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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第二章
29/227

鬼人の里

 しばらくすると、和風建築が見えて来て何人者着物を来た鬼人達が仕事をしたり、子供達が遊んだりしていた。


「此処が鬼人の里」


「そうだ――こっちだ」




 紅に案内されて彼の家に向かう、家は和風建築で悠魔は懐かしく感じてしまった。


「靴はそこで、脱げ」


 紅は玄関で靴を脱ぐと廊下を歩いて行き、それに続くように悠魔達も靴を脱ぎ紅を追いかけた一室に入り底には、布団の上で横になっている少女がおり、額に紅と同じ黒い角を生やしており白い薄い着物を着ていた。


「お兄様、お帰りなさい」


「真白大丈夫か?」


「はい、そちらの方は?」


「ああ、お前を見てくれる人達」


「私をですか?」


「頼んでいいか?」


 コトナが頷き真白に近づくが、しばらくしても何もしないで悠魔と紅を見るが二人は首を傾げ、イライラしたアリスが剣を取り出し二人目掛けて投げつけ。


「男共はさっさと出ていけ!」


 男二人は、慌てて部屋を出るとアリスが障子を閉めて、二人を締め出ししばらく、二人は会話もなくその場に座り込んだまま時間だけが過ぎて行き障子が開き中からアリスが出て来た。


「どうやら、君の妹は魔虫に寄生されているな」


「魔虫だと!」


「アリスさん、虫手なんですか?」


「生物に寄生して、魔力を食べる虫だよ」


 アリスに除去方法を聞くと直接お腹を切り開き引っ張り出すしかないと言われた。コトナに確認すると彼女には摘出は出来ないと言われそれが可能なのは、アリスだけで彼女は悠魔が関わらない限り力を貸してくれなく。


「あ、あのう、アリスさん……」


「…………」


「アリスさんお願いします」


「ハァ~」


 基本的に気分やで気まぐれな彼女だが、やはり悠魔のお願いには弱くため息をつき紅に書く物を持ってこさせ、そこに色々な薬草、必要な道具などを書いて行き用意するように言って真白と話をし始めた。

 悠魔達三人は手分けしてその道具を集めだし集め終わる頃には、すっかり暗くなり夜になっており蝋燭の光が一室を照らしており部屋の中心には真白が寝かされていて、彼女を挟む様にコトナとアリスが座っていた、コトナの隣には色々な色の薬品が入った瓶が並べられており、悠魔の調合した止血剤や造血剤など摘出時に必要な物だった、




「じゃあ、始めるよ」


「はい」


 二人が真白から魔虫を摘出してる頃、男二人は部屋の前の廊下におり紅は部屋の前を行ったり来たりしていた。


「少し落ち着いたらどうですか?」


「これが、落ち着いてられるか!」


「やる事はやったんですあとは、結果を待つだけです――アリスさんなら成功させてくれますよ」


「そこなんだ、大体何なんだあの女、鬼人の俺を素手でぶっ飛ばすし――本当に人間か?」


 紅は初対面の時にアリスと少し揉めてしまい、その際に素手で吹き飛ばされていた。


「アリスさんは、魔女ですよ?」


「はぁ!? 魔女ちょっと待て、魔女って言ったら――」


「でも、優しいですよ魔女と言っても色々居るんですよ――僕も色々教えてもらいましたし」


 今にも、部屋に突入しかねない剣幕の紅を悠魔は静止していると、障子が開き中から血にまみれたアリスが出て来て、それを見た紅は殺気立つがアリスは気にも留めなく手に持っていた親指サイズの芋虫から何本もの触手が生えた生き物を見せ。


「これが、魔中だ本来はこの十分の一程の大きさなんだけど、これはかなり大きい結構長い間寄生されていたんだね彼女――」


「おい! 俺はお前が魔女なんて聞いてないぞ!」


「ん、別に聞かれなかったからね」


「ふざけんな、魔女と分かっていたらお前に妹を――」


「アリスさん、真白さんは?」


「ん、ああ、彼女は今コトナが傷を縫合してるよ……まぁ鬼人族なら明日にでも傷は塞がるだろうねぇ」

 

