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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第八章
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無理をした結果

 悠魔は天使の少女に目掛けて魔力弾を放つが、身軽に純白の翼で宙を舞う彼女に命中する事はない。


「いい加減にしてくれないか? あたしは君に興味はないんだよ」


 やる気がないのか殆ど反撃をしてこなく逃げてばかりで、しかも放ってくる光弾も速度も威力もなく何度も逃げようとするが、悠魔もこのまま彼女を逃がすわけにはいかないと思ってる。


「もう! しつこいな!」


 天使の少女が錫杖を振るうと彼女の周辺に無数の光弾が出現して、錫杖を振り下ろすと光弾が一斉に悠魔目掛けて放たれる。


「しつこくって悪かったですね! でもあなたには色々聞きたい事があるんですよ!」


 悠魔も負けずと周囲に無数の魔力弾を作り出し放ち光弾を撃ち落として行く、戦いは殆ど膠着状態でこんな事なら急いでたとは言え二人に声をかけてくるべきだった。


「慌てて走り過ぎたか。でもここで彼女を逃がすわけにはいかないよな」


 光弾を撃ち落とすと悠魔は跳躍し天使の少女目掛け大剣を振るが刃は錫杖に防がれる。


「こういうのは苦手なんだよね」


 彼女が戦いが得意ではないと言う事が動きから分かる。


「この至近距離なら外しませんよ!」


「ん? おやこれは不味いね」


 悠魔の片手に魔力が集中してるのを感じ取り慌てて離れようとするが、それより早く悠魔は魔力砲を放つ、しかしギリギリの所で回避されてしまう、それでも彼女の片腕は魔力砲に飲み込まれる。


