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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第二章
44/227

召喚石

 悠魔は久しぶりに依頼を受ける為に、朝早くからギルドを訪れていた。


「それで、アリスさんは何で着いて来るんですか?」

「君1人ではまだ心配だからね」

「アリスさんて冒険者登録出来ませんよね?」

「そうだね、一応この国では自由に動けるけど、僕は元魔女教団のお尋ね者だからね」

「いくら顔が割れてなくても、流石に登録する時にバレますよね」

「そうだね、僕でも登録石は誤魔化せないからね」


 アリスは魔女と言う事が周りにばれない様に特殊な魔道具を使ってるが、登録石と言われるギルド証や身分証を作る時に使われる黒い石は誤魔化す事が出来なく、登録しようとすると魔女と言う事がばれてしまう。


「まぁ、君が受けたのに同行するだけだし問題ないよ、ギルド証が無いと正式に依頼を受け報酬を受け取れないだけだから」

「ギルド証て何であるんですか?」

「ん、簡単な事だよ、例えば依頼を受けそれを達成するしかし依頼主は報酬を払わない、そしてその逆に依頼を達成するが報酬を上乗せしろとか言う輩が居るんだよ、でも国が運営するギルドを通す事により依頼料の踏み倒しや報酬の上乗せが防げるんだ、誰も犯罪者になりたくはないからね」

「そう言う事か」

「だからついて行くだけなら問題ないんだよ……まぁ余り褒められた行為ではないけどね」


 久しぶりの依頼と言う事もあり、今の悠魔なら1人でも簡単にこなせるゴブリン討伐を受けて、森に着く頃には昼頃になっていた。


「今の君ならゴブリン数匹くらいなら1人でも余裕で倒せるから僕は手を貸さないよ、いいね」

「ええ、それはいいんですけど一対一なら負けない自信がありますけど数が多いと流石に心配ですよ」


 元々悠魔は森に入らないで達成可能な採取系のクエストを受けるつもりで来たのだが、アリスの提案でゴブリン討伐依頼を受けた。


「問題ないよ、その気になれば多分ジャイアントベアーでも狩れるよ」

「いやいやいや、無理でしょう! 前はアリスさんの調整した杖があったから簡単に倒せただけで、1人じゃ無理ですよ!」

「ほら、早く行くよ日が暮れる前に」

「ちょっ、ちょっと待ってください!」


 森の中を歩く2人、アリスは何かに気が付いた様に立ち止まり茂みの先を覗きこんだ、そこには5匹のゴブリンがおりそれを見たアリスは二ヤリと笑い、それを見た悠魔は嫌な感じがした時と同時にゴブリンの前に突き出された。


(この人本当に僕の事大切に思ってるんでしょうか?)

「ほら、ぼさっとしてると怪我をするよ」


 アリスの行動に悠魔は自分は彼女に大切にされてるのか疑問に思うが、今は悠魔を見つけて襲ってくるゴブリンを何とかしないと思い、拳銃を取り出しゴブリン目掛けて発砲すると1匹のゴブリンの頭部を銃弾が貫き絶命させる。


「……(チェーン)


 悠魔は何か思う所があったのか拳銃を下ろし、最後尾を走るゴブリンを鎖の魔法で拘束して魔法剣を作り出し走り出した。向かって来た3匹のゴブリンの間をすり抜け、拘束していたゴブリンを両断して振り返り手をゴブリンに向け幻弾を放ち、1匹のゴブリンの意識を刈り取った。


「よし、これで残り2匹」


 駆け寄って来たゴブリンは、悠魔目掛けて手に持っていたこん棒を振り下ろすが、悠魔は難無く避ける、その時悠魔はゴブリンの動きが遅く感じ、今まで何度かゴブリンとは戦った事があったが、さっきの様な感じは初めてで不思議に思う。離れた所で、巻き込まれない様に木の枝に腰かけていたアリスは、何故自分がこんなに動けるのか分からないと、不思議そうに頭を傾げる悠魔を見て微笑んでいた。


「ハァァァ!」


 勢いよく振り下ろした魔法剣がゴブリンを両断して、残りの一匹に魔弾を放ち絶命させた。


「…………」

「どうだい?」


 木の上から降りて来たアリスが悠魔に戦った感想を聞くと。


「何か今までと違いますね、ゴブリンの動きが遅く感じましたし、動きが読みやすかったです」

「それはそうだろうね、僕が鍛えてるんだから、それにここ最近君が戦ったのは黒い地竜だろ、あれに比べればゴブリンの動きもスピードも大した事ないからね」

「確かに」


 悠魔はここ最近の事を思い出し、黒い地竜に、魔王のリボーズ・ジードとアリスの戦いこの2つの出来事に比べればゴブリン数匹何て大した事なかったと思い。


「そう言えば、君はどうして途中で拳銃を収めたんだい、あれを使えばもっと簡単に倒せただろ?」

「そうなんですけど、あれで倒せても、それは武器が強いだけで僕の力が強いわけじゃないですか?」


 悠魔の言葉にアリスはお腹を抱えるほど笑う、そんな彼女を見て悠魔は自分が何か変な事を言ったのかと思いアリスに尋ねると。


「いや、君の言う事は最もだ、確かにその拳銃は強力な武器だが、それを扱うのは君の技術だろ? 使える物は使わないと、僕だって沢山の魔剣を使ってるだろだけど君が僕と同じように魔剣を使えるかと言えば無理だろ?」

「まぁ、そうですね前に一度魔法陣を見せてもらいましたけど、あんな変態魔法陣僕には扱えませんよ」


 悠魔は何かの役に立つかと思い一度アリスが魔剣に刻印してある魔法陣を見せてもらったのだが、余りにも変則的過ぎて起動して魔剣を浮遊させる事は出来るが、その後の移動や魔剣の能力を使う事が出来ないと思い断念した。