 何処か疲れたような顔をするアリスにホッと胸を撫で下ろす紅は部屋の中に入って行った。


「全く面倒な事を……」


「アリスさん……」


 アリスが手に持っていた虫を握りつぶし虫は嫌な音を立てて潰れてしまい、アリスは悠魔を一瞥して微笑して廊下を歩いて行き家から出て行った。


「おい、妹を助けてくれた事に礼を言う」


「僕は、何も礼ならアリスさんに言ってください」


「それは、言うが何処に行ったんだ――姿が見えないが?」


 頭を上げた紅は、アリスを探すが居なく悠魔に聞くと、さっき家を出て行ったといい。何処に行ったかは悠魔にも心当たりがなくしばらくしたら帰って来るだろうと言われて、困ったように頭をかき悠魔達に今日は泊まって行くように言い、部屋の用意をする為に家の奥の方に歩いて行った。


「悠魔君、悪いんですけど水を汲んで来て貰えませんか? 体を拭きたいんですけど……」


 コトナが血で汚れた水の入った桶を悠魔に渡して、悠魔が部屋の中を見ると部屋の中は瓶や血塗れた包帯やタオルが落ちていて、コトナは少し疲れた顔をしていて、散らかっていた瓶や包帯を片づけ始めた。



 暗い夜道を歩き川に向かい、川岸で水を汲もうとすると、すぐ近くで水音がしてそちらに目を向けるとそこには。


「おや、悠魔どうして此処に?」


「な、な、な、何してるんですか!?」


 悠魔の目の前には一糸纏わぬ姿のアリスが川の中につかっていて、悠魔は目を逸らす為に後ろを向き、そんな悠魔を見ていやらしい微笑みを浮かべ悠魔に近づいた。


「どうしたんだい、君なら好きに見ていいよ」


「あ、貴方は何を言ってるんですか!? 馬鹿なんですか!?」


 アリスは、愉快そうに笑い。


「何でもいいですから、これ体に巻いてください!」


 悠魔はタオルを投げつけてアリスは、仕方ないなとタオルを巻き。


「それで、水浴びですか?」


「ああ、体が汚れたからね……そうだ」


 アリスが何かを思いついた様に、ポンと手を打ち。




「な、何故こうなった?」


「いいじゃないか、君の頼みを聞いてあげたんだ、このくらいの役得があっても」


 そこには、川岸でアリスの髪の毛を洗う悠魔の姿があり、アリスは機嫌よさそうに悠魔に洗われており。


「それにしても、君は人助けが趣味なのかい? 魔女に続いて鬼人まで助けたがるとは?」


「そんな事は、ないです……ただ生きられる命なら生きた方がいいと、思っただけです」


「生きられる命か……僕はそんな、生きられる命を沢山奪って来た悪い魔女だよ、なのにどうして僕を助けたんだい?」


「別に僕は、僕の手の届く範囲の命を救いたいだけです、アリスさんがやって来た事は悪い事です、それを許す事は出来ませんでも、それでも過去の事ですから」


 アリスはそんな、悠魔の話を聞いて呆れた顔をする。


「まぁ、僕の罪は取り合えず置いておくが、君――」


 ビシッと悠魔を指さし、ジト目で説教をし始めた。


「他の魔女は僕みたいにちょろくはないよ、気よつけなよ」


「はぁ~(アリスさん……自分がちょろい自覚あったんですね)」


「君……今失礼な事考えただろ」


 ギロリと睨まれ悠魔は目を逸らし、そんな悠魔を見たアリスはため息をはき、頭を洗う様に促した。


「アリスさん?」


「ん、何だい?」


「貴方の過去に何があったかは知りませんが、何故魔女になったんですか?」


「…………」


「アリスさん?」


 アリスは何かを考える様に目を瞑りそのまま、少しの時間が過ぎて行った。そして、何かを決意したようにアリスが口を開いた。


「昔ある国に一人の姫が居ました、その姫は魔法の才能があり将来も有望だった、姫は毎日が幸せで優しい両親に可愛い妹や弟それに、愛すべき国民達こんな日がずっと続いてくものだと思っていた……あの日までは」


「あの日?」


「その国は魔王に目を付けられた、姫は懸命に戦ったでも、魔王には勝てなかった所詮姫は魔法の才能があろうと若くて経験がなく何より人間でしかなかった、そんな小娘が覚醒したての魔王とは言え勝てる訳なかった、でも、姫は守りたかった親を兄弟を国民をだから……」


「……」


「くっしゅ!」


 急にアリスがくしゃみをして、寒そうに肌をこすり始めた。


「寒い、早く髪洗って出よう」


「ちょっと、話の続きは!?」


「いいから、さっさと髪洗ってくれ寒い――くっしゅ!」


「えぇぇぇ!」

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