安堵したかのように、その場に座り込んだ。


「でも、飲み過ぎはダメだと思いますよ、リウスさんやレイラさんにも迷惑をかけるのは、どうかと思います」


「「うっ」」


 確かに、飲んで騒ぐのは悪いとは言わない、実際昨日は楽しかったが、パーティーメンバーとは言え、他人に迷惑をかけるのは、どうかと思った。


「それにナナさんは女性なのですから吐くのはどうかと思いますよ」


「うっ」


「その女性としてどうかと思いますよ」


「うっ、あぁぁぁ! レイラちゃんぅ!」


「ハイハイ、大丈夫だよ、ナナっちは可愛いよぉ」


 目元に涙を浮かべ、ナナがレイラに抱き着いて泣き崩れた。


 そんなナナをレイラが、慰め続けて泣き止んだのは数十分後だった。


 その後、悠魔の作ったポテトチップスとフライドポテトを、テーブルに並べ皆で食べ始める。


「これ、美味しいな」


「あら、本当これが岩の実なの?」


「このフライドポテトて言うの中ホクホクしてて美味しい」


「こっちの、ポテトチップスて言うのも、パリッとしてて美味しいぞ、酒のつまみによさそうだな……カナ

ちゃん、ラガー注文ぉ!」


「はい! 少しお待ちください!」


「おい!」


 ポテトチップスやフライドポテトを食べていると、クラウがお酒を注文しだし、それを咎めるようにリウスが注意するが、クラウは取り合わずにお酒を注文してしまう。


「大丈夫だってぇ、今日は抑えるから」


「じゃあ、あたしも蜂蜜酒美!カナっちお願いぃ」


「はぁい」


「わ、私も」


「「絶対ダメ!」」


「そんなぁぁぁ!」


 それに便乗して、レイラも注文し始め、最後にナナもポテトチップスとフライドポテトを食べて、お酒が飲みたくなったのか、ナナが注文しようとした時は、その場に居た全員が却下する。


「プハァァ、うめぇぇぇ」


「酒と合うな、この食べ物」


「うぅぅぅ」


 結局リウスもラガーを注文して、飲みながら、ポテトチップスとフライドポテトを食べるのを、ナナは恨めしそうな、視線を送り続けていた。


「ナナっち、お酒弱いのに沢山飲むし、悪酔いするからねぇ」


「確かに、昨日はひどかったですね」


「でしょぉ」


 悠魔とレイラがポテトチップスを、食べながら昨日の惨状を思い出して遠い目をしていると。


「はい、追加の蜂蜜酒持って来たよ」


「カナっち、ありがとう」


 運ばれて来た、蜂蜜酒を受け取りレイラがグッと飲み。


「プハァァァ、そう言えば悠魔っちは、今日何してたの?」


「カナさんと市場に行って、色々見て来て、その後は料理してましたね」


「これって、悠魔っちの故郷の料理なの? 岩の実のこんな食べ方、初めて見たよ」


「……そうですね、僕の故郷では、よく食べられてましたよ、岩の実には毒があるって言いますが、それは

芽や緑の皮なんですよ」


「へぇ、他にも調理方法あるの?」


「ありますけど、調味料がないですからね」


「残念」


 レイラが残念そうにテーブルにうなだれしまう、そして、ポテトチップスとフライドポテトがなくなってしまうと、クラウとレイラが追加を要求しだしだが、悠魔が岩の実がもうないと言うと、あからさまに気を落としだした。


「悠魔君それはないよぉ」


「そうだよ、悠魔っち」


「と言われましても、もうこの時間だと、市場も閉まってるでしょうし」


 ブーブー言う、二人に悠魔が頭を悩ませてると。


「悠魔さん、どうしたの?」


「カナさん、いや、もうポテトチップスとフライドポテトがないので、岩の実て。この時間で買える所てありますか?」


「流石に、この時間じゃないかな」


 カナが、薄暗くなる窓の外を見て微笑した。


「ですよねぇ」


「おや、どうしたんだい?」


「実は」


 そうしてると、ルシールが調理場から、他の客の料理を持って出て来て、悠魔はルシール現状の説明をすると。


「他の材料で代用出来ないのかい?」


「出来なくもないのですが、僕自身この辺で使われてる材料に疎くて」


「カナちょっと悠魔君を倉庫に案内してあげな」


「はぁい」


「倉庫にある物なら好きに、使ってもらっていいから」


「いいんですか?」


「だけど、その代わり悠魔君が作った物の調理法を教えてもらうのと、味見して美味しかったら、店のメニューに加えていいかい?」


「そんな事でいいなら全然いいですよ」


「よし、決まりだ」




 カナと一緒に食材が置かれている倉庫に着くと、中には見た事もある物から、全く見た事もない物まであり、悠魔は取り合えず見知った物から物色し始めた。


「お、これなら」


「ゴボウですか?」


「ゴボウはゴボウ何ですね」


「え、」


 一瞬カナは、彼が何を言ったのか分からないと、言う顔をして、首を捻る。


「いえ、何でもないですよ」


「ゴボウで何するんですか?」


「これも、ポテトチップスみたいにすると美味しいですよ」


「そうなの!」


「それでは作りますか」


 悠魔は、ゴボウチップスを作り、皆の所に持って行くとそこには。


「ゆぅうぁまぅくぅん!」


かなり、語尾が怪しい、顔を赤くしたナナが悠魔に飛び付いて来た。


「ちょっとナナさん!?」


「すまない悠魔君、少し目を離したスキに」


「にゃはは!」


「ゆぅまくぅ」


「悠魔君これ何新しい食べ物!?」


 甘えた声を出し、悠魔に抱き着くナナの後ろで、頭を下げたリウスと大爆笑しているレイラがいて、クラウが悠魔の持っていた皿から、ゴボウチップスを一枚掴み口に放り込んで、うめぇと絶賛していると、ルシールが後ろから現れ、どれどれと言い食べだした。


「これも中々美味しいね、後で作り方教えな」


「いいですけど、この状況何とかしてください!」


「何だい、美人に抱き着かれて役得じゃないかい、それとも女より男に抱き着かれた方がいいのかい?」


「そんな訳ないでしょ! こんな容姿してますけど、男ですから美人の女性に抱き着かれた方が、うれしいですよ!」


「ゆぅまくぅのスケベぇ」


「抱き着いてる本人が言わないでください! と言うか離れてください!」


 悠魔がナナを引き離して椅子に座られて、ゴボウチップスをテーブルの上に置いて、椅子に座り水を飲み始めた。しばらく食い飲みしていると、クラウが酔いつぶれしまったので、お開きとなり、ふらふらしたナナをレイラが、酔いつぶれたクラウをリウスが連れて宿屋を出て行った。


 その時悠魔は、これ、明日も無理じゃねと思い、夜空を見上げた。

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