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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第三章
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悪魔

 悠魔は必至に戦った。確かにクローン兵の連携厄介だが、彼はこれより厄介な相手を時間がある時ほぼ毎日訓練の相手として戦ってる。 ダイヤス帝国の一件以来本格的にアリスに戦闘訓練をお願いした。彼女は乗り気ではなかった訓練とはいえ悠魔を傷つけるのを彼女は嫌だったからだ、何かあれば自分が守ればいいと思ってるからだ、だが流石の彼女でも、自分の手の届く範囲に居なければ守れない。


 アリス自身ダイヤス帝国に一緒に行ければ今回の件は防げたと思ってる、でも出来なかった一緒に行けなかった。彼女自身かなりの自由人で気にせずにあっちこっち出歩いてるが、世界各地ら危険視されてる魔女で見つかればロクな結果にはならない。そのせいで一緒にダイヤス帝国に行けなかった。


 悠魔を守りたいが、逆に自分がいる事で危険な目にあう可能性もある、だからこそ乗り気ではないが本格的な戦闘訓練を始めた。


 彼女の戦い方は多数を相手するのに向いており、ここ最近の悠魔の相手は前後上下左右から襲い掛かる魔剣で、今の状況と類似していた。だから何とか戦えてる。


「アリスさんの魔剣より遅いし攻撃力もない……でもこのままじゃ――っ!」


 正面から強烈な拳圧が飛んで来る、悠魔は何とか避けるがクローン兵は避けきれず薙ぎ払われる。拳圧の飛んで来た方を見ると、そこには悠魔がどうしてもこの戦場で会いたかった人物が立っていた。


 キュリウス・レムナント大罪の悪魔暴食だった。悠魔が惹かれていた少女のコレット・イェーガーを殺した男だった。悠魔自身強くなったつもりだ、でも多分いや、絶対勝てないが勝てなくても一太刀入れればそれで満足だと思った。


「見つけたぁぁぁ!」


 彼らしくもなく声を上げ切りかかる、この時にはすでに周りを見ておらず、普段の彼ならコトナとこの戦場に来る時に約束した2点を忘れる事はなかった。


 悠魔の暴走に気が付いたコトナだったが距離が離れすぎていてどうする事も出来なった。現状彼女はこの場の最高指揮官である為この場を離れる訳には行かなかった。


 それでも知らない中ではなく見捨てる事は出来なかった。何とかしようと考えるが周りの兵はまともに動けなく、幸い敵兵の殆どは悠魔の方に集中しているため、何とか侵入を防げてる程度で彼を助ける為に兵を動かす事は出来なかった。


「貴様だけは!」


「よぉまた会ったな、何か上からはお前を連れて来いって言われてるんだよ」


 久しく友人にでも会うかのように挨拶をしてくるキュリウスに剣を振り下ろすが、彼は何事もなく手で止めてしまう。


「お前だけは! お前だけは絶対に――くっ!」


 すべてを言い終る前にキュリウスは悠魔目掛け拳を繰り出す、直撃をする寸前で回避してキュリウスと距離を取り剣を構える。完全に回避したと悠魔は思ったが彼の頬が微かに切れ血を流していた。


 しかし悠魔はそれを気に留めてる暇はなく、キュリウスが地面を蹴り近づいてくる、その拳は早く今の悠魔では回避に専念しないと避けれないものだった。


「おらおらおら! どうした逃げてるだけか⁉」


 避けてはいるが完全には避けれなく、徐々に悠魔の体には傷が増えて行き追い詰められて行く。いくらアリスに鍛えられてるといっても、今の悠魔の実力を人間に当てはめて大まかに1~10の数値化するなら4程でキュリウスが8程に分類される、ちなみに1が銅ランクの冒険者で2~3が鉄ランクの冒険者4~5が銀ランクの冒険者6が金ランクの冒険者7がミスリルランクで、この辺はすでに超人と言われる。


 そして8~9が人間をやめた化け物で、アリス、ジェンガ、魔王達はこのクラスに分類されてる、ちなみに10は絶対的な力を持つ起源龍の様な存在だ。


「おせぇ!」


 キュリウスの拳が悠魔に命中して吹き飛ばす、彼は殴られた反動で吹き飛ばされて城壁に衝突する、普通の人間なら、それほどの威力で殴られて壁にぶつかれば即死するが、肉体強化の魔法を使っていたため即死は免れた。


 ボロボロになりながら立ち上がる悠魔だが、体中に奇妙な痛みが走りどうやら骨が折れた様で、今までの様に動く事は出来なかった。キュリウスはそんな悠魔を見てニヤニヤ笑みを浮かべていて、間合いを詰めてこない為、その隙にポーションを取り出して飲み干す。


