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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第三章
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帝国の姫様の憂鬱

 次の日の朝早く、恥ずかしそうに俯くサリアに彼女の案内をするジェンガと、状況説明の為に付き添った悠魔現在彼らが居るのは王宮に向かう馬車の中、ちなみにアリスはめんどくさいと一言呟き部屋に籠ってしまった。


「えっと、何でしたけ? ダイヤス帝国は全身全霊を掛けて起源龍の討伐を手伝いますでしたっけ?」


「わ、忘れてください!」


「すごくかっこよく言ってましたけど、生憎僕には何の権限もない平民でしてすいません」


 サリアは悠魔にダイヤス帝国奪還を依頼したが、残念ながら騎士でも貴族でもない彼にはこの国を動かす事は出来なかった。


 それを知った時の彼女一瞬思考が停止して、近くにいたアリスが彼女の口調を真似して同じ言葉を発すると、顔を赤くし顔を両手で隠してしまった。


「それで僕が呼ばれたわけか」


「はい」


 困った様に頬を掻くジェンガは羞恥で顔を赤くするサリアに視線を送る。彼女はコホンと咳ばらいをしてジェンガに大まかな事情を説明した。


「そうか、前皇帝はお亡くなりに」


「はい、もしかしたら、その病死も大臣達の仕業かもしれません」


 話をしてると王宮に着き、2人は個室に案内された。しばらくすると国王のクランドとジェンガが入室して来た。ジェンガは扉の前に立ち、クランドは悠魔達の正面に座った。


「待たせたね」


「いえ、こちらこそ急な訪問申し訳ありません」


「大まかな事情はジェンガから聞いてる、悠魔殿も苦労であった」


 会釈をする悠魔彼は考えていた、これ以上この事件に関わるべきなのか考えていた、コレットはサリアを助けたらダイヤス帝国を変えられると言っていたが、どれだけ考えてもそんな簡単な話ではなかった。


「それで、出来れば力を貸してもらいたいのですが……」


「うむ……」


 彼女の話を聞いて考え込むクランドにどうするべきか思考する悠魔、そんな2人を交互に見るサリアの表情はすぐれなかった。


「申し訳ないが、現状では貴方に協力は出来ない」


「僕は強力してもいいですけど、僕個人の力何かたかが知れてますし」


 サリアは余り落胆はしなかった、自分が相手の立場でもきっと同じ答えをしただろう、起源龍と言う大きな敵を前に下手に戦力を分担出来なかった。国と言うものはそこに住む人々を護る必要があるからだ。


「すまない」


「いえ、分かっていた事ですから、こちらこそ申し分かりません」


「これからどうする? 何なら国賓待遇で部屋を用意するが」


 その身一つで出て来た彼女の為にせめて部屋を用意するか提案するクランドだが、彼女は首を左右に振りその提案を拒否した。流石にそれはこの国の迷惑になる可能性があると判断したからだ。


「最後に彼女のお墓を見たいのですが」


「あ、それは僕からもお願いします」


「もちろんだ、ジェンガ」


 ジェンガに連れられ王宮の敷地内にある、立派な墓石が並ぶ場所に案内された。悠魔とサリアは1つの墓石の前で手を合わせる、墓石にはコレット・イエーガーと彫られており悠魔はこれほど丁寧に埋葬してくれるとは思っていなかったので嬉しかった。


「本当に死んでしまったんですね」


「はい」


「彼女からあなたの事を聞いた時は、ただの惚気かと思いましたよ」


 サリアはコレットに悠魔の事を聞かされた時、何惚気話をしてるのかと思ったが、彼女の性格を知ってるサリアは彼女が本当に困ってると思った。


「あの子は感情表現が希薄ですから」


「ですね、面と向かって言われるまで気が付きませんでしから」


「あの子らしいですね」


 2人でコレットの話をしていた、時には笑い、呆れ、怒り次第に言葉が小さくなっていった。サリアは涙を流し両手で顔を覆い小さく泣き出した。




「すいません」


「気にしないでいいですよ僕も泣きましたから……それでこれからどうしますか?」


「どうしましょうか……私に何が出来るんでしょうね、友も国も助けれなかった私なんかに」


 力なく笑うサリアに取り合えず自分の家に来るか提案した、幸い部屋は余ってるし安全面を考えても、この王都内で王宮の次に安全な場所だと思ったからだ。


「いいんですか?」


「まぁ連れて来たのは僕ですし」


「ありがとうございます、申し訳ありませんがしばらくお世話になります」


 ジェンガに礼をして王宮を後にし、馬車に揺られ取り合えずサリアの衣服を何とかしないと思って、フェレクスの屋敷に向かった。


 流石にドレスのままではあの家で生活できないので、彼の力を借りる事にした。


「悠魔さん、今日はどうかしたのかい?」


「ちょっとお願いがありまして」


 現状の事情を説明する、サリアを王宮で預かればダイヤス帝国に見つかると思い、悠魔の家で匿う事にしあの家ならアリスも居るから防犯面でも安全なので、後は服装だった。


 その身一つで連れ出したため、彼女の服は薄いピンクのドレスに頭には綺麗なティアラを着け両手にはドレスの色と合ったシルクのロンググローブで覆われていた。流石にこんな格好をした少女は平民区では目立つため彼に相談しに来た。


