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異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第八章
208/227

作戦開始

 逃げる算段を立ててるとミーアが前に降り立つ、彼女はあの魔獣と戦えない所か先程の戦闘で消耗してる。

そもそも彼女は目の前の魔獣と戦えない、悠魔は兎に角この場所から逃げようとソフィーの鍵を使いドアを作ろうとするがすぐにミーアが話しかけて来る。


「悠魔君お願いします。力を貸してください」


「力……ですか?」


「あの魔獣を助けます。お願いします」


 視線は魔獣から放さないがその声は真剣な物で、悠魔は取り出した黒い小さな鍵をローブの中にしまう。


「助けるって言ってもどうするんですか?」


「知識の魔女さんの話ではあの魔獣の状態は無理な魔力の摂取にした事により起きた現象のようです。ですから……」


「その魔力を何かの方法で抜き取れば元に戻るんですか」


「彼女の見立てではですけど……あの人の話が信用出来たらの話ですけど」


 皆の共通認識エルフェリアは信用出来ない。悠魔はミーアの話を聞き頭痛を覚える。


「……まぁエルフェリアさんの信用は兎も角、あの人の知識は信用出来ますよ」


「知識しか信用出来ないのは問題だと思いますけど……」


「まぁエルフェリアさんですから……」


「知識の魔女さんですからね」


 そんな二人の会話を知らない後方で控えていたエルフェリアは、正体不明の苛立ちを覚えるが、今はあの魔獣を助ける為の準備をしなくてはならないと頭を振る。


 簡単な段取りをミーアと済ませた悠魔は駆けだす。


「さて、どうしたらいいものか? 足止めに仕えそうな魔道具はすべて使ってしまったし……」


 そんな事を考えてると同化してる龍が話しかけて来る。


――それでどうするんだ? もう使える物はないんだろ?


「今考えてます……それにしても今日はよく語り駆けてきますね」


――暇なだけだ。どうだ前みたいに手を貸してやろうか?


「遠慮します。今は片腕だけで我慢してください、これ以上の鎖の解除は正直貴方を抑えておけないので」


――ちっ残念


 その後龍の声は聞こえなくなった。どうやらこの前片腕の鎖を解除したことで味を占めたようだった。


「魔力兵装の攻撃はすべてが魔力で構築されてるから魔力を吸収するあの魔獣には効果はないし……直接殴るしかないか」


 肉体を魔力で強化し魔獣目掛けて跳躍をする。上手く魔獣の後ろを取った悠魔は勢いよく魔獣に蹴りを入れる。普通に蹴っただけではこのサイズの魔獣はものともしないだろうが、魔力で肉体を強化した今の悠魔の蹴りなら魔獣のバランスを崩す事くらいは出来、よろついた魔獣の腕を掴み一本背負いのように投げる。


 魔獣が叩きつけられた大きな音と振動が辺りに響く、悠魔は魔獣が立ち上がる前に距離を取り魔力を切断できる刀を取り出す。純粋な威力ならこの名も付けてない刀よりコレットの大剣――グリムリーパーの方が威力はあるが、こちらを選んで抜刀した理由は次に来る攻撃に備えてだった。


 魔獣は素早く立ち上がり上空に飛び上がり二本の角を悠魔に向ける。角に魔力が集中し雷を帯び悠魔目掛けて雷を降らす。悠魔は迫りくる雷を上手く回避し、魔力で作られた雷なので魔力を切断出来る刀で切り裂いて行く。


「攻撃範囲広すぎなんですよ!」


 悪態をつきながら走り魔獣の真下に移動し魔獣目掛けて跳躍する。


「この位置なら攻撃できないだろ!」


 今までの戦いを見る限り角から放たれる雷撃は前方にしか放てないと推測した悠魔は、魔獣の真下は安全だと思い行動した。


 刀を振るい魔獣の腹部を切る。魔獣は血飛沫を上げながら落下しもだえ、切り口からは薄っすら魔力が漏れ出す。


「どうやらエルフェリアさんの推測は当たっていたようですね」


 エルフェリアの推測をミーアから聞いており、彼女の推測通りだった事に安堵する。


 魔獣の本体はあくまで小さな小型の兎の魔獣で、今の姿はその本体を守る鎧なようなもので、それを剥がせば元の姿に戻れる可能性があるとエルフィリアは言っていたが、あれ程の魔力の鎧をどう剥がしたものか考える。


 魔力を切断するこの刀で傷をつければある程度の魔力を傷口から放出できる見たいだが、すぐに傷口は塞がってしまう、さらにあの魔獣は魔力を吸収出来るので周辺の魔力を吸収してもとに戻ってしまう。


「二人共早くしてくださいよ!」


 時間を稼ぐように頼まれた悠魔は再び魔獣に向けて走り出す。




 エルフェリアは自身の足元に魔法陣を描いて行く、洞窟内の魔力を集める魔法陣を描き替えた溜めた魔力を霧散させる魔法陣を描き、ミーアはさらにその魔法陣に手を加え新たな魔法陣に変化させていく。


「これで上手く行くんですか?」


「さぁどうでしょうね。上手く行くかはやって見ないと分かりません」


 エルフェリアにしては珍しい発言で、彼女としては今回の作戦は成功するか失敗する分からない事をするのは不本意だった。


 まぁ頼まれた以上はする。あの魔獣を助ける事でミーアが仲間になる彼女が仲間になる事は悠魔の為にもなるのでエルフェリアは悠魔の為になるなら仕方ないと割り切ってこの作戦を考えた。


「これで完成です。後はミーアさん次第ですよ」


「ありがとうございます」


「それでは私は準備が出来た事を悠魔さんに伝えてきます」


 そう言いエルフェリアは戦場の方に向かっていた。一人になったミーアはこの作戦が上手く行くよう祈りながら二人と一匹がこちらにやって来るのを待つことにした。

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