苦労人
「いい加減にしろ!」
「ハハ! 可愛い反応するな」
「ぶっ殺す!」
目の前には、マジ切れしたアリスと愉快そうに笑うリボーズが戦っていた。
「悠魔様止められませんか?」
「無茶を言わないでください、僕の力何かたかが知れてますよ」
「ですが、陛下の話によると例の黒い地竜を追い詰めたとか」
「あれは、皆さんの協力があったからですし、純粋な力何て蟻並みですよ」
現在王宮の一室は壁や天井には穴だらけになっており、騒ぎを聞きつけて駆けつけたクリルとコトナは悠魔を盾にするように後ろに隠れていた。
「あのう、2人共僕を盾にするのやめてくれませんか?」
「すいません、つい」
「申し訳ありません」
「何でこんな事に……」
何故このような惨状になったかと言うと、それはリボーズがアリスをからかい過ぎたのが原因で話は少し戻り。
「頭を撫でられただけで少女見たいな反応するな、もういい歳なのに、大体1000年くらい生きてたよな」
「う、うるさいよ! 僕だって女の子なんだ」
「女の子ねぇ~」
「わ、笑うな!」
リボーズはニヤニヤしながらアリスに視線を向け。
「あ゛!」
「いや、だってねぇ、災厄の魔女とか言われてた奴の口から女の子とか」
大笑いするリボーズに、顳顬をピクピクさせながら怒りを押させるように笑顔を作り、しかしその笑顔は怖く悠魔とコトナは2人から離れ部屋の隅に移動して2人で震えだした。
「ぶっ殺す!」
「ハハ! 上等!」
そして爆発音によりクリルが駆けつけ、半壊した室内を見て呆然となり、少しして現実を受け止めた彼女は部屋の隅で震えていた二人を見つけて近寄り事情を聞いた、そして今の現状になる。
「ハハ! 牙牙牙籠!」
「氷塊の棺」
リボーズの腕が触手の様に伸び3方向に分裂して先端が狼に変化してアリスに襲い掛かるが、アリスも魔法を発動させて、3匹の内2匹の狼を氷塊に閉じ込め、残り1匹を手に持っていた魔剣で両断した。
「遅い!」
「っ」
リボーズは高速移動をしてアリスの後方に回り込み、素早く拳を繰り出すアリスも展開していた魔剣を操りリボーズの拳を防ぎ直撃を避けるが勢いは止められなく、吹き飛ばされ王宮の城壁に激突して貫き市街地の方に飛んでいた。
「くっそ、あの馬鹿力――っ!」
「ハハ!」
アリスが立ち上がろうとすると、目の前にリボーズがいつの間にかいて拳に光を集中していた。
「獣王拳!」
「っ!」
ほぼゼロ距離で光の獅子が放たれアリスを飲み込んだ。
「何!」
「余り僕をなめるな!」
アリスとリボーズの間には、お互いの姿が見えなくなるほどの大きな魔剣が刺さっており、光の獅子を防いでいた。その剣がアリスの声と同時に浮き上がり勢いよく振られリボーズを両断しようとするが、腕をカメの甲羅の様に変化させ防ぐが、今度はリボーズが王宮の窓ガラスを破壊して屋内に吹き飛ばされた。
「ハァァァ!」
アリスが魔剣を振るうと火球がリボーズが飛ばされた屋内に打ち込まれ大爆発を起こした。
「あれ、やり過ぎなんじゃ」
「いえ、彼女が訪れた際は何時もこんな感じですよ」
「いいんですか? このまま続くと王宮が半壊すると思いますが」
「ハハハ……あの二人が私の話なんか聞くわけないですよ……お城の修理費が」
力なく笑うクリルの目から徐々に光がなくなってしまいその場に跪いた。悠魔はお気の毒にと思い、王宮の燃え盛る場所に視線を送ると、そこに獅子の顔と体を持ち背中に蝙蝠の様な翼を生やし蠍の尻尾を持った化け物が立っていた。
「何だあれ!?」
「陛下の戦闘形態の姿の1つです……って、何考えてるんですかあの人は!?」
クリルが近くに居た兵士に、何か指示をすると兵士は走って行き。疑問に思った悠魔は、頭を抱えるクリルに質問すると、彼女は親の仇を見るような目でリボーズを見ながら説明してくれた。
「陛下は、あらゆる魔獣や動物に姿を変化させることが出来ます、あれは火力重視の形態で小さな山くらいなら簡単に消し飛ばします」
「……そんな力を、こんな街中で使ってもいいんですか?」
「いいわけないでしょ!? 王宮だけならまだしもこのままでは市街地まで被害が出ます!」
「あのう、市街地にもう被害出てますよね」
「そうでしたぁ!」
空気を読まずに発したコトナの言葉にクリルはその場に倒れ込み、その姿を見た悠魔はこの後処理は大変そうだなと思い、再びリボーズに視線を送るとそこには口から魔力砲を放つ姿があり、それを見た悠魔はこの国よくこれで成り立つなと思った。
しばらく続いた戦いも日が暮れると、お互い満足したのか怒っていたアリスも普段通りに戻り、リボーズも欠伸をしながら歩いて来た。ただクリルは2人の戦いで出来た瓦礫の山を見て呆然としていた。
「クーちゃん、こいつらに新しい部屋を用意してあげて」
「……私はクーちゃんじゃないです……お客様此方にどうぞ……」
哀愁を漂わせ今にも消えてしまいそうな声でクリルは悠魔達を新しい部屋に案内していった。
「このベットふかふかだな」
女性陣2人とは別の部屋に案内された悠魔は、置いてあったベットに腰かけると普段家で使ってる物とは違い、ふかふかで家のもこのくらい弾力があればいいなと考えた。
「失礼します」
「はい?」
「お食事の用意が出来ましたので此方にどうぞ」
部屋を訪ねて来たメイドに案内され、大きなテーブルのある広い部屋に着くと、そこにはすでにリボーズ、コトナ、アリスが揃っており悠魔が席に座るとメイド達が料理を運んで来た。
「これ、何の肉ですか?」
「食用に養殖しているキングクロコダイルの肉だ」
「クロコダイル……ワニですか?」
「ああ、何だ初めて食べるのか?」
「はい、サッパリしていて美味しいですね」
絶賛する悠魔にリボーズが気分よさそうに高笑いをした。
「城の食糧庫や街の方にも色々おいてあるから明日にでも見て行ってくれ」
「いいんですか!?」
「おう、いいぞ好きなだけ見てけ、クーちゃん明日案内してやってくれ、調理の方も出来るだろ?」
近くに立っていたクリルを呼び、悠魔達の案内を申し付けた。
「私はクーちゃんじゃないです! 無茶を言わないでください! 今日の被害の後始末や王宮の修理に市街地の修理にやる事は山積みなんですよ?」
「それは他に任せていいから、彼らの案内を頼んだ、日ごろ忙しそうにしてるからな」
「陛下……って! 私が忙しいのは陛下が問題を起こすからです!」
激怒するクリルに笑うリボーズ、悠魔が他の人達に視線を送るが反応がない所を見ると、この光景は何時もの光景なのだと思いリボーズに振り回されるクリルに同情した。