 木の枝に降り立った天使の少女の片腕は大きく火傷の様な傷を負っており、衣服の法衣服の様な装飾がされたガウンは肩から破れていた。


「痛いなもう、まぁこのくらいの傷なら簡単に――」


 光の粒子が少女の腕に集まると傷は癒え、衣服は光が糸のように様に変化し破れた袖、手袋を修復して行った。


「治るんだけどね」


 確かめる様に手を閉じ開きし元通りになった事を確認する。


「それでまだするのかい? あたしとしてはもう帰りたいんだけどね」


「いやいや、帰す訳ないじゃないですか。そもそも決定打がないのはお互い様ですよね?」


 先ほどから天使の少女は光弾しか放ってこない、他にも手は持ってるだろうが何故か使ってこない。悠魔もあえてそんな彼女に合わせて戦ってる。


「そんな安い挑発には乗らないよ。余り手の内を見せたくはないんでね」


 再び光弾が天使の少女の周囲に出現する。それに合わせ悠魔も自身の周囲に魔力弾を作りす。


 光弾と魔力弾は同時に放たれお互いにぶつかり合い落ち落し合う。次々とお互い光弾と魔力弾を作り出し放ち続ける。


 先にこの我慢比べをやめたのは天使の少女で、光弾を作り出しながら後方に飛び退き、翼を広げて木の間を縫うように飛行しながらこの場から逃げ出す。


「逃がすか!」


 魔力弾を作るのをやめ。光弾を回避しながら木を飛び移りながら天使の少女の後を追う。


「仕方ない少しくらいはいいかな」


 しつこくついて来る悠魔にいい加減に我慢の限界が来たのか、彼女は振り返り光が灯る指先を悠魔に向ける。


「まぁこれは今回の実験に付き合ってくれたお礼だよ」


「魔法陣」


「残念、微妙に違うかなこれは聖法陣。神術を構築するためのものだよ」


 天使の少女の指先に展開された聖法陣から無数の光の刃が放たれる。


「神術の一つの聖刃だよ」


 光の刃が変則的な軌道で悠魔に襲い掛かる。


「神術は一度見てますよ」


 大剣をローブにしまい代わりに魔力を切る事の出来る刀を取り出す。神術は一度見てるので対象方法も分かってる。


「神術も魔法も大した違いはない!」


 次々と迫りくる聖刃をガラス細工の様に破壊して行く。その光景を見て天使の少女は驚いたような表情をする。


 聖刃は神術の中でも簡単に使える物で魔法で表すな初級魔法程度の物だが、あれ程簡単に破壊されるものではない。


「面白いものを持ってるねそれには興味がわいたよ。どうやら特別な金属で出来てるようだね」


 先程までやる気がなかった天使の少女の様子が変わる。再び彼女の指先に聖法陣が展開される。


「その剣は持ち帰りたいな」


 再び神術の聖刃が放たれる。変則的な軌道の光の刃が放たれるが、先程の様にガラス細工のように簡単に破壊される。


「ああ、そう言う事か、うむ納得だそれなら確かに神術を簡単に破壊出来る」


 何か納得したようにうんうん唸る彼女に向け悠魔は駆けだす。刀を振るうが天使の少女は錫杖で防ぎ弾く、さらに光弾を作り出し悠魔目掛けて放った。放たれた光弾は簡単に切られ霧散してしまう。


「ふむ、神力をもちいた攻撃は簡単に破られる……これを使うのは嫌なんだけど」


 天使の少女は錫杖を歪んだ空間の中にしまうと一息つくと彼女の纏う雰囲気が変わる。何処か冷たく先程までの好奇心や呆れや面倒といった感情はなく全くの無感情なものだった。


――罪人を裁く光の雨


 頭の中に直接天使の少女の声が響くような感覚が悠魔を襲う、まるで歌うような声で天使の少女は言葉を紡いでいく。


――この地の罪人に降りそそぎ


 何が起るか分からないがこのままでは不味いと思い歌を止めるようと刀を振るうが、天使の少女は歌いながら体を翻し斬撃を回避して行く。


――汚れき世界を浄化し


「何だこれ」


 悠魔は異常に気が付く、彼女が歌い続けて行くと同時に周囲の自然の魔力が不自然に渦巻いて行く。


「兎に角歌を止めないと――装填! 魔力兵装『火の型紅』」


 二つしか持ってないと思っていたが、どうやらミーアとの訓練の時に紛れ込んでいたのか、炎の魔力石を砕き魔力兵装を使用する。悠魔は炎を纏いさらに悠魔の片腕に炎が集まり巨大な剛腕を作り出す。その剛腕を悠魔は勢いよく振るうが、天使の少女は翼を広げ飛び上がる。逃がさないよ悠魔は剛腕から炎の礫を放つが、今度は光の壁が彼女を守る。


――罪なき命無垢な命を救いたまえ


「断罪の輝く雨!」


 彼女を中心に光の柱が立ち昇り、空で光が弾け沢山の光の雨が降りそそぐ、悠魔は咄嗟に剛腕の炎の形状を壁の様に変化させ防御するが光の雨は無慈悲に炎を貫通して来る。


「これはやばいな流石に」


 光の雨が悠魔の体を貫こうとした瞬間、光と雨と悠魔の間にエルフィリアとミーアが割って入る。ミーアは炎を纏い、エルフェリアが不完全な同化(ユナイト)をし結晶の花を作り出し光の雨から悠魔を守る。


「慌てて来てみれば何してるんですか! もう私はいっぱいいっぱいなんですよ!」


「この光の雨何ですか⁉」


 エルフェリアの魔力は枯渇してる。そんな中無理に同化(ユナイト)をした結果か吐血をしている。ミーアの炎の体は光の雨をうけまともに維持できなく崩れかかってる。


 そんな状況でも二人は悠魔を守り切り、光の雨が止むとミーアの同化(ユナイト)は解けその場に倒れ込む、ミーアも魔力兵装が解除されその場に膝をつく。


 少女の天使は息を切らしながら地面に降り立つが、すぐに悠魔の異変に気が付く。強大な魔力が喉元に魔力が収束しており、天使の少女は慌てて再び翼を広げ飛び立つ、逃がさないと悠魔は彼女目掛けてブレスを放つ、天使の少女は防御用の神術を発動させて防御しようとするが、悠魔のブレスにより簡単に破壊され飲み込まれてしまった。

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