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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第九章
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ギリギリの攻防

 瓦礫の中から出て悠魔は校舎の中に入る。


「いたた、少し余計な事を考えすぎたか……」


 窓の隅から岩の魔獣をのぞき見する。


「困ったな。手持ちの道具なし援軍の期待なし……積んでるな」


 しかし、諦める訳にもいかないと思い校舎から出ようとしたが、岩の魔獣の変化に変化が見えて慌てて悠魔は校舎の廊下を走りだす。


 岩の魔獣の体表がいくつもの小さな砲塔に変化して魔力が収束する。そして、悠魔が走り出したと同時に小さな石の塊が大量に放たれる。


 石は校舎の壁や窓を破壊して悠魔に遅いかっかる。


「っふざけんなよ!」


 威力を見て一発でも当たれば肉体が吹き飛びかねない。校舎がどんどん瓦礫に変わっていき、仕方なく悠魔は校舎から飛び出す。


 飛び出ると同時に悠魔は腕を龍化させ魔力を込めて振るう、魔力の斬撃が放たれる石の礫を吹き飛ばし斬撃は岩の魔獣に命中するが、表面に小さな傷が入っただけで、その傷もすぐに癒えてしまう。


 岩の魔獣は傷が癒えた瞬間、地面を蹴り悠魔との距離を詰め剛腕を悠魔めがけて振るうが、今度は悠魔の龍の尾が剛腕がぶつかる。


 力負けしたのは悠魔で勢いよく吹き飛ばされるが、空中で翼を広げ体制を立て直し、のど元に魔力を集中させブレスを岩の魔獣めがけて放つ。ブレスは直撃したが悠魔は追撃と言わんばかりに大量の魔力弾を放つ。


 魔力弾の嵐が止み悠魔は校舎の屋根に降り立つ、少し息を切らしながら、残りの魔力残量を確認するが、もうそれほどの多くは残ってなく、先ほどのブレスや魔力弾の嵐は、あと数回程度しか使えない。


「あと、出来る事と言えば……魔力兵装だけだけど」


 先ほどまで使っていたが龍化とは相性が悪く、龍化すると同時に解除されてしまった。


「龍化と魔力兵装、相性わるいですね」


 誰に聞かせるでもなくポツリとつぶやく。


『なんだ文句でもあるのか?』


 頭なの中に居候してる魔導龍の声が響き渡る。


「いえいえ、何でもないですよ。それよりもアイツ何とかなりません?」


 土煙いから出て来た岩の魔獣は無傷でそこに立っていた。


『面倒な奴だな、超回復にあの火力の攻撃確かにやっかいだな』


「何か方法あります?」


『無理だな、ちんけな人間の体に入ってる俺じゃどうしようもない』


 珍しく弱音を吐く魔導龍に驚く。


「鎖を外してもですか?」


『ああ、無理だ。少なくとも人間の体じゃ無理だ』


「それは困ったですね……」


 封印の鎖を外せばそれだけ魔導龍は力を表に出せるが、それを外しても目の前の魔獣は倒せないと言う。


 岩の魔獣の咆哮が周囲を響かせる。どうやらじっくりと作戦を考えてる暇はないそうだ。


 咆哮とともに岩の魔獣は悠魔目掛けて駆け出す。迎撃する手がないので回避行動を取るしかないので回避をするが回避するだけでは勝てない、せめてこの状況に何か変化があればと思うが学院を覆うように張られてる結界のせいで外からの援軍はない。


「ん、この魔力……」


 先ほどまで感じなかった強大な魔力の反応が出現する。場所は結界の外で感知したと同時に学院を覆う結界がガラスを割るように割れる。そのすぐにジェンガが悠魔の前に降り立つ。


「ごめん遅くなった、ここからは僕も参戦するよ」


 ジェンガは剣を抜き目の前の岩の魔獣に向けて悠魔をかばうように立つ、そして悠魔に向かって彼が普段着てるローブを投げ渡す。


「彼女からの預かりモノだ」


「あ、やっぱりさっきの魔力はアリスさんだったんですね」




 学園の外、正確には結界の境目にはたくさんの人が集まっており、その中に疲弊して膝をついたアリスがおり、そんな彼女を心配するかのようにコトナが寄り添っていた。


「大丈夫ですか……」


「へ、平気だ……」


 どう見ても平気ではなく強がりだと一目でわかる。あたりには大量の魔剣や魔女特有の黒い髪は色素が抜けたように真っ白になっており、結界を破壊するのに()()全力を使ったんだとコトナは思った。


「ジェンガ君……悠魔君頑張ってください」




「ローブありがとうございます」


 悠魔はローブに袖を通しながら状況を簡潔に説明する。


「そんなことになっていたんだ……」


 状況を理解したジェンガは目の前の魔獣の危険さを理解した。


「なら、こっちの方が効果ありそうだね」


 抜いていた剣を鞘にしまうと掌に魔法人を起動させる。


 悠魔も一度見た事ある魔法陣で、以前アリスとジェンガが戦った時に彼が使った魔法。


 ジェンガの体全体に文字が浮かびだし手の平に魔法陣が展開され光の剣が生成された。


「聖剣」


「さて、やろうか」


 光り輝く魔力剣を握り構える。悠魔もそれに続くように大検を取り出し片手で持ち、もう片方の手には魔法石を数個握る。


 先にかけ出したのは悠魔で手にした魔法石を投擲し起動させ魔法を発動させる。発動した魔法は氷の槍(アイススピア)岩の魔獣にヒットするがそのすべてが割れて宙に舞う、さらに悠魔は新たな魔法石を投擲し起動する。氷の破裂(アイスバースト)の魔法が起動し宙に舞う氷の欠片が爆発する。


 アリスが好んで使う手順の魔法で、氷の破裂(アイスバースト)は氷を破裂させる魔法で初めに別の魔法で氷を周辺に撒きそれを爆発させるのがアリスがよく使う手順。


「やっぱりアリスさんみたいに威力が出ないか」


 悠魔が開発した魔法石は魔法陣を刻印した魔力石を使用する魔法で素質がなくても魔法を使えるが、魔法石で発動する魔法の威力が本来の半分程度しか出ない。


 全く効果がないとはいえ岩の魔獣の意識をこっちに向けるのは成功した。岩の魔獣の背後からジェンガが聖剣を振るい岩の魔獣を両断しようとするが、岩の魔獣は寸前の所で気がつき回避をし片腕を切断されるだけに被害を抑えた。


「今のタイミングでズラせるのか⁉ 反応も早い!」


 ジェンガは急ぎ距離を取り悠魔とジェンガで魔獣を挟み込むように位置取りをする。

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