「それなら、僕よりメルの方に相談した方がいいね」


 彼に案内されメルジュの部屋に案内された。フェレクスは妹の部屋の扉をノックして、出て来たメルジュに理由を説明すると、彼女は頷きサリアを室内に招き入れ、ドアをばたんと閉めてしまった。取り残された2人は互いに顔を見合わせ、苦笑して2人で彼女の部屋を後にした。




 男2人は部屋に入れてもらえなので、仕方なく雑談をしながらお茶を飲んでいた。


「そう言えばレイラさんは元気にしてますか?」


「元気だよ、君の事を心配していたよ――ほら噂をしたら」


「悠魔っち無事だった⁉」


 ドアを破壊するかと思う勢いで入って来たレイラを見て悠魔は言葉を失った。彼女は元気になっていた、前に会った時は多少元気はあったがここまでの勢いはなかったが、彼が言葉を失ったのはレイラの元気な姿を見たからではなくその服装だった。


「……何でメイド服着てるんですか?」


「にゃはは、似合う?」


 その場でクルリと一回転する彼女を見て、フェリクスに視線を戻すが彼は慌てて理由を説明し始めた。前から庭の掃除や手入れなどは手伝っていたが、最近は屋敷の掃除や洗濯も手伝っていた。


「彼女の好きなようにさせるのが良いと思ってね」


「それじゃあ、あたしはこれでまだお仕事あるから」


 嵐の様に去って行く彼女を見て、悠魔はホットした。彼は前みたいに元気な彼女の方が好きだったからだ、今の様子を見る限りは大丈夫だと思った。


「……それで、レイラさんとは何処まで行ってるんですか?」


 悠魔の急な問いに飲んでいた紅茶を吹き出し咳き込むフェレクスだったが、今の彼の様子を見る限りどうやら進展はないようだった。


「あれから何度か告白はしたんだけど……」


 彼の話によると、フェレクスは何度もレイラに諦めずに告白をするが、すべて断られていた。ここ最近は彼女も仕事をしていて、仕事の邪魔する訳にもいかずに行き詰っていた。


「まぁ、頑張ってください」


「……悠魔さん、それとなく彼女に聞いてもらえませんか?」


「何をですか?」


「僕の事を好きかどうかを、お願いだ」


 相当参ってるのか弱音を吐き、ついには悠魔に彼女の本心を聞いて来てほしいとお願いする始末に、正直これ以上厄介事に巻き込まれるのは嫌だったが、彼には世話になってるため仕方なく、屋敷内を歩きレイラを探し始める悠魔だった。




 見つけたメイドにレイラの居場所を聞くと、この時間なら庭の掃除をしてると教えてもらい、お礼を言ってその場を後にして庭に向かった。


 暑く日が差し込む中庭を歩く、探していたレイラはすぐに見つかり声を掛ける、うにゃと可愛らしく驚きその相手を見てあからさまにホッとする。


「にゃんだ悠魔っちか、驚かさないでよ!」


「すいません、もしかしてフェレさんと思いました」


 慌てるレイラを見て、どうやら図星の様でどうやらフェレクスの告白から逃げてるのは本当の様だった。


「うぅぅ、だって」


「嫌いなんですか? 彼の事」


「別に嫌いじゃないよ、寧ろ好感がもてるかな、私みたいな冒険者崩れにも優しくしてくれるし、告白された時は嬉しかったよ」


 頬を赤くしてもじもじしだすレイラを見て、もう少し踏み込んだ事を尋ねた。少女は困った様に苦笑して悠魔に話した。


「あの人は貴族なんだよ、私なんかじゃ迷惑になるよ」


「でも、メルさんの話じゃ、それにフェレさんの婚約に賛成する貴族もいるとか言ってたじゃないですか?」


「うん、私が何処かの貴族の養子に入って、それでフェレクス様と婚約すれば問題はないんだよね、でもやっぱり迷惑になるよ、愛妾とかならともかく正妻は無理だよ、全部の貴族が賛成してる訳じゃないんだろうし」


 何処か悲しそうな表情をする彼女を見て、元々身分の差なんかが無い世界に生まれて育った悠魔には身分の差がそんなに大切なのかと思ったが、これがこの世界では普通なのだと思い何を言っても彼女は意思を変えないと思った。


 仕事の邪魔になると思い彼女の元を後にしてフェレクスの元に戻った。彼にレイラと話した内容を話すと、そうかと呟き紅茶を飲み静寂が場を包んだ。


「諦めますか?」


「いや、僕は諦めないよ、幸い悪い印象はないみたいだからね」


「そうですか、頑張ってください」


 彼が諦めるのかなと思った悠魔だが、フェレクスは諦めずにアプローチを続けると言い、悠魔も彼ら2人の問題にこれ以上首を突っ込むのをやめにした。そうして時間が過ぎ準備を終えたメルジュとサリアが現れた。


「お待たせしました」


「どうでしょうか?」


 サリアは照れくさそうに俯く、彼女の今の服装は先ほどまで来ていたドレスと違い、飾り気のない質素なワンピースを着ていた。


「私が持ってる中で一番地味な物を選んだんで、これなら平民区で来ていても目立たないと思います」


「ありがとうございます、後程服はお返しします」


「気にしないでください」


 何から何まで助けて貰い、申し訳なくなるサリアは結局自分では何も出来ないんだと思う、本当にダイヤス帝国を救えるのか不安になる。


「何とかなりますよ、今すぐは無理ですけど僕も方法を考えますから」


「……はい」


 そうして、2人はサレーナ公爵家を後にした。

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