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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第二章
46/227

畑仕事は朝早く

 ナナが見守る中悠魔は、召喚石で召喚したジャイアントベアーの使役を練習している後ろで、フェリクス、ルチア、アリスは話をしていた。


「魔物を使役出来る魔道具か……」


「言っておくが、これは君達には作れないよ」


「何故ですか?」


「合成に使う魔力石は、古き魔女が作る高純度の物が必要だからね」


 アリスが魔法石を作り、2人に見せて確認させると消滅させた。


「言っておくが、君達には作らないよ」


「わかったよ」


「以上で説明は終わりだ、魔女教団の一部の魔女が使っていたよ」


「魔導核があれば、どんな魔物の召喚石も作れるんですか?」


 フェレクスの疑問にアリスは離れた所でジャイアントベアーの使役の練習をする悠魔を見ながら。


「可能だよ」


「そうですか、これは思いのほか面倒な物ですね」


「と、思うが実はそうでもないんだよ――ほら見て見なよ」


アリスが指さす方を見る、そこにはのそのそ動くジャイアントベアーがおり、それを見た2人はとある事に気が付いた。


「何だか動きが」


「ええ、遅いですね」


「そう言う事だ、確かにあれは魔獣を召喚できるが、作り出されてすぐの個体は動きも遅く、召喚主の命令通りにしか動かない人形同然だから、それほど脅威はないんだ」


 よく見ると、悠魔の命令した通りにしか動かなくその動きも遅い、これではいい的だった。


「無論、時間を掛けて育てれば本来の魔獣と同じように動ける様になるが、僕達魔女はそんな事をする時間があれば魔法の研究をするからね」


「……」


「……」


「どうかしたのかい、2人して」


「い、いえ、な、何でもないですよ」


「え、ええ、何でもないです」


 フェリクスとルチアには、先ほどアリスが言った魔女達が魔法の研究をすると言ったが、アリスが普段から魔法の研究をしてるようには見えなかった。




「アリスさん」


「ん?」


 悠魔に呼ばれたアリスが振り向くと、そこにはジャイアントベアーに乗る悠魔がいて。


「これってどうやって戻せばいいんですか?」


「ああ、帰還て言えば元に戻せるよ」


「帰還」


 ジャイアントベアーの背中から降り、アリスに言われた様に送還と唱えると、ジャイアントベアーは光の粒子となり1つの宝石となった。


「どうだった?」


「何と言うか指示を出すのが難しいです」


「そうだね、まぁ、慣れるしかないね」


「そう言えば、コトナさんに聞いたんだけど、悠魔さん拳銃と言った魔道具を作ったそうだね」


 フェリクスは、悠魔がアリテール王国に滞在中に作った拳銃に興味があった。


「これの事ですか?」


「おお、これが拳銃ですか、どうやってつかうものなんですか!?」


 フェリクスの態度に、悠魔はドン引きをしながらルチアに頼み、狙撃魔法に使う的を用意してもらい、フェリクスに離れた所から見る様に言い含めて射撃を始めた。


「すごい!」


「うぅぅ耳が痛いです」


「悠魔さん、僕も使ってみたいのだが……」


 悠魔は戸惑うが、フェリクスには家の事、工房の機材、レイラの事で世話になってるので貸し出した。


「これを引けばいいんだね」


「はい、絶対人に向けて引いてはいけませんよ」


「分かってるよ」


 使用方法を説明するとフェリクスが的に照準を合わせて、引き金を引くと反動によりフェリクスは転倒してしまい、痛む肩を押さえて蹲った。


「フェリさん!」


「い、痛い、肩が、悠魔さん君はこんなものをよく使うね」


 痛みが治まって来たのか、肩を摩りながら立ち上がり。


「すいません、反動が強い事を忘れてました」


 悠魔自身拳銃を撃ったのはこの世界に来て初めてだったが、元の世界に居た時から拳銃と言う武器には射撃時に反動があるのを知っていたので、拳銃を使う時には肉体強化の魔法を使ってから射撃をしていた。


「男のくせに情けないね、君は」


「ア、アリスさん!」


 悠魔は止めようとするが、アリスは拳銃を拾い構えた、彼女は製作に関わっていたので射撃時に反動があるのは知っていたが、大した事ないだろうと気軽に構えて、的目掛けて射撃すると。


