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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第二章
43/227

帰国

「え、明日ですか」


「はい、明日帰ります」


「それはいいんですけど、急ですね」


「それが……」


 悠魔はララークに明日帰る事をコトナに知らされていた、悠魔は窓の外を見ると太陽は沈み暗くなっていた。


「本当に急ですね、僕は別にいいのですけど」


「先に言っておきますけど、私の責任じゃないですからね」


「すいません、うちの馬鹿魔王が……」


「一体何があったんだい、リボーズが問題を起こすのは何時もの事だろ?」




 クリルの話を聞くと、先ほどリボーズ急にララークに行くと言い出し、同盟を結ぶ以上王同士の顔合わせは必要なのでクリルは仕方ないと思うが、急な話で流石にコトナも難の色を示すが相手が魔王と言う事もあり結局断れずに了承した。


「相手が魔王だ苦労しますね」


「本当にすいません」


「ですがどうやって帰るんですか? 僕達が来た時の馬車て壊れましたよね」


「ですから、帰りは馬鹿魔王が送ります」


「帰りもあれですか?」


「あれです」


 悠魔は来た時の事を思いた。リボーズが変化した怪鳥に乗り大空を飛んだ事を思い出し帰りもあれかと思い遠い目をした。

 次の日の朝、王宮の広場リボーズ、クリル、悠魔、コトナ、アリスが集まっており、怪鳥に変化したリボーズの背中に乗り飛び立った。




「君達……離れてくれないか」


「だって」


「落ちたら間違いなく死にますし」


 来た時同様に悠魔とコトナはアリスに抱き着き、アリス自身悠魔に抱き着かれるのは嫌ではないが色気もないこの状況では流石に迷惑そうな顔をしていた。クリルだけは意外に楽しそうにしていた。