 アリスの構築した魔法陣の効果は、浮遊、移動、魔剣の能力の発動を可能とした魔法陣で普通に魔力を注ぐ事により魔剣は浮遊するが、その後移動させるのに魔力の注ぎ方を変化させないといけなく、さらに能力を使うのにも魔力の注ぎ方を変えないといけないため物凄く使いづらく、それだけなら魔力のコントロールが得意な悠魔な可能だが、魔力を流す魔法陣が人間の血管の様に複雑でどのように魔力を流せばいいかが分からずに終わり。アリスに聞いて何度か試したがやはり出来なく諦めた。


「変態魔法陣て……そんなに難しくないだろ? 魔法陣の全容を把握していれば出来る」

「いや、無理です」


 魔法陣内に存在する魔力を流す回路は、例えるなら初級魔法の魔弾なら一本線でアリスが作った魔法陣なら人間の血管の様な差があり、どちらが簡単かと言えば魔弾の方が簡単で、ただで際複雑な魔法陣に尚且つ移動させるのに魔力の流れを変化させないといけないので、悠魔はアリスの構築した魔法陣を変態魔法陣と言っている。それをさらに同時に数本扱うアリスはやはり異常だと思った。


「……」

「……」

「まぁ、もう少し探索して帰ろうか? 君の今の実力も知りたいし」

「はい」


 アリスは強引に話を変え、その後森を探索してジャイアントベアーを見つけ、悠魔は少し時間が掛かったが1人で倒す事が出来、その結果を見たアリスはもう少し高度な戦闘方法を教える事が可能だと思い、次の訓練から難度を上げようと思った。

 街に戻った悠魔は、ギルドでゴブリンとジャイアントベアーの素材を売却、ゴブリンを倒した証拠のゴブリンの魔導核を渡し報酬を受け取り、アリス座っているテーブルに戻った。


「あれ、ナナさん何で此処に?」

「アリスさんにこれを持ってくるように言われたので」


 ナナはテーブルの上置いてあった大きな箱を指さした。


「これって工房に置いてあった、確か鉱石や魔物の素材を合成する合成板ですよね」

「そうだ、これで君に面白い物の作り方を教えてあげようと思ってね」

「面白い物? それって今日売らなかったジャイアントベアーの魔導核と関係があるんですか?」


 ジャイアントベアーの魔導核はそれなりに高値で買い取って貰えるのだが、アリスはジャイアントベアーの魔導核だけは売却しない様に悠魔に言い含めてあり、悠魔も特別お金が要る訳でもないのでアリスの言葉に従い売却しないでいた。


「此処じゃ目立つから別の所に行こうか」


 アリスは目的地を告げずに歩き出し、悠魔もナナも首を傾げてそれに続いた。


「アリスさん何処に行くんですか?」

「ん、言ってなかったかい? 王宮だよ」

「何で王宮なんですか?」

「正確には王宮の訓練所だよ」


 しばらく歩き王宮の近くに来ると、そこにはルチアとフェレクスが居て2人に案内され王宮の隣にある訓練所に案内された。


「2人は何でいるんですか?」

「僕は面白い物が見れると聞いてね」

「私は此処を使用するのに監視の為に」


 悠魔が2人と話してる間に、アリスとナナが何かの準備をしていて、準備が終わったのかアリスが悠魔に声を掛ける。


「それじゃあ、真ん中に魔導核を置いて」

「はい」


 悠魔はアリスの指示に従い魔導核を合成板に書かれてる魔法陣の中心に置き、次にアリスが幾つかの素材を取り出し悠魔に渡す、悠魔は指示された通りに素材を合成版に置いて行き。


「これでいいんですか?」

「ああ、後は合成板を起動するだけだ」


 合成板に魔力を注ぎ込む悠魔、そうすると合成板の魔法陣が輝き、置かれていた素材が光の粒子に変わり混ざり合った。光が次第に消えていき、1つの宝石が出現した。


「これって何ですか?」

「召喚石だ」

「召喚石?」


 アリスの説明によると、魔力を注ぐ事により、使った魔導核の魔獣を召喚する事が出来ると説明された。悠魔が魔力を召喚石に注ぐと光の粒子に変わり空中に魔法陣が描かれ、その中からジャイアントベアーが姿を現した。


「契約しないで召喚魔法を使えるなんて」

「すごいな、こんなの初めて見た」


 2人共魔獣を召喚できる魔道具の存在を知らなかったため、フェリクスとルチアは驚き。悠魔は恐る恐るジャイアントベアーの頭に触れる。ジャイアントベアーは大人しく悠魔に撫でられ喉を唸らせた。


「そんなに怖がらなくても平気だよ」

「いや、普通に怖いですよ」


 普通の熊でも怖いのに、ジャイアントベアーは5メートル程の大きさで、その牙、爪は鋭くそれを見た悠魔は怖くなりアリスの後ろに隠れた。


「君ねぇ……」


 アリスは何処か呆れた様に悠魔を見ると、悠魔も流石に強いとはいえ彼女を盾にするのは情けなくなり、苦笑いをしながらアリスの横に立った。


「簡単な命令しか出来ないけど、君の役に立つはずだ」

「はぁ……」


 大丈夫と分かっていても、目の前に居るジャイアントベアーが気になってしまい、アリスの言葉が頭に入って来ない悠魔だった。

次は番外編魔女の帰路を考えております。本編を楽しみにしてくれる方いたらすいません。番外編て楽しんでる方居るのでしょうか?

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