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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第一章
5/227

盗賊と奴隷商人

「さて、エストア王都まで歩いて行くと、日暮れまでには着けないから、道中にある村で一泊して」


 悠魔は、本を閉じてローブの中にしまい、馬車で移動中にエルメスに聞いた、肉体強化の魔法を頭の中で思い浮かべた。


「……強化! っ!」


 彼の、足元に魔法陣が出現して、徐々に上昇して行き、頭上で魔法陣が消える、悠魔は覚悟を決めて、勢いよくジャンプした。


「っ……これはちょっと」


 足元を見ると、そこには地面はなく五メートルくらい飛び上がっていた、その光景に、悠魔は顔を引きつらせて、バランスを崩し地面に転がり落ちた。


「怖い、これは怖い、慣れるまで大変だな……てか、あの高さから落ちて無傷てすごいな身体強化の魔法、さっき魔法を使った時に妙な脱力感があったが、あれが魔力てやつか、よし強化くらい簡単なら頭の中で考えるでもいけるな……」


――強化(ブースト)


 再び悠魔の足元に、魔法陣が出現して、さっきと同じように、足元から上昇して行き、頭上で魔法陣が消えた。


「よし――ふぁぁぁ! やっぱり怖いでも、今度は大丈夫!」


 悠魔が勢いよく飛び上がったが、今度は転がり落ちるような、間抜けな事はなく地面に着地した。


「よし、感覚は掴んだ行くぞ!」


 今度は勢いよく走り出した、しばらく走り小さな丘が見えてきて、そこで休憩しようと立ち止まり、丘の方に歩いて行った。




「ふぅー、いい景色だな……ん」


 悠魔が丘の上から辺りを見渡すと、丘から少し離れた所で馬車を見つける、そして、それを守る人間と襲う人間がいるのが見えた、ので悠魔は懐からパラライズポーションを取り出し、見つからないようにゆっくり近づき、茂みに隠れる。


「……強化(ブースト)


 悠魔が魔法を発動させて、耳を澄ませると、彼らの会話が聞こえて来る。


 殺せ、守ります、逃がすな、など色々な声が聞こえて来た。


「盗賊か? 取り合えず襲ってる方を止めた方がいいよな」


 悠魔が茂みから飛び出し、五人いた盗賊の一人を手に持っていた、パラライズポーションで殴る。男は悲鳴とともに倒れて動かなくなった。


「何だ、貴様!!」


「女だぁ!」


「うひょょ、上玉なんだな」


「こいつは、お持ち帰りだ!」


 盗賊達は、悠魔の姿を見て、テンションをあげて襲い掛かってきた。


「だ、れ、が、女だ!」


 もう片方の手で持っていた、パラライズポーションを襲って来た、二人の内の一人に投げて倒した、もう一人は動きを止めて倒れた仲間に声をかけた。


「お、おい大丈夫か!」


「……が……っ」


 意識はあるが、うまく声が発せられなく、盗賊からは、うめき声しか聞こえなく、唸っていた。


「てっ、てめぇ、仲間に何した!」


「麻痺させただけです」


「麻痺だと!」


「ええ、(よし、人間にも効果はあるな、となると次は)強化(ブースト)で魔法の感覚は掴んだから」


「てめぇ、何ぶつぶつ言ってるだ!」


 悠魔はどうやら、パラライズポーションが人間にも、効果があるのが分かると、次に指先を盗賊に向けてた。


魔弾(マジックバレット)!」


 掛け声と共に、指先に魔法陣が展開され、その中央から一筋の光が放たれ、光は男の横を通り過ぎて行き、地面に小さな穴をあける。


「え?」


 その魔法に、盗賊達は固まる、地面に穴があけるほどの、魔法が自分達に当たると、どうなるかを想像する。


「ん、なかなか難しいな……魔弾(マジックバレット)!」


 再び、悠魔の指先に、魔法陣が展開され、その中央から、光が放たれて男の足を貫いた。


「ギャャャ!」


「魔力の量が多ければいいて物でもないんだな……」


 男は、悲鳴と共に貫かれた、部分を抑えて地面に倒れる。


 その光景を見ていた、他の盗賊達は、顔を青くして逃げようとした時、悠魔が魔弾を放ち、彼らの動きを止めた。


「ひぃぃ! 魔導士だったのか⁉ どうか命だけは!」


「ごめんなさいぃぃぃぃ!」


 盗賊達は、その場で尻餅をついたまま、命乞いをしだした。


「いや、そこの、倒れてる仲間達連れて行きなよ、邪魔だから」


 別に悠魔は、彼らを殺すつもりで、止めたのではなかった。


「「はぃぃぃぃい! すいませんでした!」」


 二人の盗賊は、顔を合わせて、倒れていた仲間を担いで逃げて行った。




「な、何とかなった」


 ゴブリンの時は、相手が人間ではなかった為、それほど抵抗はなかったが、今回の相手は人間で、彼は少し抵抗を覚えていた、しかし、相手は殺すつもりで来てる為、手加減は出来なく、相手を殺さずこの場を、収められた事は彼にとって、行幸だった。