「申し訳ありませんが御2人は此処でお待ちください」


「分かりました」


「おう」


 ララークの入り口の近くに降りた怪鳥を取り囲む様に兵達が集まって来て、コトナが慌ててその場に集まった兵に事情を説明する。


「何か大変そうですね」


「まぁ、魔王が現れた大変だろう」


「帰っていいでしょうか?」


「いいんじゃないか、此処に居ても僕達に出来る事はないしね」


 悠魔は説明を終えて一段落しているコトナに近づき家に帰る事を伝えると、疲れた表情をした彼女は謝罪をして2人を見送り、悠魔とアリスは帰路に着いた。




「ただいま帰りました」


「悠魔君、アリスさんお帰りなさい」


「何か変わった事とかありませんでした?」


「いえ、別に何もなかったわよ……アリテール王国はどうだった?」


 テーブルに着いた悠魔とアリスに水を出したナナはアリテール王国の事を聞き始め。


「いい場所でした、海綺麗で海産物が色々売ってて、そうそうリウスさんとクラウさんにも会いましたよ」

「ホント! 2人共元気だった?」


「元気でしたよ」


「そう、よかった」


 2人の元気にしてると悠魔に聞いてナナは表情を綻ばせる。


「そう言えば、悠魔君達が帰って来る少し前から外が騒がしいだけど何かあったのかな?」


「多分アリテール王国の国王が来たからではないでしょうか?」


「アリテール王国の国王……っ千変の魔王リボーズ・ジード国王陛下が!?」


「ええ、一緒に来ましたから……と言うか陛下に運ばれてきました」


「運ばれて来た!? 何があったの!?」


「実は……」




 悠魔は今日まであった出来事、黒い地竜の襲撃、その時に助けて貰った事、イクシードにの移動経路などを詳しく説明した。


「色々あたったのねぇ」


「ええ、色々あったんですよ」


 話終えた悠魔は思い出したかのように2つの包みを取り出し、アリスとナナにそれぞれ1つずつ渡し、2人が包みの封を切ると中からそれぞれ色の違うネックレスが出て来た。


「あら、これ可愛い」


「貰っていいのかい?」


「ええ、2人には普段世話になってますから」


 ナナは普通に喜び、アリスは一見無表情だったがよく見ると口元が綻んでおり喜んでいる事がわかり。


「それと今日の夕食は海産物を使った鍋料理を作ります」


「鍋料理?」


「何だいそれは?」


「2人知らないんですか鍋料理? こう1つの鍋を囲んで皆で食べる料理何ですけど」


「初めて聞きました」


「僕も長い事生きてるが初めて聞く料理だね」


 悠魔は楽しそうにする二人を背に鍋の仕込みをし始め、しばらくして大変な事に気が付いた、鍋がなかったのである、料理を調理する用の鍋はあったが鍋料理用の鍋がなく普段の鍋で代用できないか考えるが大きさが小さく、悠魔が困ったなと考えてると1つの結論にたどり着いた。


「なければ作ればいいな」


「何をだい?」


「鍋です」


 悠魔の言葉に女性2人は何を言ってるんだと思い、工房に入って行く悠魔を見送った。日が暮れだした頃のに工房から出て来た悠魔の手には変わった形の鍋が握られており、悠魔はそれの中に仕込みをしておいた食材を入れていき火にかけた。


「それで出来るのかい?」


「ええ、後は煮込んで出来上がりです」


「楽しみですね」


 鍋料理が完成してテーブルの上に置かれて、悠魔が蓋を取ると中からは美味しそうな匂いが立ち上り悠魔が小皿を2人に渡す、2人はそれぞれ具材を取ろうとした瞬間家のドアがドンドン叩かれた。悠魔はこんな時間に誰だろうと思い、ドアを開けるとそこに居た人物リボーズを見て固まった。彼の後ろでは、すいません、すいませんと謝るクリルの姿がある事に悠魔は気が付かなかった。




「うまいな! この鍋とか言う料理は」


「はぁ……」


「すいません、すいません」


「いえ、この数日でこの人の性格は分かりましたから」


 謝るクリルに悠魔は気にしない様に言い白身魚の切り身を口に運ぶ、しかし、急な来客のリボーズにアリスは不機嫌そうに食事をして、ナナは怯えながら箸を動かす。


「悠魔、何でこれを家に入れたんだ?」


「僕に言われましても、流石に追い返せないですよ」


「君は人が好過ぎる、迷惑なら迷惑とはっきり言わないとダメだ」


「アハハ……」


 アリスの言う通りだが、とても目の前の相手にそんな事は言えずに引き攣った笑顔しか出来なかった。そんな悠魔を見てクリルは謝り続けた。


「おいおい、剣姫の魔女何をイライラしてるんだ、生理か?」


「こいつぶっ殺す!」


「落ち着いてくださいアリスさん!」


「苦労してるんですね」


「はい、苦労してます」


 リボーズの言い分に怒るアリス、それを必死に止める悠魔、苦労人のクリルにお酒を注ぐナナ、そんな混沌とした夕食は終わりを迎える。




「うにゃ~陛下……あんまり問題おこしゃないで……きゃだしゃい」


「あ~あ~こんなに酔っぱらって、情けない」


 酔いつぶれてしまったクリルを背負うリボーズ。


「申し訳ありません、何だか飲ませ過ぎた見たいで」


「いや、嬢ちゃんが気にする事じゃない、クーちゃん元々お酒は強くないからな」


「そう言えば同盟の方は大丈夫なんですか?」


「ああ、何事もなく終わった、帰る前に坊主にも挨拶しておこうと思ってな、そうしたら美味そうな匂いがするからついな……悪いな」


「いえ、まぁ、今度来る時は一言連絡もらえると嬉しいですが」


「ああ、そうする、また美味しい物食わしてくれ」


 クリルを背負い直し高く飛び上がると怪鳥に変化して暗い夜空に消えていった。

 窓が開き中からアリスが体を乗り出して来る、不愉快そうな顔をして悠魔を見つめ。


「帰ったのかい、あの迷惑魔王」


「はい、飛んで行きましたよ」


「全く……不愉快な奴だ」


 アリスは部屋の中に戻って行き窓を閉めながら悪態をつくが、その表情にはうっすらと笑みがありそれを見た悠魔は素直じゃないなと思い。悠魔とナナは家の中に戻って行った。

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