表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でのセカンドライフ  作者: サイン
第八章
205/227

悠魔と兎の魔獣

 丈の短い薄手のワンピースを着て丈の長い法衣服の様な装飾がされたガウンを纏い、白い手袋をした手には自身の身長と同じくらいの長さの錫杖を持ち金の長い髪をした低身長の少女の天使と、メンズのチャイナ服で短髪の金の髪の両手に一本ずつ短剣を持った高身長の二人組の天使がエルフェリアの目の前に立っていた。


「これは流石に面倒ですね。まぁ目的は果たせましたしこの辺りで引かしてもらいましょうか」


「逃がすと思うか?」


 高身長の天使が視界から消えると同時に後方に現れ双剣をエルフィリアの首目掛けて振る。咄嗟に前のめりになり双剣を回避するが、低身長の天使が錫杖を振るい無数の光の玉を放つ、バランスを崩した状態では回避が出来なくまともに光の玉をその身に受けるエルフィリアは吹き飛ばされる。


「おやおや、知将と名高い知識の魔女でも魔力もなく扱える駒もなければこの程度かい?」


「さぁどうでしょうね?」


 ボロボロの体で立つエルフィリアは不敵な笑みを浮かべてるが、もはや誰から見ても強がりしか見えなく、再び彼女目掛けて光の玉が放たれる。


「強がりもここまで行くと滑稽だね」


「別に強がってなんかいませんよ……それに先ほども言いましたが目的自体は、しっかりとはたせましたから問題ないです」


 光の玉が着弾する寸前にエルフェリアの体がガラスの様に砕けてしまう、光の玉は地面に命中し小さな土煙を舞い上げる。


「おや……忘れていたね知識の魔女にはこれがあったのだと」


「どういう意味だ。アイツは何処に消えた」


「今まであたしたちが戦っていた彼女は魔力で作られた人形だったと言う事さ、残念な事に逃げられたようだね」


 口では残念と少女の天使は言うが、その様子は全く残念がってなくニンマリと笑みを浮かべる。


「それでどうするんだい? 彼女を追うかい? あたしとしては早く帰りたいだが」


「はぁ……わかったわかった。これで引き上げるぞ、お前にへそを曲げられて協力されなくなると面倒だ」


 二人の天使はそれぞれの武器をしまい再び歩き出し森の中に消えて行った。




 魔法陣の上で片膝をついて目を閉じていたエルフィリアはゆっくりと目を開ける。


「ふぅ流石に二人相手は情報を取るだけでも手間がかかりますね。私の全魔力の三分の一を与えて作った物をあれほど簡単に破壊するとは……まぁしっかり情報は取れたのでよしとしましょうか。次は悠魔さんの方に向かわないよいけませんね」


 魔法陣を解除し今も戦ってるのか大きな爆発音がする方向にエルフィリアは急ぎ移動を開始する。




 エルフィリアが二人組の天使と交戦を始めた頃悠魔も魔獣と交戦を始めた頃だった。


「このまま睨み合っていてもしょうがないよな」


 兎の魔獣は悠魔をジッと見ている。悠魔も視線を魔獣から逸らさず見ており、魔獣を刺激しないようにゆっくりと片腕をローブの中に入れて大剣――グリムリーパーを取り出そうとした時、魔獣が咆哮をあげながら悠魔目掛けて跳躍して来る。


 後方に悠魔は跳躍する。先程まで立っていた所に魔獣が激突し地面が割れ土煙が舞う、土煙の中から悠魔目掛け再び勢いよく跳躍した魔獣が突っ込んでくる。


「っ早い」


 大剣を取り出そうとしていたがそれをやめ、魔法石を取り出し魔獣目掛けて投げる。投げた魔法石が魔獣の額に当たると同時に悠魔は魔法石に刻んだ魔法を発動させる。発動した魔法は炎属性の中級魔法の地獄の業火(インフェルノ)で魔獣を炎が包み込む、しかしその炎をものともせず魔獣は炎を突き破り悠魔を角を勢いよく振り上げ悠魔を上空に吹き飛ばす。