「幾分か楽にはなったが……完全回復には届かないか」


 体を動かし調子を確かめるが、完全には回復しなかった用で体に鈍い痛みが走る。それでもやるしかないと思い大量の魔法石を取り出す、それをキュリウス目掛けて投げると同時に走り出す。


 宙を舞う魔法石が砕け大量の魔法陣が展開され魔弾の魔法が飛来する。手甲をはめた腕で飛来する魔弾を防ぎながら拳圧を放つ、その拳圧を回避してキュリウスの懐に潜り込み剣を切り上げる。


 しかしその剣を悠々と回避して、拳を悠魔目掛けて振りぬくが、悠魔も紙一重でその拳を回避して剣を振りぬく、その剣はキュリウスの体を掠めて小さな傷をつくる。


「おっと……」


 どうやら彼は悠魔に傷を付けられるとは思ってなかった用で、少々驚きの表情を浮かべる。しかしすぐにいやらしい笑みを浮かべ、拳に魔力を集中させる。それに気が付いた悠魔だったが、キュリウスの方が拳を振り下ろすの方が早く、回避が間に合わなく咄嗟に剣を盾の様に構えて攻撃を防ぐ。


 再び剣を構えようとするが、キュリウスが踵落としで悠魔の肩を撃ち抜く、それにより肩の骨が砕かれその痛みにその場に蹲る。


「おいおい、肩の骨が砕けたくらいで大げだな」


 高々肩の骨が砕けたぐらいで敵に隙を見せる悠魔に冷たい視線を送る。しかし無理もない、ただの人間のしかも元々平和な世界出身の悠魔が痛みになれてないのは当たり前だ。


「まぁ抵抗されても面倒だし、両腕両足くらい千切っとくか? 頭があれば問題ないだろ」


 悠魔を雑に持ち上げ釣り上げると腕を掴み引っ張ろうとする、そんな中掴まれた腕の指先を相手に向けて魔弾の魔法を発動させる。それによりキュリウスの目を貫くしかし彼は全く興味なしと腕に力を入れる。


「気が済んだか?」


「化け物が……」


 貫かれた目が修復するのを見て、悠魔自身今のままではどうやっても勝てないと理解して涙する。しかし彼らの目的は自分のはずだから、これ以上の戦闘は意味をなさないと思い、同時に安堵する。そんな表情を見てキュリウスがいやらしい笑みを浮かべる。


「何を……笑ってる……」


「全員進軍!」


 キュリウスの号令により、待機していた残りのクローン兵が前進を始める。それを見て悠魔は抗議の声を上げる、そんな彼を見てキュリウスは声を上げて高笑いする。


「何でだ⁉ お前らの目的は僕だけだろ⁉」


「いやいや、今回の戦闘でかなりの兵が削られたからな、此処の国民で補充しないとな」


「この国を乗っ取り徴兵するつもりか」


 悠魔の言葉を聞いたキュリウスは心底可笑しそうに笑う、何故そんなに彼が笑うのかは分からなかった。


「何を言いだすかと思えば、徴兵と来たか、いや~面白い事を言う」


「何がおかしい……」


「国民を徴兵した所でたいした戦力にはならないだろ?」


 彼の言う事は最もだ、武器を持ったこともない民を兵にしてもたいした戦力にはならない。また、一から教育した所で膨大な時間とお金が掛かる、そこまで考えて悠魔はある結論に至り顔を青くする。


「どうやら想像できたようだな」


「……クローン兵の材料にするつもりか」


 クローン兵を作るには人間の細胞が適していて、エストア王国の人間をその材料にすると目の前の悪魔は言い放った。


「まぁ全員はしないだろうな、取り合えずメスはしかして孕ませて人間製造機にするか」


 その言葉を聞いて悠魔の頭の中では、この街での人達の顔が思い浮かぶ、それなりに沢山の人達と知り合った、みんないい人達でそんな人達が心を持たない兵器にされたり、子供を産むだけの家畜にされるのは我慢ならなかった。


 話に夢中になっていたキュリウスの腕から力任せに逃れる、彼は高笑いをする。


「まだ、そんな力を残してたか」


「最悪だ! お前らだけは絶対に街に入れる訳には行かない!」


 5個の魔法石を取り出し、そのうち4個を上空に投げる。そうすると上空に火、水、風、地属性の異なる魔法陣が展開される。


キュリウスはその光景を興味深そうに見ている、最後に悠魔の手元に無属性の魔法陣が展開されると、上空に展開された魔法陣から、それぞれの属性の魔力が流れ込む、それを見て危険を感じたキュリウスが動く。


「もう遅い! 吹っ飛べ有象無象!」


 悠魔の手元の魔法陣から超高濃度の純白の砲撃魔法が放たれ、進軍を開始したクローン部隊やキュリウスを飲み込んで行った。

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