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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第八章
211/227

逃げられた!

 ブレスが放たれた方は木々はなぎ倒され地面は抉れており、木々が焼け焦げた辺りに充満していた。


「……いない」


 天使の少女はいなくなっており、あれ程の使い手が今の攻撃で消し飛ぶとは思ってない、周囲を探る様にマジックゾーンを広げて行く、先程までは展開していたマジックゾーンは攻撃用に濃度の濃いものを使っていたが、今度は薄く広範囲に広げて行き辺りを探る。彼女の居場所はすぐに分かり顔を向ける。


「勝手にいなくなったと思ったら何してるんだお前は!」


「おや。これはこれは助かったよ」


「助かったようじゃねぇよ。馬鹿がお前は! ほら帰るぞ」


 天使の少女は高身長の天使に荷物の様に抱えられて浮遊していた。


「まてまてまて、あれを連れて帰りたい! あれは実に興味深いものだ」


 先程までは興味なさそうに悠魔を見ていた天使の少女だったが、今は打って変わって興味深々といった熱い視線を向けてる。


「はぁ! お前何言ってるんだ……アホな事言ってないで帰るぞ」


「だから待ってくれあれは珍しいぞ! 人間なのに龍の力を宿してるなんて――ふむ、先程まで気にしてなかったが、よく見れば半分龍化してるのか? 妙だなこれほど珍しいものが目の前にあるのにあたしが気が付かなかった? いや妙な物をつけてるなあれのせいか? ふむふむ実に興味深いあぁぁ。調べて見たいな……ほらあれを持って帰るぞ!」


 明らかにヤバイ人物に目をつけられたと思い悠魔は嫌な汗が流れる。高身長の天使は天使の少女の言葉に頭痛がし、もうこのまま問答無用で連れて帰ろうかと思い始めた。


 高身長の天使はゆっくり悠魔に視線を向け、次に倒れてるエルフィリア、地面に跪いているミーアに視線を向けて行った。


「ハァ……ありゃあ無理だ。他の魔女二人なら兎も角あの人間はまだかなり余力を残してるな、正直に言って持って帰るのは面倒だ」


 その言葉に不満があるのか天使の少女高身長の天使に視線を向けて脹れる。


「ほら帰るぞ――じゃないともう一発飛んでくるぞ」


「ほぇ?」


 高身長の天使の言葉に視線を悠魔に戻すと、先程と同じようにブレス為に魔力を溜めてる悠魔が視界に入る。


「おいおいおい! 先程より威力がありそうだね。これは不味いよね」


「ああ、だから帰るぞ文句はないな」


 現状を理解したのか勢いよく頭を縦に振る。その様子を見て高身長の天使は小さくため息をはき双剣の一本を取り出すと同時に悠魔が勢いよくブレスを放つが一本の剣に簡単に両断される。


 その光景を見て悠魔は慌てて周囲に魔力弾を作り出し放つが、寸前の所で光の粒子に包まれ二人の天使は姿を消す。




 ミーアの家に悠魔はエルフィリアを抱えミーアは何とか自力で三人で帰宅する。ミーアは手近な椅子に座り、悠魔はエルフィリアを部屋に置いてあるソファーに寝かせる。


「つ、疲れました……」


「死ぬかと思いましたね……悠魔さんもう嫌でよこんなの」


「あはは……二人共すいません。先走り過ぎました」


 近くに天使が居たので確保できればいいかと思ったが、結果としては二人を危険にさらし奇妙な天使に興味を持たれるどう考えてもマイナスでしかなかった。


「まぁ今回は収穫は多かったですよ。あの二人の天使の情報は沢山取れました。悠魔さんは私達を危険にさらした事を気にしてる様ですけど、全体を見ればミーアさんの説得成功、二人の天使の情報さらに天使たちの目的に魔獣の強化方法まぁ悠魔さんは変な天使に目をつけられたようですけど、それは大した問題ではないですしプラスですね」


 何処か棘がある言い方に悠魔は視線を逸らす。


「それで知識の魔女さんあの二人の情報はどうだったんですか?」


 ミーアは膝に乗せた小さな兎の魔獣を撫でながら今回の成果をエルフィリアに尋ねる。


 天使の少女の方の名前はジーエルで高身長の男性天使はカファエル二人共天使の中では上位の存在で能力的にはジーエルの方はそれほど高くなく戦闘は苦手なようだ。それは直接対峙した悠魔も感じ取っていた。カファエルの方は逆に戦闘が得意でジーエルとは真逆で彼は護衛で一緒に来ていたようだった。


 さらにジーエルは知の天使、カファエルは戦の天使と呼ばれている様で、この様な呼び方をされてる天使は他にもいるようだった。


「……っとこのくらいですかね」


「知の天使に戦の天使、知の天使……知識を司る人物はロクな人物が居ませんねぇ」


「……ミーアさんそれはどう言う事でしょうか?」


 笑顔で優しい声でエルフィリアはミーアを問い詰めるが、よく見ると額に青筋が浮かんでいた。


「言ったままの意味ですよ」


 彼女はエルフィリアを適当にいなし兎の魔獣を優しくなでる。先程までは目を開けていたが今は眠ってしまったのか目を閉じて静かにしてる。


「もう少し詳しく話すのは後でいいですか?」


「すいませんそんな状態で無理をさせてしまいましたか?」


「いえいえ、気にしないでください。ただ少し眠らせてください……疲れました」


「わかりました。それなら部屋に運びましょうか?」


「寝る前に体を綺麗にしたいので手間ですけどお湯を作ってもらえませんか?」


 三人共ボロボロ、血まみれ、灰に土まみれ、とてもこのまま眠るのは嫌だった。


「わかりました。ミーアさん疲れてる所申し訳ないですけどエルフィリアさんの体を拭いてあげてもらえませんか。僕がするには色々ハードルが高く問題があると思うので……」


「私は悠魔さんでも構いませんよ? 今更裸程度恥じるほど乙女ではないので、まぁ誰にでも見せる訳ではないですけど」


「申し訳ないですけど僕の平穏の為にです」


「悠魔さんも男の子ですね」


 クスクスとエルフィリア笑いながら痛む体をゆっくりと起こす。悠魔はお湯の用意にミーアはタオルなどを取りに向かった。

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