 咄嗟に腕を龍化し角を防いだが大きく裂け悠魔の表情が歪む、魔獣はさらなる追撃をかける為に悠魔目掛けて跳躍して来るが、悠魔もこれ以上相手のペースに呑まれるつもりはなく、大きく翼を広げ羽ばたき紙一重で魔獣の突進を回避し、ポーションを取り出し傷口にかけ傷口を塞ぎ落下する魔物目掛け魔力砲放った。しかし魔獣は無傷で森の中に落下する。


「やっぱり無理か……あのクラスの魔獣になると魔法石や魔力弾や魔力砲じゃ効果ないか」


 上空から落下した魔獣を見る。再び跳躍をしようとする魔獣を見て悠魔は翼をはためかせてその場から移動する。


「兎に角動かないといい的だ……だけど動きが直線的だから回避は……はぁ⁉」


 跳躍して来るが一直線なので回避は簡単だと思っていたが、空高く跳躍した魔獣の姿を見て悠魔は絶句する。魔獣は今度は落下するなか、再び跳躍の構えを取り悠魔目掛けて跳躍して来る。


「嘘だろ⁉」


 まるで武芸の空歩のように空を蹴る魔獣の突進を何とか回避し、悠魔は今使える最大火力でブレスを放つが、再び魔獣は空を蹴り悠魔のブレスを回避する。


「くそ! ダメか――動きが早すぎる。でも魔力兵装なら追えるか……」


 悠魔は今持ってる属性の魔力石の思い出し確認する。


「火が一つそれ以外が二つづつだけど……」


 魔力石はアリスに頼んで作ってもらってるのである。炎の魔力兵装を使えば先ほどのブレス程度の威力なら簡単に出せる。風の魔力兵装ならあの跳躍の速度にもついて行ける速度を得られる。


「取り合えずこっちだな」


 赤い魔力石を取り出そうとした瞬間突進して来た魔獣の風圧でバランスを崩し地面に着地する。魔獣も地面に着地し前足を振るう、悠魔は回避しローブの袖口から黒い鎖――戒めの鎖を放ち魔獣の片方の前足に巻き付けて勢いよく背負い投げのように投げる。


 アリテール王国王宮魔工技師のチノ・カレーラの制作した魔道具の戒めの鎖は魔王すら拘束する程の強度があるので、この程度の無茶な使い方をしても壊れる事はない、ちなみに暴食の悪魔キュリウス・レムナントを倒す為に借りた物だが今だに返してない。殆ど借りパク状態で、もしかしたらチノも忘れてるのかもしれない。


 魔獣が起き上がる前に赤い魔力石を砕こうとするが、魔獣の角にスパークが放電現象が起こり雷撃が放たれる。


 悠魔は魔獣が雷撃を放ったことには驚いたが、すぐに落ち着きローブの中から魔力を切る事の出来る刀を取り出し、放たれた雷撃を両断し魔獣の前足に巻き付いていた戒めの鎖を引っ張り、魔獣を引き寄せながら魔獣の二本ある角の長い方を切断した。


 角を切断された事に驚いた魔獣は怯み後ずさる。悠魔はその隙に戒めの鎖をローブの中に収納し魔力石を砕き、砕いた事で魔力が放出される。


「装填――魔力兵装『火の型紅』」


 炎の魔力兵装を使用し悠魔は炎に包まれる。


 炎の剣――焔を作り出し構え地を蹴り跳躍し魔獣の腹部を切り裂く、肉と血の焼ける臭いが辺りに充満し悠魔は顔を顰めるが、再び炎の剣を魔獣の顔を目掛けて振るうが、二度は切られまいと跳躍し回避をする。


「逃がすか!」


 逃げる魔獣を追うように悠魔が手を向けると、炎の鎖が放たれ魔獣に巻き付く、鎖を引き魔獣との距離をつめ炎の剣を魔獣の片目に突き立てる。魔獣は痛みから咆哮をあげて無作為に雷撃を放つ、放たれた雷撃は地面や木を砕く、その程度なら悠魔も新たに追撃をするが、雷撃の一本が魔力の結晶に被弾しその魔力で強化された雷撃が辺りに飛び散りさらに魔力の結晶に被弾し辺り一面が雷撃に包まれる。


 慌てて魔獣に突き刺さった炎の剣と拘束した炎の鎖を解除しその場から飛び退くが、悠魔も雷撃の光に巻き込まれてしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