「っ、あ、が……か、肩が」


「あー、間に合わなかったか」


 フェリクスのように無様に転倒する事はなかったが、その痛みに肩を押さえ蹲ってしまい、そんなアリスを心配になり悠魔が駆け寄った。


「大丈夫ですか?」


「君は、よくこんな物を使えるね」


「えっと……僕は一応肉体強化の魔法を使ってるので、それほど痛みはないですよ」


「そう言う事か、肩が痛い」


 拳銃を悠魔に渡すアリスの顔は涙目になっていて、彼女が普段はこんな顔を見ないので、悠魔は可愛いなと思いながら受け取った拳銃をローブの中にしまった。


「それじゃあ、僕は伝える事を伝えたから、帰るけど君達はどうする?」


 用が済んだのかアリスは家に帰ると言いだし、ナナと悠魔にどうすると尋ねると、2人も一緒に帰ると言い帰路に着いた。




「ん~よく寝た」


 朝早く起床した。窓を開けて外を見ると薄暗く人も少なく、何時もより早い時間の起床だが、目が覚めてしまったものは仕方ないと割り切り、まだ寝てるであろうナナとアリスの朝食の用意を始める為に1階に降りて行った。

朝食を準備をし始めてしばらくすると、眠そうな表情のナナが降りて来た。


「ゆぅふぅまぁくぅん~おひゃひょう」


「おはようございます、ナナさん眠そうですけど大丈夫ですか?」


「へぇいきひょ」


「……眠いなら、まだ寝ていても大丈夫ですよ? ポーションの製作もないですし」


 ナナの余りにも眠そうな顔を見て、悠魔は特別今日は急ぎの仕事もないと言い眠る事を進めるが。


「うんん、朝の涼しい内に育った薬草の収穫をしないといけないの」


「そのくらいなら、僕がしておきますから」


「ダメ、お金をもらってる以上ちゃんとしないと、それに……」


 初めは悠魔はナナに1日銀貨1枚と破格の値段で仕事を頼んだが、彼女は住み込み食事付きで、その値段は流石に貰い過ぎと言い結局受け取らなく、30日銀貨1枚と言う内容で契約した。


「……悠魔君のご飯美味しすぎて最近体重が……少しでも動かないと」


「はい、朝食です」


「おぉぉ……」


 ナナの前には、いい匂いのフレンチトースト、コーヒー、綺麗にカービングされた果物が置かれた。


「……何この果物?」


「ん、リンゴですよ」


「いや、そう言う事を聞いてるんじゃないんだけど」


 目の前には薔薇の花の様にカービングされたリンゴが置かれており、それを見たナナの目はこの子は一体何を作ってるんだと思い、フレンチトーストを食べ始めた。


「それじゃあ、私畑の方に居るから、何かあったら呼んでね」


「はい」


 ナナが収穫するための、道具と大きい籠を持って立ち上がり歩き出した瞬間、椅子に足を引っかけてしまい倒れそうになるのを悠魔が慌てて止めようとするが、結局2人とも倒れてしまい、悠魔がナナを押し倒した様な構図になり。


「ご、ごめんなさい、悠魔君大丈夫?」


「ええ、平気です」


「……君達朝から発情するのはいいが、場所は考えた方がいいと思うよ」


「「!?」」


 階段の上からアリスが2人を冷めた目で見ていて、自分たちの状況に気が付いた2人は慌てて離れて、ナナは逃げる様に家を出て行った。


「そう言えば、昨日の夜遅くにリボーズからの連絡が来て、君の予想が当たったと言ってたよ」


「本当ですか!」


 起源龍に滅ぼされた村や町の、ある法則に気が付いた悠魔だったが、その場で言う前に黒い地竜の襲撃や魔王リボーズ・ジードの登場ですっかり忘れてしまっていて、それを思い出したのがリボーズが夕食を食べに来た時で、法則を話すとリボーズが調べてくれると言い、その結果が昨日の夜遅く届いた。


「君の言った通り、村や町の近くにあった鉱山を調べたら、ごっそり中身がなくなっていたらしいよ、空洞の大きさからすると、起源龍はそこに潜んでいたんだろうね」


「そうですか」


「今は対策を考えてるて言ってたな」


 アリスは朝食を食べながら、昨日届いた報告を内容を悠魔に説明した。


「後は奴らに任せれば何とかするだろ、多分今起源龍が居るのはアリテール王国だし、僕達が出来る事はないしね」


「……はい」

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