「えっと、ありがとうございます」


「助かりました」


 馬車を守っていた、男性二人が、頭を下げお礼を言いだした。


「あ、いえ、たまたま通りかかっただけですから」


「すいません、少々お待ちを――」


 男の一人が、悠魔の返事を聞かずに、二台ある馬車の一台に近づき、ドアを開けて中の人と、話し始める。


 しばらくすると、馬車から、小太りした男が下りて来る。


「申し訳ない、危ない所を助けていただき、ありがとうございます」


「そんな、頭をあげてください」


 小太りした男は、悠魔に頭を下げて、お礼を言い出す、悠魔としては、当然の事をしただけで、別にお礼を言われる言われはなかった。


「初めまして、僕は悠魔です」


「私は、ララークで奴隷商をしている、カング・プースと言います」


「奴隷商……こっちも悪人だったか」


「ちょっと、悠魔さん」


 カングという男が、自己紹介をした瞬間、奴隷商と聞き、悠魔は指先を男達に向けた。


「ちょっと、待ってください! 奴隷商て言っても、国から許可をもらっていて、人を誘拐して売ったりしてる訳じゃないんです!」


「……」


 悠魔には、目の前の男は、何処をどう見ても、怪しい雰囲気が漂って居る、しかし、人を見かけで判断するのはよくない。


「本当です! そりゃあ、人を売り買いしてる時点で、かなりあくどい商売に聞こえますが、買い取るのには、本人の同意があってこそですし、決して無理矢理買ったりはしてません!」


「……ハァ~」


 取り合えず、目の前の男は、怪しい雰囲気があるが、嘘を言ってる用には見えなかった。


 その為、指先を下ろし、警戒を解く、その行動に、カングは一安心する。


「わかってくれましたか」


「まぁ、そう言う事なら」



 

 悠魔は納得して、取り合えず、これからの話をし始めた。


「それで、カングさん達の被害は?」


「護衛の一人が、ケガをして馬車の中に寝かしてます」


「それなら、このポーションをどうぞ」


「いいんですか?」


「まぁ、困った時はお互い様です」


 悠魔は、ポーションを取り出し、彼らに渡す、初めは受け取るのを、少し戸惑っていたカングだが、仲間の命には代えられないと思い、ポーションを受け取る。


「すいません、おい! このポーションを――」


「はい、わかりました、オーナー!」

 

 ポーションを受け取った、護衛一人が馬車の方に走って行った。


 それを、見届けて、悠魔の行先を確認する。


「この道を通てるって事は、悠魔さんも、ララークに向かってるて事ですかな?」


「ええ、プリーからララークに、向かってる途中ですね、今日は取り合えず、この先の村で、一泊してから向かおうかと」


「そうですね、歩きですと、今日中には無理ですからね……そうですね、よかったら私の馬車で、ララークまで送りましょうか? それなら日暮れまでには着きますよ」


「いいんですか?」


 この申し出は、悠魔にとっては、願ったり叶ったりだった、確かに馬車で移動すれば、今日中には、ララークに到着出来る。


「もちろん、命を助けてもらったので、何かお礼もしたいですし、今は持ち合わせはないですが、ララークに着けば、謝礼も払えます」


「それなら、お願いします」




 カングに案内され、馬車の近くまで歩いて行くと、そこには、数人の女性が立ってた。


「えっと、すいませんが、奴隷の子達と、その世話係の者と一緒でも、いいですかね? 失礼かもしれませんが、前の馬車は、儂と護衛で、男ばかりですから、女性の悠魔さんも、同乗者が同じ女性の方が、安心出来ますし」


「……僕は男なんですけど」


「…………ぇ」


「すいません、男なんです」


 悠魔は、自分の容姿が女にしか見えないが、自分は男だと言う事を説明し、カングを納得させて、前の馬車に乗り込み、色々な話を聞き始めた。


「へぇ、奴隷制度にも色々あるんですね」


「ええ、国によっては、奴隷を不当な扱いをする国もあります、特に海の向こうのダイヤス帝国では、酷い物ですよ、人体実験や不当な暴力での、奴隷の殺害が許可されてますからね」


「……ひどい話ですね」


「はい……私達はもちろん、エストアではそんな扱いは許可されてません――そりゃあ、奴隷て事で、迫害はありまし、多少の暴力はあるかもしれませんが、決して命にかかわる事はないです」


「さっき教えていただいた、奴隷刻印で判別するんですよね」


「はい、奴隷刻印は命の危険があると、国の諜報機関に、すぐに連絡が行くように出来てます……奴隷刻印は奴隷達を縛り付けると共に。、唯一奴隷達の命を守ってるんですよ」


「勉強になります」


「もしも悠魔さんが、ダイヤスに行く事があるのなら、気を付けてください、あの国は、人さらいも出るらしいですからね、特に悠魔さんみたいな……えっと、綺麗な顔の人も、取引の対象になるみたいですから」


 カングは言いにくそうに、言葉を選び話すが、それは、全くの無意味だった。


「……僕男なんですが、それにこの顔じゃ、言いたくないですけど、男性にしかもてた事ないですよ?」


 悠魔は、カングの話を聞いて、少し引きながら、自分は、あくまで男だと主張する、今までの経験で、性別に気が付かずに、近寄って来た、男達を思い出した。


「人間趣味は、それぞれですからね……その、中には男の方がいいて、言う人もいるんですよ」


「それ女性ですよね!」


「聞きたいですか?」


 カングは、鋭い目をして、悠魔を見つめる。


「嫌です! 聞きたくないです!」


 悠魔は、涙目になりながら、両手で両耳を塞ぎ、馬車の天井を見上げた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ただの無知の話だよね
2021/04/24 17:43 退会済み
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